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残り火にあらず、サンダースが本命ヒラリーを追い詰めている   宮崎正広

■共和党は主流派、ネオコンがトランプ排除の連合を狙うが・・


中盤戦となって風向きが変わり、トランプは発言の中心軸をそっと移行させている。はじめて謝罪会見を開いたりした。


それより、先月末からトランプは強調していることは「日米安保は不平等、日本と韓国に防衛費の負担を増大させよ」と声高に言い出したことで、批判の多かった「移民政策」を後方に下げた。


トランプが不法移民を攻撃してきたのは、実際には矛盾した言論である。


彼の最初の妻だったイヴァナはチェコ(当時はチェコスロバキア)からの移民。三番目で現夫人のメラニアはスロベニアからの移民組である。メラニアはヌードモデルを務めたこともある


「移民を減らせ、ヴィザを厳格に」と主張するトランプの夫人達が移民組とは矛盾しているのではとマスコミが騒いだが、トランプはまともに取り上げず、この議論を逸らした。


ドイツではすでに移民は1650万人、うち990万人に永住権が認められている。


米国同様に移民大国であり、シリア難民問題で急に国民の不満がたかまったかに見えるが、ドイツ国内のナショナルな「ペギーダ運動」も、「ドイツのための選択」も、その主張は国民の心底に潜伏してきた感情の爆発である。


トランプが中盤戦での戦術変更の第一は「日本の核武装」を容認したことである。


これは日本の主流マスコミが冗談のように受け取っているが、日本の物言わぬ大衆、とりわけ保守陣営は歓迎だろう。


核武装をして初めて、日本は独立国家たりえるのだから。


もし、日本が「主権国家」なら、そもそも外国の軍隊が日本にいること自体が間違いである。キルギスのような小国で、タクシーの運転手とロシア軍の駐屯について議論になったおり、「え、日本に外国軍がいるのか。それじゃ、日本は主権国家ではなかったのか」と指摘されたことがあった。


日本の核武装容認発言はトランプにインタビューしたニューヨークタイムズの記事(3月26日)で、世界的にも報道された。


ところが、日本でこの発言を特筆したメディアは殆どなく、あいかわらず「トランプは共和党が産んだフランケンシュタイン」だとかの「解説」が並んでいた。「フランケンシュタイン」と比喩したのはネオコンのチャンピオン、ロバート・ケーガンである。


 ▼中欧の庶民もトランプに好感をもっている


つい一昨日まで筆者はルーマニアのブカレストにいた。


日本人にとって、ルーマニアと言えば、コマネチとチャウシェスクを思い浮かべるのが精々、歴史通ならあるいはドラキュラを思いおこすかも知れない。


ブカレストでの驚きは、かの独裁者=チャウシェスクの残影が殆どないことだ。贅を尽くしたチャウシェスク宮殿は「国民の館」として、いまや観光資源となっていた。


人々には宗教心と活気とが蘇り、経済活動は活発化しており、なによりソ連時代のラダもトラバントも街から消えてベンツ、トヨタ、BMWの新車の洪水ではないか。


チェウシェスク失脚から二十七年を経て、これほど豊かになっていようとは想像さえしていなかった。


さて問題はトランプである。


筆者は以前にも、チェコで、ハンガリーでトランプの人気が高いことを紹介したが、ルーマニアで、(そして隣のブルガリアでも)ヒラリーより、トランプのほうが人気が高い。


しかも米国大統領選挙のことは、日本のマスコミ同様に詳細が伝わっている。言論の自由は回復されており、複数政党制は機能している。


チェコのゼマン大統領が、あるいは旧東欧諸国の指導者が言ったように「移民は侵略だ。なぜ難民に若者が多く、かれらはISと闘わないのか」と非難したように、移民に厳しいトランプに原則で共鳴する部分が多いからだろう。


