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G20(上海)では、結局何もまとまらなかったのではないのか   宮崎正広

■周小川(人民銀行総裁)、半年ぶりに出現し「中国経済は大丈夫」と会見


上海で開催されたG20財務相・中央銀行総裁会議(2月26日―27日)で、いったい何が決まったの?


発表された「共同声明」の重要な部分は次の文言しか並んでいない。


「年初からの世界的な市場の混乱を終息させるため、財政出動をともなう景気刺激対策、構造改革の加速など全ての政策手段を用いる」


「通貨の競争的な切り下げを回避する」


「新興国からの資金流失を食い止める対応指針を策定する」


いずれも抽象論に終始し、具体的な方法論は聞かれない。


全体の印象より、次のことが重要である。


誰も中国のSDR入りへの疑問を提議しなかった。中国から急激に資金が流出しているのに、適切な対応策をとらない中国へ批判らしい批判は無かった。


そして、BRICS銀行が行方不明になったが、殆どどの国も問題視しなかった。


インドをのぞき、ロシア、ブラジル、南アという資源依存国家は、経済低迷、通貨暴落の危機に見舞われており、中国主導の加盟国の協調体制どころの話ではなく、昨年のモスクワ会議以来、これという対応策は発表されてもいない。


BRICSは霧の中に消えそうである。


ミッシェル・サパン仏財務大臣は上海入りするまえに香港で会見し、「(皆が問題点をごちゃごちゃ言っているが)狂った議論としか思えない。問題は中国であり、そして米国の利上げと原油安。ほかは深刻な問題とは思えない」と発言した。


また麻生財務相は「中国の過剰生産設備、在庫の問題は合理化が不可欠」としての対応を中国に求めたと発言するに留めた。


 ▼周小川はそれまで何処に隠れていたんだ?!


G20終了後、記者会見に現れたのは周小川(中国人民銀行総裁)だった。


むろん、辛口の質問が集中したが、概括的に言えば、「中国経済は大丈夫」と強気の発言を繰り返し、市場の不安をおさえようと躍起だった。


なにしろ昨年の株暴落、人民元下落以来、半年ぶりに公の場に姿を現したのだから、世界のマスコミの関心は周小川の発言に集中した。


周発言の重要なポイントは次の八つ。


第一に「通貨安戦争を中国は意図していない」と発言した。


人民元の若干の切り下げは輸出好調の筈だが、貿易は減少傾向にある。16年一月の貿易は前年比マイナス14%だったが、とくに言及はなかった。


第二に「人民元は中国が恣意的にレートを決められるものではなく、重層的にドルにペッグしている」とし、依然として世界市場はドルがリードしているとした。


第三に債務危機を指摘されて「一部には対GDP比250%(FTは290%と推定しているが)と言われているが、それなら債務リスクをはかる基準はなになのか」と周小川は開き直る。


第四は個人ローンの危機だが、全体の25%であり、深甚なリスクとは思えない。全住宅関連の債務は全体の40−5%であると数字を挙げるのみに終始した。


第五に資金流失のリスクを批判されたが、周は「問題は国内景気浮揚である。銀行間の調整を日夜行っており、資金の海外流失は些細な問題だ」と問題をすり替えた。


第六に金融システムの改善、改変だが、これは調整中であり、2015年に中国が遭遇した通貨下落、株暴落などの経験から「今後も調整が必要という認識はあり、現在研究中だ」とした。裏を返せば調整は進んでいないということである。


第七にサプライサイド政策を続行し、市場に観測されるボラタリティ(乱高下)は「心配におよばない」と裏付けのない、強硬発言しかなかった。


楼継偉財務相も、記者会見では「競争力のために為替レートを目標にはしない」「中国版プラザ合意の成立説はファンタジー」などと事前にも発言していたが、「中国はなお、財政出動の余地がある」としたことに注目しておきたい。


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| 宮崎正弘 | 07:45 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







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