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中国の内部で何かが起こっている 古沢襄
中国の為政者側に立って考えると”北京オリンピック”は危険な賭になっているのではないか。ソ連邦の時代、自由主義諸国に門戸を開くのは、麻薬と売春が流れ込んでくるので鎖国政策をとったと大真面目でいったロシア人がいた。久しく外国人が入れなかったウラズオストック軍港を訪れた時の話である。「冗談じゃない!鎖国どころか共産主義を輸出したから米ソ冷戦が起こったんじゃないか」とまぜっ返したのだが・・・。

共産主義国家の鎖国というのは一理ある。麻薬や売春が怖いのではない。自由で民主的な風潮が流れ込んできたら、一党独裁の政治主義が成り立たない。為政者は社会主義国家の権力を守るために情報鎖国をとった。徳川三百年の泰平の世は、まさしく鎖国政策から生まれている。その代わり近代国家になる遅れをとった。

十三億の民をかかえ、資源の少ない広大な国土を持つ中国に自由で民主的な思想が蔓延すれば、統一国家の形態を保つのは不可能であろう。共産主義による統治国家でなければ、あの広大な国家を保てないというのは、その通りであろう。その代わり鎖国状態の中で思想弾圧が激しく行われ、いずれは無理な政治体制が崩壊するのは、ソ連の崩壊が示している。

支那という用語は華北・華中・華南の漢民族の故地を指すのだが、中国というのはチベットはじめ周辺の異民族を含めた大国家構想の用語だと私は思っている。そんな無理をせずに周辺国家の独立を認めて、ソ連がロシアになったように、中国も支那になれば良いものを!と思ったりする。

もっとも、それは中国の国民が選択することであって、米国や日本が働きかけるのは内政干渉になる。だとすれば、日本は隣国として時間をかけて中国の変化に期待をつなぐしか方法がない。それが真の意味での日中友好の道ではないかと思っている。

中国が変化する兆しは十分にある。北京オリンッピクは、中国にとって閉鎖的な共産主義国家から脱皮するきっかけになる。いうなら日本が経験した”黒船来航”が北京オリンピックではなかろうか。

大紀元日本が伝えるところによると、北京大学新聞学院元助教授・焦国標氏は中国人権弁護士・高智晟氏が中共当局に拘束されていることについて、日本政府が、同事件への関心を公に表明し、中国の民衆に日本政府が中国の人権問題と民主化を重視していることを伝えるべきであると指摘した。共産主義に対する批判的な意見が中国の国内で生まれていることを、日本はもっと注目すべきではないか。高智晟弁護士の拘束は、米国では大きく取り上げられているが、日本のマスメデイアは冷淡である。

1989年の天安門広場における惨劇は、中国の国内で民主化を求める知識人や学生・市民の勇気ある行動として、もっと評価されてよい。反革命分子の行為として鎮圧されたが、民主化を求める精神は十七年経った現在でも生き続けている。

中国共産党の内部からも胡耀邦、趙紫陽といった民主化路線に理解を示した人たちが出たのだが、小平・李鵬・楊尚昆ら保守派との権力闘争に敗れて失脚した。しかし胡耀邦が火を灯した路線は、中国の知識人、学生・市民の心の中で消えていない。北京オリンピックや、その後の万博を選択した中国にとって鎖国に戻ることは、あり得ない。中国のエリツインが必ずでてくると思っている。
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