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中国の本当のGDPはマイナス3%   古沢襄

そんなに成長しているはずがないとわかっていながら、これまで、誰も中身を知り得なかった中国のGDP。政府によって管理されていたブラックボックスを開け、ドクターZが「本当の数字」を導き出す。


■そもそも全部デタラメ


各地で廃墟と化した工業団地や商業施設、上海株の大暴落、人民元の対ドル相場切り下げ……。中国経済の大失速が顕在化し、「チャイナリスク」の恐怖が叫ばれるなか、10月19日、中国国家統計局によってある重要な数値が発表された。


7-9月期のGDP統計だ。


中国経済はいま、どれほど落ち込んでいるのか。チャイナバブルと言われた勢いは、いったいどこまで失われてしまったのか。政府によってコントロールされた統計であるとはいえ、今回の発表でその一端を知り得ることができると、市場関係者の間で大きな注目を集めていた。


そんななか、打ち出された数値は、前年同期比6・9%増。なんという芸術的な値だろうか。


事前の市場予測は6・8%。中国政府が目標とする数字は7%だったので、そのちょうど真ん中に「落とし込んだ」わけだ。


この数字を作り出した中国国家統計局の担当者の心中は、容易に推しはかれる。


7%成長は、習近平国家主席が公言している国家目標。しかし、中国経済の実情がひどいものになっていることはすでに知られており、7%という数字を出せば、世界中の市場関係者から「嘘つき」と非難を浴びてしまう。かといって、7%を大きく下回る数字を算出すれば、習主席の逆鱗に触れて自分のクビが危ない。こんな葛藤から、6・9%-。


だが、はっきり言って、この6・9%増という数字は、まったくのデタラメ。「真っ赤なウソ」である。


かつてのソ連がそうであったように、社会主義国では、メンツが重視される。そのため、統計数字の割り増しは日常茶飯事。経済学における数多くの研究も、社会主義国の統計があてにできないことをとっくに明らかにしている。当然、中国のGDP統計も到底信じられない。


そもそも、中国のGDP統計は、発表時期からしておかしい。中国の7-9月期GDPは10月19日に発表されたが、これはアメリカの2週間前、日本やユーロ諸国の1ヵ月前にあたる。異常ともいえる早さだ。


GDP統計は、各種統計の加工・二次統計なので、算出には一定の時間が必要である。先進各国が知識や技術の粋を集めて算出しているのに、中国だけがこんなに早く発表できるということ自体、きちんとデータを精査していない証左だ。


では、中国の「本当のGDP成長率」はどれほどなのか。私は独自のデータから中国経済を分析。真のGDP統計を導き出した。


だが、その試算を発表する前に。


まずは中国のGDP統計がいかにでたらめか、そのなかで信頼のおける統計データは何か、を見ていこう。


■信頼できるのは「李克強指数」


先進各国のGDPが正しいかどうかは、いくつかの指標によって分析されている。それらを中国に当てはめて見ていきたい。


まず、GDPの成長率と負の相関関係があるとされているのが、失業率だ。つまり経済成長すれば、失業率は減る。これは経済学の世界では、オーカンの法則として知られている。

中国が発表した今年3月の失業率は4・05%。前年同期の4・08%をやや下回る程度だった。GDP7%増という経済成長を遂げているならば、失業率はもっと劇的に下がっているはずだが、そうはなっていない。


そもそも、中国では全国を網羅した失業率の調査も実施されていない。中国での失業率の正式名称は「登記失業率」といい、これは政府に「登録された者」しか含まれていない。事実上は失業しているが、確認が取られておらず、「登記失業率」に入らない者が非常に多いのだ。


失業率だけでなく、物価もまた、GDP統計を分析する上で重要視されている。経済学におけるフィリップス曲線をもとにすれば、GDP成長率と物価は正の相関関係にあることになる。GDPが増えれば物価もまた上昇するのだ。


