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昭和天皇の政治利用は止めよ 古沢襄
富田朝彦宮内庁長官(故人)が残した靖国参拝中止に関する昭和天皇の発言がこの時期に公表されたことは、意図したか、どうかは別として、自民党内に影響を与えるのは必至の情勢となっている。

靖国神社にA級戦犯が合祀しされていること自体が、不自然なことは国民の多くが感じている。靖国神社は赤紙一枚で召集され、戦死あるいは戦病死した人たちが祀られている。階級など関係がない。A級戦犯で絞首刑になった人たちを殉国の士として祀るのは自由だが、私も靖国神社の祀られた父を持つ遺族として、A級戦犯と一緒にされては迷惑だと思っている。

しかし、このことと中国や韓国から内政干渉まがいの批判を受けるのは別ものである。これは優れて日本国民の問題だからだ。したがって中国や韓国が小泉首相の靖国参拝を批判すれば、するほど屈してはならないと考えている。

八月十五日の靖国参拝は結構だ。あえて行うべきだと考える。中国や韓国を刺激するから、首相の参拝を中止すべきだと唱える人たちを、英国のサッチャー元首相なら「ウエット」と呼ぶだろう。

日本人の心の問題として、A級戦犯が祀られているかぎり首相は靖国参拝をしないと言うのなら分かる。1988年4月28日付の手帳に「A級戦犯が合祀され その上 松岡、白取までもが」「松平の子の今の宮司がどう考えたのか 易々(やすやす)と 松平は平和に強い考(え)があったと思うのに 親の心子知らずと思っている だから私(は)あれ以来参拝していない それが私の心だ」・・・昭和天皇が言ったのは、理にかなっている。

この問題を整理しないまま小泉首相は、靖国参拝をしてしまったが、参拝した以上、初心を貫らかなくてはなるまい。とくに中国や韓国が批判の火の手をあげているのだから、意地にも中止などすべきではない。

だが安倍官房長官が首相になるつもりなら、昭和天皇の意向を咀嚼し、慎重な態度をとる必要がある。小泉首相が参拝したから、自分も参拝するというのでは見識が疑われる。

一番良いのは平成の天皇が靖国参拝を出来るような条件造りにあるのではないか。昭和天皇の意志が明らかになったのだから、靖国神社の宮司も考えざるを得なくなったのではないか。

中国や韓国があれこれ言うのは論外だが、この問題を政争の具にするのは、飛んでもない話である。日本人の心の問題として、立ち止まって最善の方法を考える一石を昭和天皇が投じてくれたと考えるべきではないか。(2006・7・20)
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