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紅茶で政界話に一服いれよう 古沢襄
私たちの同年代には意外と”紅茶党”が多い。戦前・戦中を通してコーヒーは贅沢品で手に入らなかったこともある。戦後になって進駐軍のコーヒーを飲むことが増えたのだが、何となく捕虜収容所で飲み物をあてがわれている気がして馴染めなかった。

ロンドンに行った時に本場のミルク・ティの味にはまり込んだ。日本ではもっぱらレモン・ティが流行っている。ロンドンでもレモン・ティがないわけではない。だがロシアン・ティと言っている。

ロシア旅行をした時にホテルで紅茶を所望した。「ティ」と言ってもウエートレスはキョトンとしている。通訳の女子学生が「チィ」と力をいれて発音しないと通じないと教えてくれた。その通りにするとグラス・コップにレモンの輪切りを入れた紅茶を持ってきてくれた。

一度本場のミルク・ティの味を知ると、レモン・ティ離れするようになった。だが日本のミルク・ティはあまりおいしくない。記者仲間で紅茶党がいて、日本橋の丸善地下にあるレストランに連れていって貰った。これこそがロンドンで味ったミルク・ティだった。

日本のミルク・ティがおいしくないのは、その入れ方を知らないからである。最近ではティ・パックが出ているので、それに熱湯を注ぎ、牛乳を割って砂糖をたっぷり入れて飲むのがミルク・ティだと思っている。

ロンドンのミルク・ティは、手がこんでいる。ポットに茶葉をいれて熱湯を注ぐのは同じだが、ミルクを先にいれるか、後にするかで論議が分かれる。先にいれるのがミルク・イン・フアースト。後がミルク・イン・アフター。一般的にはミルク・イン・フアーストなのだが、この方が風味があってよいという。もちろん紅茶カップは暖めてある。ティ・パックなどは邪道中の邪道ということになる。

ところで日本茶は熱湯を注がない。茶葉が開いて苦くなるからで80度ぐらいの湯を注ぐと日本茶本来の香りと味が楽しめる。この日本茶と紅茶の茶葉は同じものを使っている。製法が違うだけである。

中国の福建省と江西省の省境に武夷山脈が走っているが、ここで産出する茶葉が世界で最高の品物という名が高い。中国では茶は不老長寿の薬として珍重された歴史がある。1833年まで中国貿易を独占していたイギリス東インド会社が、この福建茶葉を広東で買い付けて、大型帆船でロンドンに運んだ。インド産の茶葉がロンドンに入る以前の話である。

今では紅茶といえば英国人の嗜好物の代表名になったが、最初にイギリスの宮廷に流行らせたのは、ポルトガル王女からイギリス王チャールズ二世に嫁したキャサリン王妃(1638ー1705)だったという。私の恩師・矢沢利彦氏の説である。

茶の愛好家だったキャサリンが1662年に渡英してイングランド最初の茶を飲む王妃になったことからイギリスの社交界で飲茶の風習が広まり、やがて庶民の間でも飲茶が流行して、茶葉の貿易量が飛躍的に増加したという。キャサリンがイギリス王に嫁していなければ、ミルク・ティがロンドンで広まらなかったというのも面白い仮説となる。
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