中国における9月の物価上昇率は、前年同月比で1・6%。確かに上昇してはいるが、そもそもこの数値をどのように算出しているのかが、まったく見えないのが問題だ。


中国の物価統計は、GDP統計以上に驚異的な早さで公表される。9月の消費者物価指数の発表は10月14日。国土の狭い日本ですら、10月30日であるにもかかわらず……。物価統計は多くの品目を綿密に調べるため、算出に時間がかかる数値。国土が広い中国がどう調査しているのか、その方法は謎に包まれている。


これまで述べてきたとおり、中国の統計を握っているのは「政府そのもの」。失業率、物価上昇率といったデータは信用できず、「本当のGDP成長率」がどうなっているのかを知ることは極めて困難だ。


だがそれでも、類推することはできる。


中国にも、「まともな統計」としてある程度信用できる指標がある。貨物輸送量、電力消費量、銀行融資残高の3つだ。


その根拠は、内部告発支援サイト「ウィキリークス」が、'07年に公開した李克強首相の発言。李氏は遼寧省党委書記を務めていた当時、「中国のGDP統計は人為的であるため信頼できない。経済評価の際に重視するのは、貨物輸送量、電力消費、銀行融資だ」とはっきりと語っている。


「李克強指数」といわれるこれら3つの指標を正しいとして、GDP統計を算出した調査結果がある。それによれば、'15年のGDP成長率は2・8%。中国が発表した6・9%増の半分以下だ。


だが、私の試算ではこの数字はまだ甘い。中国の「本当の成長率」はさらに厳しいものだ。


中国のGDP統計を算出する上で、「李克強指数」以上に信頼できる指標がある。


それは、輸入統計だ。中国の輸入は相手国から見れば輸出にあたり、その値は各国が公式に発表しているのだから、輸入統計は誤魔化すことができない。


■「中国ショック」にそなえよ


中国の今年1~9月の輸入総額は、前年比15%も減少している。輸入が前年比10%以上も減少しているときに、GDPがプラス成長ということはまずあり得ない。絶対に、と言ってもいい。6・9%増などもってのほかだし、2・8%すらも大きく下回っていることは間違いない。


そう言い切れる理由は、10ヵ国以上の世界の先進国の輸入の伸び率とGDP成長率が、確かな正の相関関係にあることがわかっているからだ。このことは、「一つの変数が、もう一方の変数にどれだけ影響を及ぼすか」を導き出す、回帰分析という手法によって明らかにされている。


ではそこに、マイナス15%という中国の輸入伸び率を当てはめるとどうなるか。導き出されたGDP成長率は、驚くべき数値になった。


■「マイナス3%成長」


これが私の試算した、中国の「本当のGDP成長率」だ。


いまは隠されているが、GDPマイナス3%という中国経済の実態が表面化すれば、中国に進出している各国企業は、我先にと「撤退」を始めるかもしれない。そうなれば、'08年のリーマン・ショック以上の危機が、中国発で勃発することになるだろう。


当然、日本にも多大な影響がある。リーマン・ショック直後、'08年10-12月期のアメリカのGDP成長率はマイナス5・4%。これに対し日本は、実にマイナス10・2%という大幅な落ち込みとなった。


「中国ショック」が起きれば、アメリカよりも震源地が近いだけに、影響はリーマン・ショック以上になるはずだ。


もっと言えば、この状況下で、'17年4月から10%への消費増税を行えばどうなるか。今年の経済財政白書では消費増税の日本全体への影響が分析されていて、仮に中国ショックがなかったとしても、'17年度の経済成長率はマイナスになるとされている。そこに中国ショックが重なれば、日本経済は大げさではなく、沈没する。


中国に何が起きているか。見せかけの数字に惑わされてはならない。(週刊現代)


<a href="http://www.kajika.net/">杜父魚文庫</a>

| 古澤襄 | 09:35 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







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