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書評『アメリカの対日政策を読み解く』   宮崎正広

■ルーズベルト神話に疑義を呈すると米国では『修正主義』のレッテルが貼られる ファーガソン教授さえ、プロパガンダ文書を検証なしで引用していた


<渡邊惣樹『アメリカの対日政策を読み解く』(草思社)>


この本は歴史エッセイ、論考、とりわけアメリカのご都合主義的な歴史認識、捏造、もしくは改竄、それこそ本物の歴史観は『修正主義』として排斥されている。


アメリカの学会さえ、南京大虐殺、従軍慰安婦性奴隷説がうすうす虚偽と分かっていながらもガンとして譲らない。


政治プロパガンダを怒鳴り続けるアメリカの心底に流れるのは何か。渡邊氏は鋭利な刃物で抉り出すかのように、私たちの前にその本質的なものを曝し出す。


過去二、三年の間に氏が『正論』『文藝春秋スペシャル』などに書かれた論考をテーマ別に体系的に編んだ書物ではあるが、はじめからおわりまで体系だった編集上の工夫が感じられる。


いくつか瞠目する箇所があるが、この稿では二つのことを指摘したい。


評者(宮崎正広)は経済史家のファーガソン教授を一級の物書きと思ってきたが、さにあらず、彼も所詮はアメリカの政治プロパガンダに汚染されていた。 


「ニーアル・ファーがソン教授(ハーバード大学)は、金融史経済史の分野では評価が高く、(中略)しかし戦争問題を扱った歴史書(『世界の戦争――憎しみに時代』)は史書として疑問符がつく」とされ、南京大虐殺の犠牲者を26万としたり、強姦があって8000人から20000人が犠牲だとするプロパガンダを歴史的事実として、なんの検証もなく使用しているそうである。


「東史郎」なるデタラメ男は、なんと中国の反日歴史館へ行くと、絵はがきまで売店で売られて『英雄視』扱いされている。中帰連の幹部であった事実をファーがソンは知らない。彼が虐殺、強姦の作り話を作ったひとりである。


もし、「歴史家のプライドがあれば出典に挙げるのをためらう」ような偽歴史書をつかっている点で、「ファーがソンは歴史家として失格である」と断言している。


もう一つ。共和党の異端児『ティパーティ』に関して、渡邊氏はこういう。


「大きな政府がますまる大きくなったことへの反撥が拡がった。その反撥は共和党支持者の中から、『勝手連』のようなスタイルで澎湃と湧き上がってきたティパーティ運動となった。


それは2010年半ばにはもはや無視できない国民運動の様相を呈し、保守系のFOXテレビは頻繁に彼らの活動を報じるようになった(中略)。共通する主張は『規律のある財政』『小さな政府』、そして『規制の少ない市場再生』である。


これはフランクリン・ルーズベルト大統領以前の、つまり彼の実施したニューディール前のアメリカに戻すべきだという主張そのものなのである。


この主張を歴史的視点から検証しようとすれば、ルーズベルトの実施した内政や外交の見直しは避けられない。私は911テロ事件以後の政府発表を信じない国民の増加と、ティパーティ運動の活発化は、日本の歴史検証の動きにプラスに働く重要なファクターになると考えている」


まさに重要な指摘である。


つまりニューディールは膨大な資金をばらまき、その恩恵にあずかれたのは権力に近い人々、この実態を隠蔽するためにルーズベルトはあれほど欧州の戦争に干渉した。


「不況から脱出したい金融資本家グループが、それを密かに支援したのではないのか」。


だが、そうした疑義を呈するとアメリカでは『歴史修正主義者』と罵倒され」、葬られてきたのだ。


こうした観点から言えば、進んでいるはずのアメリカの歴史学は一番遅れていて、中国のレベルとどっこいどっこいということである。


ほかにも紹介したい論考が多いが、紙幅がつきた。

 
<a href="http://www.kajika.net/">杜父魚文庫</a>

| 宮崎正弘 | 10:05 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







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