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ディビッド・シャンボー教授の新作『中国の未来』(本邦末訳)   宮崎正広

■崩壊の扉が開いた。経済繁栄の継続は党改革でしか達成できないだろう


ディビッド・シャンボー教授はパンダ・ハガー(親中派)の代表選手として、キッシンジャーやエズラ・ヴォーゲルの仲間だった。ところが、ある日、一転して中国批判派に転じた。


そのシャンボー教授が新作を出した。題して『中国の未来』。


要旨は時代遅れの諸規制を緩和し、改革を促進しない限り、国家を統御するパワーが失われ、権力の座は安泰ではなくなるだろう、とするもの。換言すれば中国共産党は崩壊の道を歩むしかない、ということである。


この新作で展開されている未来予測に、とりわけ目新しさはないが、チャイナウォッチャーのなかの親中派の転向を象徴する論客だけに、むしろ中国国内、中国語圏で話題となっている。


習近平の側近政治は、「『太子党』から人材を集めたかにみえて、じつは習近平が福建省、江蘇省時代にともに取り組んだ仲間、部下から有能な人材を周囲に固めた。このスタイルは上海派を寄せ集め『江沢民幇』を形成した江沢民、団派から逸材を引き抜いた胡錦濤時代の『団派』という派閥とまったく異なっている」とシャンボー教授は書き出した。


「中国はいまや萎縮と衰退過程にはいった」


「おもいきった政治改革が実現しない限り、この趨勢はつづく」。


「中国共産党は幕引き段階にあり、政治システムは破綻しはじめており、習の専制は中国の制度と社会を破壊へと導くだろう」


「こうして終末に起こりうる暴動、騒擾が顕著にあらわれるようになった」


つまりクリントンが「経済だ。愚か者め」といったように、中国が繁栄を持続させようと本気で考えているのなら、それは「政治体制だ、愚か者め」ということになる。


 ▼中産階級の罠


おおくの新興国が陥ったように「中産階級の罠」にはまった中国は、構造不況が長引き、いずれ古びた発展理論や不動産政策の下で、国有企業は市場原理に傾き続けるだろうが、いまや共産党独裁の疲弊が表面化し、改革へのピッチは上がらず、したがって権力の維持は不可能となる
 

シャンボー教授は1998年から2008年までの主として胡錦濤時代に行われた諸改革の成果をいくぶん評価しており、それが党の締め付け強化、人権無視、言論弾圧、人民の抗議活動弾圧という強硬路線に転換して、社会的混乱が以前よりひどくなった08年以後に中国に失望したのである。


軍事パレードを目撃した教授は「なぜ人民のための軍が、これほど厳重な警戒のもとにパレードを挙行するのかと疑問を呈した。この軍隊は人民のためではないからである。


しかし結論的にシャンボー教授は一縷の望みをもっている。


それは第十九回党大会で、おそらく習近平はリベラルな、改革派の政治家を登用するだろう。むろん再任が明らかな李克強・首相をはじめ、王洋・副首相と李源潮・国家副主席らを重宝する人事を予測する。


「でなければ習近平は独裁政治に舞い戻り、中国に暗い未来に突入するしかない」。


日本では多くのチャイナウォッチャーによって出尽くした議論をシャンボー教授が何をいまさらという感無きにしも非ずだが、中国で一時厚遇されたパンダハガーのかような転向振りが問題なのである。


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| 宮崎正弘 | 22:13 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







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