<< 米、東欧への軍事支援を強化   古澤襄 | main | ルペン「国民戦線」はフランスの国益を追求している、まっとうな政党   宮崎正弘 >>
”二代目X”の登場か   古澤襄
小泉訪朝の一年前だったろうか、中川秀直官房長官と北朝鮮の姜錫柱第一外務次官がシンガポールで秘密会談を持ったことがある。森内閣の頃、二〇〇一年一月のことであった。中川は姜錫柱と初めて会う。姜錫柱の顔写真を持っての秘密会談。

姜錫柱は平壌の国際関係大学出身。兄は労働党歴史研究所の所長。パリの北朝鮮代表部、欧州問題担当の外務次官を歴任、1994年6月2日からニューヨークの米国連代表部で開かれたガルーチ・姜錫柱会談で初めて西側の前に姿をみせた。

公式会談の前に実務レベルなどの非公式折衝があったが、姜錫柱が「風とともに去りぬ」が愛読書だと言って、それが嘘でない証拠に本の一節を英語で語ってみせている。米側はこれまでにない姜錫柱のスタイルに興味を持った。(ドン・オ−バードファー 「二つのコリア」)

姜錫柱は金日成の側近、カーター元米大統領の歴史的な訪朝でカーター・金日成会談が持たれたが、金日成の隣に姜錫柱が座り、金日成はカーター提案をその場でいちいち姜錫柱の意見を求めている。それを目撃したカーターは、会談後わざわざ姜錫柱と別途、会談して細かい点を詰める配慮をみせた。

金日成の死後、後継者の金正日総書記も姜錫柱を重用している。小泉・金正日会談で姜錫柱はぴったり寄りそう様に金正日の隣に座っていた。

一方、これに先立つ二〇〇一年十一月十七日、外務省の田中均アジア大洋州局長が大連のホテルで”ミスターX”と会談を持っていた。”ミスターX”は北朝鮮国家安全保衛部の柳敬(リュギョン)副部長だといわれている。柳敬は二〇一一年二月に北朝鮮内部の権力争いに巻き込まれて粛清されている。

同じ頃、米下院外交委員会の公聴会で、朝鮮半島問題研究者、国際政策センターのセリグ・ハリソン氏が証言した中で「北朝鮮の若手将校らは金正日国防委員長が、二〇〇二年に日本人拉致を認め謝罪したことに憤慨している」と注目すべき証言を行った。

明らかに外務省畑の姜錫柱に対する軍部強硬派の反発が生まれていた。加えて日本人拉致を認め謝罪したことで、日本から経済支援を得るという金正日の目算が外れ、姜錫柱は粛清はされなかったが、病気でモスクワで治療を受けている説などが頻繁に流れた。

小泉・金正日会談で、日本の予測を上回る多くの拉致被害者が死亡しており、僅かに五人しか生き残っていないことが明らかになり、日本の世論が硬化して姜錫柱の目論みは失敗した。

北朝鮮の対日交渉の司令塔が軍部出身の外交官僚に移り、日朝交渉は停滞せざるを得ない状況に置かれた。とはいえ北朝鮮の孤立は覆うべくもない。日本との拉致交渉を再立ち上げして、孤立状況から脱することに動く様相がみえる。

そこで登場したのは粛清された柳敬の後継者を名乗る”二代目X”。金正恩(キムジョンウン)第1書記と意思疎通が出来ているという触れ込みである。

金正恩は最近、歩兵軍団長9人のうち6人を入れ替え、7月に任命された玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)総参謀長を副元帥から大将に降格させるなど、軍部に対する統制も進めていると韓国紙・中央日報が伝えている。まだ海のものとも山のものとも分からぬが水面下で新しい動きが出ているのは間違いない。

■朝・日協議を主導した2代目「ミスターX」

昨年末、北朝鮮の国家安全保衛部の柳敬(リュ・ギョン)副部長の後任を名乗る人物が日本政府に「拉致問題をめぐる交渉を再開しよう」と持ち掛けた。柳氏は2002年に水面下の交渉を通じ、朝・日(日朝)首脳会談と拉致被害者の一部送還を実現させた人物であり、日本では「ミスターX」と呼ばれていた。柳氏は2011年に粛清されたと伝えられる。

朝日新聞によると、日本は連絡を取ってきた保衛部関係者を柳氏の後任という意味で「2代目のミスターX」と呼んでいるという。後任者のメッセージを伝えたキム・ジョンチョル氏は、02年にも柳氏と日本の外務省との実務的な連絡を担当した人物だ。当時日本政府は保衛部の「ミスターX」が本格的に動いている以上、交渉に成果があり得ると判断し、北朝鮮との秘密交渉に着手した。

日本政府は「張成沢(チャン・ソンテク)氏の処刑で中国との関係が冷え込んだ時期だったため、北朝鮮が経済支援を得るため、積極的に交渉に乗り出す可能性が高い」と判断した。ミスターXが所属する保衛部は、張氏の処刑を主導したとされる。

02年当時、官房副長官として朝・日首脳会談の実現の全過程を見守った安倍現首相は、交渉に積極的に応じるよう指示した。「2代目ミスターX」は11年にも当時の民主党政権に交渉再開を打診した。しかし、交渉経験がなかった民主党政権は、半信半疑で消極的に対応し、交渉は中断した。

ミスターXの仲介で、今年3月10日から14日にかけ、拉致被害者の象徴的人物である横田めぐみさんの両親が、めぐみさんの娘、キム・ウンギョンさんとモンゴルで面会を果たし、交渉が加速した。日本は面会実現を受け、ミスターXが金正恩(キム・ジョンウン)第1書記にも通じる人物で、北朝鮮が真剣に交渉合意を望んでいると判断し、3月末に秘密交渉を局長級の正式な協議に格上げした。(韓国・朝鮮日報)

杜父魚文庫
| - | 08:33 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







スポンサーサイト
| - | 08:33 | - | - | pookmark |







コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://kajikablog.jugem.jp/trackback/1007273
トラックバック

CALENDAR

S M T W T F S
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
<< October 2019 >>

SEARCH

SELECTED ENTRIES

RECENT COMMENT

CATEGORIES

ARCHIVES

LINKS

PROFILE