脱線ついでに移民に寛大だったドイツで、メルケル首相の支持率が急落しているのも移民問題だ。


いまやドイツへの移民はトルコ、アフガニスタン、パキスタンも多く、総計で1650万、このうち990万人には永住権が与えられ、多くが生活保護で暮らし、ドイツ語を習得しなくとも良く、それがドイツ国民を苛立たせる。


▼トランプの過激な発言は巧妙なマーケッティング戦略が基本にある。


「メキシコ移民に職を奪われた」「国境に壁を作り、かれらを追い出せ」。「中国と日本は為替操作国だ」と叫ぶトランプがなぜかくも絶大に人気を獲得しているのか。


トランプは、移民政策に不満を持つプアホワイトを大票田の「鉱脈」として改めて発見し、集中的に問題化するために、過激な発言を繰り返した。


トランプ現象は、彼自らが編み出したマーケッティング手法の乗っ取っているのだ。


世界を見渡せば、トランプが嫌いなのが欧米先進国と日本。とくに民主主義先進国家といわれるところであり、民主主義に憧れ、それを血と汗で達成した国々は、政治的関心の強さにもまして、トランプが好きな人が多いのはどうしたことだろう?


ロシアでも、中国のマスコミを信用しない庶民の間にも、歯に衣を着せぬ物言いが短絡的に受けるだけが、その人気の高さの直接的な理由とは思われない。


またトランプはユダヤ人への差別的発言は徹底して避けており、「イスラエルはユダヤ人の国家であり、永遠にユダヤ人国家として存在することを受け入れるつもりで交渉の席に着かなければならない」と指摘している。


在イスラエル米国大使館をエルサレムに移転するべきともとも在米ユダヤ系PACの集会で述べている。


それよりもっと留意すべきことは、日米安保条約ばかりか、トランプはCNNとのインタビューでは「米国は北大西洋条約機構(NATO)向けの支出を削減すべき」と日米安保条約、米韓条約と同様に「米国優先、他国への軍事予算削減」の原則を普遍的に適用していることである。


この点で共和党主流ばかりか、ペンタゴンに近いネオコンや保守原理主知とも対立的なのである。


 ▼トランプ降ろしも本格化してはいる


米国では共和党内部にあってトランプ降ろしの動きは止まず、もし彼が正式候補となったら、ヒラリーかサンダースに入れると公言する共和党党員が増え続け、米国のマスコミはリベラリズムとグローバリズムに立脚するメディアが多いから、かれを「共和党が産んだフランケンシュタイン」だとか、ハリウッドの左翼スター等は「トランプはファシスト」などと決めつけている。


にも関わらす、トランプ人気はすこしかげりが見えてきたものの、相変わらず高い。
 3月23日、トランプはユタ州を落としたが、アリゾナでは勝った。ユタ州はロムニーの信奉するモルモン教の総本山が州都のソートレイクシティにあり、ここではロムニーの応援を得たクルーズが勝った。


ところで日本政府が期待するヒラリーだが、日増しに人気にかげりが現れており、選挙運動の劣化が顕著になってきた。


アリゾナ州でヒラリーがかろうじて勝ったものの、ユタ州、アイダホ州でサンダースが大差で勝つという番狂わせが生まれた。


とくに3月26日のアラスカ、ハワイ、ワシントン州ではサンダースへの得票率は70%から81%と圧勝に近い。


これもまた予想外の現象で、サンダースが、五州で勝利したのだ。


4月1日現在、両者の代議員獲得数は以下の通り
 トランプ 739票
 クルーズ 460 (過半は1237票)


 クリントン 1742票
 サンダース 1051 (過半は2383)


党大会は七月下旬、いよいよ米国大統領選挙予備選は、過熱気味となって、オバマのレガシー作りの拙速外交が霞み始めている。


オバマはキューバを訪問したが、その扱い方はゴミ記事並みとなり、ヒラリーvsサンダース、トランプvsクルーズの動向が、主要な紙面を飾るようになった。


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| 宮崎正弘 | 07:21 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







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