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書評『本音でミャンマー』  宮崎正広

■日本のメディアのスーチー礼讃はいつまで続けるのか ミャンマーの日本大使館は首都のネピドーへ率先して移管せよ


<寺井融『本音でミャンマー』(カナリア・コミュニケーションズ)>


のんびりとほのぼのとした文章には味があり、全体がアジア漫遊記のような体裁をとって、あちこち走馬燈のように旅の想い出が重なり、時空を越えて、哲学的な箴言がちりばめられ、また鋭い観察と提言が本書ではなされる。


あるときに著者はベトナムへ、タイへ、カンボジアへと飛ぶ。そして何回も通い詰めるのは著者が愛して止まないミャンマーである。


かつて日本の新聞と言えば、ミャンマーの軍政は悪、スーチーは善玉という勧善懲悪的二元論で、ミャンマーを上から目線で裁いてきた。朝日に限らず読売、産経も似たような記事が多かった。


いわく「ミャンマーは軍事政権で、民主的ではない」と批判していた、けれどもと疑問を寺井氏は投げかける。


「では、中国やベトナム、北朝鮮など、共産主義国家はどうなのか。共産中国に比べて、ミャンマー報道が厳しすぎるのではないか」


がらりと変化が訪れたのは米国オバマ政権の「ピボット」である。制裁から友好へとスタンスを代えるや、経済支援強化、ミャンマー支援へと急激に流れが変わり、安倍首相もヤンゴン入りし、日本企業専用団地の起工式に自ら出席するほど、日本の経済界はミャンマー進出に加速度を付けた。


全日空は直行便を飛ばし出し、ヤンゴン市内は建設ブームに沸き、駅前の大規模開発に日本企業はチームを組む。


おっと。変わり身の早さで定評のある朝日は2013年10月12日付けで、一面トップは「テインセイン大統領単独会見」とやった。


そして国会議員選挙はスーチー陣営の圧勝となり、スーチーは「大統領を超える存在になる」と尊大な言辞をはいたため、さすがの日本のメディアも批判的となった。スーチーの政治力はまったく未知数、あのスタンスで過酷な国際情勢に船出できるとは到底考えられないが、西側はまだミャンマーの未来に期待する。


著者は本書の最後に提言している。「大使館は首都のネピドーへ移管するべきではないのか」と。


移転しないのは制裁時代の名残であり、外交上からも首都に設置しない国は、ほかに特殊事情のイスラエルくらいなものだろう。

    
<a href="http://www.kajika.net/">杜父魚文庫</a>

| 宮崎正弘 | 10:22 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







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