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都会のネズミと田舎のネズミ、脳が大きいのは?   古沢襄

大分前のことになるが、「都会のドブネズミになるよりは、田舎の野ネズミになりたい」と書いたことがある。


これからの日本は大都市に集中投資して効率化を図るよりも、地方で違った視点つまりは地方分散型の国造りをすることが、必要だと思ったからである。


きっかけは自治省の宮沢官房長が「日本の国造りは大都市集中型よりも、西ドイツの都市分散型が望ましい」と言ったことに共感を覚えたからである。


宮沢氏は西ドイツの高速自動車道アウトバーンのまわりに整備された中核都市の建設に力をいれていたことに注目した。


西ドイツの分散型・中核都市は、極端な大都市集中型とは異なる。住みよい中核都市では各家に地下室を設け、そこに食料を保存していた。同じ敗戦国だったのに国造りの手法が異なっていた。


しかし、その後の日本は東京一極集中型の国造りを行ってきた。地方から若い労働力を東京など大都市圏に集中し、西ドイツとは正反対の国造りをしてきた。


いまになって東京一極集中の弊害がいわれている。都市化の視点を地方中核都市に移すというわけである。米ウオールストリートジャーナルの論評を読みながら宮沢氏の指摘が正しかったと思っている。


■2008年は人類にとって画期的な年だった。人類史上初めて、都市部の人口が農村部のそれを上回ったと推計されたのだ。都会はわれわれのような霊長類には住みにくい場所だ。


他の霊長類と比べると、人類は一生の間により多くの見知らぬ相手と都会で出会う。そして、その他人が友人なのか敵なのかを即座に判断するすべを発達させてきた。


人間は複雑な街の地図を理解し、地平線が見えなくても地図を頼りに先へ進む。人間は、代謝スピードが異常に速い都会の暮らしに適応している。ときには落ち着いて、気楽なように見えるレベルにまでだ。


ならば、都会の暮らしが人間の脳の働きに影響を及ぼしているように見えることは何も驚く事ではない。


ある研究が2011年に英科学誌「ネイチャー」で発表された。都市や町、農村で暮らす人々を対象に、社会的ストレスが脳の働きにどんな影響を及ぼすかを調べたところ、人口の多い場所で暮らしている人ほど、恐怖や攻撃性に関連する脳のへんとう体が活発になることが分かったのだ。研究に使われたストレスは、就職のための模擬面接の後に、制限時間内に計算問題を解くというものだった。

だが、こうした脳への影響は数世代にわたっても当てはまるのだろうか。都市部に住む小動物の脳は異なる進化をするのだろうか。どうもそのようだ。


ミネソタ大学のエミリー・スネルルード氏とアオミ・ウィック氏は都会のネズミと田舎のネズミを対象にした興味深い研究を行った。


都会と田舎に住むリス、トガリネズミ、ハタネズミ、モグラ、ジリス、そしてコウモリも対象とした。


研究者はこの1世紀の間に自然博物館に収集された、これらの小動物の頭蓋骨を調べ、都会のミネアポリスとその周辺の田舎に生息する同じ種類の動物を比較した。


研究者は脳の大きさを間接的に図るため、頭蓋骨の大きさを測定した。その結果、都会で暮らす動物のうち10種類について、その脳の大きさが田舎で暮らす同じ種類の動物より大きいことが分かった。その差が最大のものはハツカネズミとハタネズミ、トガリネズミでいずれも約6%、田舎のネズミよりも脳が大きかった。


学術専門誌「英国王立協会紀要」に2013年に掲載されたこの研究は都会の人間と田舎の人間を比較した研究よりも大きく勝っている。


例えば、都会の住民が周辺の田舎の住民よりも心臓発作に見舞われる率が高いことを発見したとしよう。都会で暮らすことが心臓発作の発症率を高めたのだろうか。それとも、心臓発作を起こしやすい人が、平和な田舎を離れて、微々たるウェイターの賃金で狭いアパートの賃料を払いながら、脚本家を目指しやすい傾向にあるということなのか。動物の場合は人間と違い、大学を卒業した後に自ら決心して都会に出たわけではない。彼らの生息地が都会に変わったのだ。


では、都会での暮らしを余儀なくされたとして、何が脳を大きくさせたのか。恐らく、食べ物を見つける新たな方法(例えばゴミ箱)や、新たな暮らし方(高層ビルのガーゴイルの後ろ)、あらたな敵(路線バス)を避ける能力を身につけるための自然の選択だったのだろう。(訳注:ガーゴイルは怪物などの彫刻がほどこされた雨どいのこと)


だが、都会暮らしの小動物の脳は大きくなり続けるわけではない。研究対象とした期間を通して見ると、都会暮らしの小動物の脳の大きさが変わらないか、むしろ小さくなっている一方で、田舎暮らしの小動物の脳が大きくなっていたことが分かった。


研究者はこう推測する。都会暮らしが始まった最初の数世代で脳の大きさが平均的に急速に拡大したのではないかと。(ただし、研究者はこれを検証することができない。ミネアポリスの街は研究者が入手できる最古のサンプルよりはるか以前にすでに都会になっていたためだ。)この脳の拡大は何世代にもわたって繰り返された後に、都会暮らしにもはや目新しさがなくなった時点でストップしたのではないか。つまり、ドングリを食べることもあれば、チリソースがかかったケールを食べることもあり、どちらも大差がなくなる時点のことだ。


当然、この発見により新たな疑問がわいてくる。都会暮らしでは脳のどの部分が大きくなるのだろうか。都会の小動物は実際、田舎の「いとこ」たちより、いかなる面でも優れているのだろうか。この中で、少しでも人間に当てはまることがあるのだろうか――。


その答えを待つ間、筆者はある想像を楽しむことにしよう。ニューヨークのセントラルパークのどこかで、リスたちが運動用の回し車を新たに考案し、ブロードウェイのミュージカル「ハミルトン」のチケットを入手する方法を見つけているという想像を。(ウオールストリートジャーナル)


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| 古澤襄 | 10:04 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







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