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「大統領出てこい!」大衆迎合で動けなくなる朴氏の対日外交   黒田勝弘

街の声でこのところ、「朴槿恵大統領は運が悪い」というのをよく耳にする。昨年のセウォル号沈没事故に続き、今回の「MERS(マーズ)感染騒ぎ」のことを言っているのだ。いずれも民心が一種のパニック状態になり、対応の遅れなどで政府が激しい批判にさらされているからだ。


メディアは人々の不信や不安をあおり、野党や反政府系は決まって「大統領が悪い」と大統領非難に走る。大事故、大事件など人災はもちろん、伝統的には天変地異の天災まで「指導者に徳がないから」という“災異観”がある社会だけに、大統領はつらい。


朴大統領は突発する大事故、大事件への対応にばかり忙殺されて何もできない状態が続いている。


すでに5年任期の3年目なのにまだこれといった政権の成果が見当たらない。そして「運も実力のうち」となってその指導力への不満、批判が強まっているのだ。


「マーズ騒ぎ」の中で朴大統領は来週に予定されていた訪米を延期した。「外交より国民の安全、安心が優先」と判断した結果というが、この判断に世論は必ずしも拍手喝采ではない。


訪米は14日から18日に設定されていた。外交当局をはじめ政府および与党を含め大勢は、「日程を短縮してでも出掛けるべき」だった。


これに対し訪米延期論は主に野党陣営から出ていた。「民の声」と称しあらゆることで政権の足を引っ張ろうとする野党・反政府派としては当然の主張だ。


ところが朴大統領は、政府・与党内の大勢に反し自らの決断で訪米延期を決めた。


「国民の安心、安全が第一」という名分は十分にある。そして「国民に寄り添う大統領」としての訪米延期はカッコいい。


しかし冷静に考えれば「マーズ退治」は大統領がいなければできないというものではない。にもかかわらず外交的重要日程さえ中止したことは、対外的には韓国の国家能力に対する疑問や不信を招くものだ。


それに訪米延期は国内的には「大統領出てこい!」という、大衆感情に押されたいわゆるポピュリズム(大衆迎合)政治である。これに身を任せると今後、野党や反政府派の世論圧力に押され何もできなくなる事態が予想される。


このため、保守派の間では大統領の指導力に対する疑問が膨らんでいる。


大衆感情に左右され国家の軸としての判断ができていないのではないかというわけだ。与党・保守派の代弁紙である朝鮮日報は社説で「朴大統領は果たして国家指導者らしい判断力を見せているのかどうか、自ら振り返る必要がある」(11日付)と手厳しく批判している。


朴大統領の訪米は、安倍晋三首相の訪米直後だけにことのほか関心が高かった。韓国は安倍首相訪米の際、米議会演説や歴史認識問題などで“対米反日工作”に熱を上げたが、結局は日米緊密化を阻止できなかった。逆に米国では「韓国疲れ」が語られ、今回の朴大統領訪米は挽回のチャンスになっていた。


訪米では韓米同盟強化策や日米韓協力体制の行方とともに、これまでの“二股外交”とも受け取られる中国接近策の“真意”についてどういう説明が行われるのか、関心を呼んでいた。朴槿恵外交の行方は東アジア情勢にも影響が大きい。


しかし「外交より大衆感情」を優先した今回の判断は、慰安婦問題という大衆感情にこだわり動けなくなっている対日外交の展望にも、あまりいい影響はなさそうだ。(産経)

 
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| 黒田勝弘 | 09:40 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







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