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書評『イラスト図解 戦闘機』    宮崎正弘
■「防空識別圏」を一方的に設定した中国がちょろちょろと日本領空にやってくるが、自衛隊のスクランブル出動ですぐに居なくなる理由はなにか?

<鍛冶俊樹・監修『イラスト図解 戦闘機』(日東書院)>

本書は飛行機マニアの本ではない。防衛論である。

通常のムックや図鑑とは性格が異なり、国家安全保障論の一環として編まれていることに最初に留意したい。そのうえで、歴代のジェット戦闘機45機種の図解によりそれぞれの徹底解剖がなされる。詳細のイラストと写真が450点も添えられたゴージャスな本でもある。

零戦の撃墜王と言われた坂井三郎は、いかなる航法をとったか、日本がF1に選定するという段で「乗って見なきゃわからん」と実際に米国へ飛んで候補機種に載ってきたのは源田実だったとか、逸話も豊富に添えられている。

圧巻は「防空識別圏」をかってに設定した中国がちょろちょろと日本領空にやってくるが、自衛隊のスクランブル出動ですぐに居なくなる理由はなにかを追求した箇所で、中国軍機は何かの欠陥があるためだとし、いくら強がりを見せても、中国機はすぐに消えるのである。

戦闘現場での臨場感が一般的解説書とは異なっている。

          □

関連記事=鍛冶俊樹の軍事ジャーナル 第157号(8月8日)「核兵器による平和」
 
今年は第1次世界大戦が勃発して100年である。1914年8月に欧州で起きた戦争は、当初3か月で終わると考えられていたが、実際には世界中を巻き込んだ4年間の大戦争となった。

1939年には第2次世界大戦が勃発して、6年にわたる大戦争となった。25年間に二つも世界大戦が起きた訳だが、その後70年近く世界大戦は起きていない。何故起きないかと言えば、核兵器があるからだ。

第2次大戦後の米ソ対立は第3次世界大戦に発展しても不思議はないほど深刻だったが、核戦争に発展する事を恐れた両国が意図的に直接対決を避けたため、そうはならなかった。米ソ冷戦と呼ばれる所以である。

今のウクライナ危機だって、核兵器がなければ、とっくに世界大戦になっているに決まっている。それが局地紛争と経済制裁に限定されているのは、核兵器が登場した現代においては世界大戦=核戦争である事を各国が理解しているからである。

その意味では、原爆の悲惨さをアピールするのは世界大戦回避のため有益であるが、その宣言文の通りに核兵器を廃絶したら、たちまち世界大戦が起きると言っていい。核兵器なき平和は謳い文句としてはいいが、核兵器によって平和が維持されている現実を忘れてはなるまい。

さてウクライナ危機は米露対立を引き起こしているが、世界大戦に発展しないという前提で考えると、その状況はかつての米ソ冷戦に似てくる。特にロシアと中国が接近している状況は1950年代から60年代の中ソ一枚岩といわれた冷戦前期を彷彿させる。

この時代、中ソ同盟に脅威を感じた米国は、かつて敵国であった日本とドイツの協力を必要とし日独を優遇したから、日独は敗戦の廃墟からたちまち立ち直り、奇跡の経済発展を遂げた。

この時代に類似するとなると、米国は中露接近に脅威を感じ親日政策を取る筈だから、再び日本は驚異の経済成長が見込めることになる。そういえば60年代、高度経済成長期の総理は佐藤栄作であった。

いうまでもなく安倍総理の大叔父であるが、両者は風貌が似ているだけでなく、長期政権を標榜する安倍総理が8年近い長期政権を実現した大叔父を政策面で見習わない筈はない。日本は昭和元禄と呼ばれたあの鼓腹撃壌の平和を再び満喫するのかも知れない。

杜父魚文庫
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