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中国悲観論が加速、指導部への失望感で   古沢襄

■ウオールストリートジャーナル・コラムニストANDREW BROWNE氏の見解


【上海】世界の投資家が中国に抱く心理はいつも、行き過ぎた楽観か極端な悲観かのどちらかに大きく振れていた。


ただ、足元の悲観ぶりはこれまでになく極端になっている。


この理由は、景気減速では説明がつかない。昨年の公式経済成長率は6.9%と25年ぶりの低水準で、エコノミストの多くは実際の成長率が6%に近いと予想しているが、中国は依然として他の主要国の大半を上回るペースで成長している。銀行には預金が大量にあり、政府にはまだ財政力がある。失業は低水準だ。


今回、驚くほど悲観的なムードに転じた理由は、経済のパフォーマンス以外のところにある。基本的には中国指導部、つまり、経済運営の手法が理由だ。


習近平国家主席が政権の座に就いた2012年、投資家は景気がぐらついていることを認識していた。


温家宝前首相の07年の発言で知られているように、「不安定、不均衡、不調和、持続不可能」な状態だった。温氏が中国の壊れた成長モデルを一刀両断したことは、一種のざんげでもあった。


温氏と胡錦濤前国家主席は早期に問題を認識していたが、重工業やインフラへの投資で政府資金を浪費し、問題を大幅に悪化させた。


習主席は広範な改革を公約した。


トウ小平氏に比肩する改革路線を打ち出す習主席は、中国が投資主導から消費主導の成長に転換する中、国家の役割を縮小し、市場に「決定的な役割」を与えるために60項目の計画を発表した。


習政権は10年の任期の4年目に突入しているが、改革の大部分は棚上げとなっている。中国からの資本流出は、一部の投資家が見切りをつけている兆候の一つと言える。


目下の失望感は、中国の現状ではなく主に将来の見通しに向けられている。改革の進展が再び約束されない中、成長が失速するという予想が広がっているのだ。疑問視されているのは、いつ失速が現実のものとなるかという時期だけだ。


改革はなぜ遅れているのか。習主席は権力基盤を固めるのに忙しい、あるいは、汚職撲滅運動のことしか頭にない、といった声も聞かれる。国有企業の再編、金融システムの開放と競争促進、土地や労働市場の自由化といった異論の多い改革は、合意を形成するのに時間がかかると指摘する向きもある。


だが、もっと基本的な理由で改革が行き詰まっている証拠がこのところ目に付く。習主席は当初の大言壮語とは裏腹に、市場に限定的な役割しか求めていないのだ。


昨年夏、政府が誘発したバブル崩壊で上海株式市場が急落した際に荒っぽい介入で救済に動いたことでも明らかだが、市場原理への道を明らかに逆行する例がいくつかあった。当局は、証券会社に株式購入を強制し、大口投資家の売りを禁止した上に、市場の混乱は投機筋や報道機関、さらには「敵対的な外国勢力」のせいだと批判した。


場当たり的な市場介入の影響は世界に波及している。


国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は特に、中国が昨年十分な説明もなく為替制度を変更し、金融の混乱をどれほど拡大させたかということにいら立ちを表明している。


中国指導部は過去何十年もの間、中国のような大規模な新興国が避けて通れない多数の問題について、市場原理を導入すれば成長への課題に打ち勝つことができる、というストーリーを語ることで悲観的な見方を打ち消してきた。


トウ小平氏自身、秀逸なストーリーの語り手だった。


1989年の天安門事件を受け、投資家の中国離れが加速すると、同氏は世間の注目を一身に浴びる中、自身の改革発祥の地・深センへ赴くことで投資家を呼び戻した。トウ氏は市場への肩入れを強調するため、1990年代序盤に上海と深センに証券取引所を開設した。


1990年代後半のアジア金融危機が市場改革の波の前兆となり、その勢いは現在まで続いている。


当時の朱鎔基首相は、中国の世界貿易機関(WTO)加盟交渉を進め(その狙いは外資との競争にさらすことで国有企業を再編することにあった)、企業に軍の影響力が及ばないようにした。また、官僚主義の是正に努め、民間部門を後押しした。


習主席は10兆ドルを超える規模の経済のかじ取りで、はるかに複雑な課題に数多く直面している。


だが、習主席がこれまでに講じた果断な措置から、同氏が経営工学と国家計画を通じて経済の方向を事実上まだコントロールできると考えていることがうかがえる。その好例が、政府系企業を合併し、さらに強力な独占企業を作り出すという習主席の手法だ。こうした強大な企業への投資を民間企業に認める計画はあまり進んでいない。


海外投資家の意欲をかき立てるような大胆な改革構想が必要な時があるとすれば、それは今だ。為替投機筋は香港市場で人民元を攻撃している。著名投資家のジョージ・ソロス氏は中国経済がすでに崩壊しつつあるとみており、ダボスでの講演で「それは予想ではなく、実際に目の当たりにしている」と語った。


習主席の野心的な改革の進捗(しんちょく)状況を定期的に採点している米中ビジネス評議会は、加盟企業の間で失望が広がっていることを証明している。中国当局は煩雑な手続きの削減や分かりにくいと評判の許可制度の簡素化で進展があったとよく豪語しているが、同評議会の調査では、企業の77%がこれらの分野で全く進展が見られないと回答した。


状況改善を期待できるような説得力のある説明がないため、投資家はますます厳しい結論に達しつつある。それは、習政権は改革に関しては構想通りに進めることができなくなっている、というものだ。(筆者のアンドリュー・ブラウンはWSJ中国担当コラムニスト)

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| 古澤襄 | 06:04 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







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