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書評『朝鮮はなぜ独立出来なかったのか』   宮崎正広

■アメリカ人宣教師は朝鮮半島に何を見て、どう考えたのか ロシアと日本の闘いをアメリカという一段高い視点から総括


<アーサー・J.ブラウン『朝鮮はなぜ独立出来なかったのか』(花の木出版)>


「朝鮮の宮廷は絶望的に腐敗し、迫り来るロシアの脅威に朝鮮文明は歴史から消えようとしていた」


こう書いた著者は朝鮮人を愛して止まなかった。


ブラウンはアメリカ人宣教師で、日本のほか、朝鮮、フィリピン、シリアなどに布教活動。本書を含めて十冊の著作を著し、いずれもがかなり客観的に世界情勢を分析している。


日本と朝鮮に関して熱烈に、しかも客観的な態度を心がけながら情況を叙述した証言的な記録で、1919年にアメリカで出版されていた。イザベラ・バードの『朝鮮紀行』よりはるかに情報が多く、描写も詳細を極めている。


しかし、やはり「宣教師」の目である。「キリスト教がのぞむ全世界の平安」という語彙がさりげなく挿入され、しかし日本は日露戦争中もロシア正教会の布教を寛容に容認しており、また売春婦や麻薬に関しても宣教師の立場から日本に批判的である。アヘン戦争を仕掛けたのは英国、それで大いに稼いだのはアメリカじゃなかったっけ?


しかしブラウンはこう書いている。


「(日露戦争での)日本の勝利は、日本だけではなく、朝鮮、中国、そしておそらく世界に新しい時代をもたらし、極東政治の形勢を一変した。日本は第一級の大国の一員として認められ、あらゆる場所で、ロシアの威光は弱まった。


それは日本の指導下で、朝鮮が再建されることを意味した。そして人類の三分の一以上を占める極東の大勢の人々が、ロシアの有害な絶対主義の影響に飲み込まれてしまうかも知れないという恐怖を消し去った」


本書は800ページを超える浩瀚。近代史に興味の薄い人にとっては大冊すぎて気が重くもなるが、当時の朝鮮人の生活実態、進出して生きた日本人の生き様、制度、官憲の態度など、やはりアメリカ人の視点から見た書き方ではある。


この本は「欧米人がみた朝鮮シリーズ」三部作の一環で、さきにも当該書肆からはジョージ・トランブル・ラッドの『1907』、アレン・アランウッドの『The NEW KOREA』が翻訳出版されている。いずれも本邦初訳である。


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