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米QEが新興国に残した束の間の成長と永続的痛み    古澤襄
ロイターのコラムニスト・Andy Mukherjee氏は6年に及ぶ米連邦準備理事会(FRB)の量的緩和(QE)が新興国市場にもたらした束の間の成長加速を与えたと指摘する一方で永続的な痛みも与えていると論じた。つまりは、米国でQEが終わった今、新興国市場は望ましくない状況に陥ってしまったという。

新興国はいずれも高水準の債務を背負い、それを返済するために生産を拡大しようと格闘しているとの厳しい論評である。


[シンガポール 30日 ロイター BREAKINGVIEWS]6年に及ぶ米連邦準備理事会(FRB)の量的緩和(QE)が新興国市場にもたらしたのは束の間の成長加速と、永続的な痛みだ。

QEは多くの新興国の成長率をほんの一時押し上げ、その一方で信用ブームを煽った。米国でQEが終わった今、新興国市場は望ましくない状況に陥ってしまった。高水準の債務を背負い、それを返済するために生産を拡大しようと格闘しているのだ。

BREAKINGVIEWSが23の新興国市場を分析した結果、FRBのQE開始以前に比べて17市場で国内総生産(GDP)に対する民間債務比率が大幅に上昇していた。

特に上昇が著しいのは、小規模かつ開放経済型のアジアの各市場だ。香港では総債務のGDP比率が250%に膨れ上がり、シンガポールも140%近くとなった。9カ国は政府債務が急増。チェコでは公的債務の対GDP比率が40%と、米QE前の平均値の2倍に達している。マレーシアの同比率はQE前に比べて10%上昇した。


GDP成長率が加速していれば債務増加も正当化されたかもしれないが、2010年下期には成長率の押し上げ効果も消え去った。23市場のうち、ロシア、タイ、南アフリカを含む約半分は成長率がQE前の平均を大幅に下回っている。

先進国においては、QEは景気低迷の長期化を食い止める効果はあったが、需要拡大には力を発揮しなかった。米政府が財政刺激策を徐々に減らし、ユーロ圏がユーロ防衛のために財政緊縮の道を選ぶと、新興国市場からの輸入需要は衰えた。中国の景気減速が泣き面に蜂となり、特に石油、石炭、金属の輸出業者を苦しめた。

QEが踏み込み不足だった可能性はある。先進国では借り入れ需要が乏しいのに、信用創造を銀行に頼る仕組みだったからだ。新たに刷ったお金を家計に直接届ければ、最終需要のテコ入れにもっと効果を発揮したかもしれない。輸出がもっと健全な形であれば、新興国市場はさほど債務を増やさずに持続的成長を達成できた可能性もある。成長がかくもはかなく消え去り、痛みがかくも長続きすることはなかっただろう。
(ロイター)

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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