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移民に寛大なカナダも中国人対策を変更へ   宮崎正弘
■イナゴの大群をなんとかしろ、移民に寛大なカナダも中国人対策を変更へ 「投資ヴィザ」の条件を強化、足並みを揃えだした大英連邦の国々

カナダ政府が2月11日に発表した移民プログラムの変更は世界的な話題となった。この措置を殆ど無視した日本のマスコミは別として、『ウォールストリート・ジャーナル』も『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト』も大きな扱いで、カナダの決定を伝えた。在米華字紙も詳細なニュースを配信している。

何が問題か。カナダ政府は従来、80万カナダ・ドル(およそ7600万円)を五年間、無利子で投資する投資家の移民申請に「滞在ヴィザ」を発給してきた。

このためバンクーバーは「ホンクーバー」と渾名されるほど、香港からの移民が目立った。

モントリオールやトロントなど各都市にも忽然とチャイナタウンが出現し、公共施設を汚したりするので問題となり、中国からの移民に悪印象が拡がっていた。かれらは認められた滞在期間中に、次の手を使って永住ヴィザを取得する。

1970年代までカナダへの移民は75%以上が欧州からだった。

80年代になるとインド、パキスタン、フィリピンからの移民が急増したため「公用語二ヶ国」(英語、フランス語)のどれかを支障なく喋ることを優先条件にするという政策変更条項を移民法に「つけ加えるか、現状維持か」でカナダ政界は揉め続けた。

インド、パキスタン、フィリピンからの移民は就労が目的であり、ならば富裕層に投資をよびかける作戦に切り換えたのだ。

もとより多元的価値観、文化多元主義を掲げるカナダは、「人道」「平等」「自由」という概念が強いため、インドなどから「公用語強要は民族差別だ」と訴えられると引き下がってしまう。

90年代にはアジアからの移民が60%を越えるようになり、とりわけ過去数年間、顕著な動きが中国の富裕層のヴィザ申請である(2011年統計でカナダへの移民全体の11・5%が中国人だった)。

環境変化は各国のヴィザ薄給条件を変える。

たとえば米国の移民プログラムは50万ドル(およそ5250万円) + アメリカ人の雇用十名以上という厳しい規則が投資プログラム(EB−5)が適用され、この条件をクリアするとグリーン・カードが発給される。

この抜け道は中国各地にある「移民斡旋エージェント」で、「見せ金」「偽造書類」はお手のもの、従業員をよそおう中国人(アメリカ籍)を総動員して、移民受け入れのシステムが出来た。なにしろ偽札を容易につくる国であるから、偽造書類など赤子の手をひねるほどに簡単なことなのだ。

このため米国では2013年11月だけの統計をみても、6900名の中国人がグリーン・カードを入手していた。

全米どこへ行ってもチャイナタウン、その周辺にへばりつくように形成されたのがコリアン・タウンだ。

そしてインチキの寿司バアなんぞも儲かるからと適当に経営し、酢飯も炊けない人たちが「寿司」なるまがい物を「健康食」だと言って売っている。米国でも中国からの移民は大問題、在米コリアンと並んで巨大な政治ロビィを築きあげた。

 ▼カナダが申請を拒否した中国人は46000名

中国の富裕層でカナダ政府へ投資プログラムによる移民申請をし、拒否された人々は、およそ46000名に及び、彼らが受けた衝撃は甚大である。

在米華字紙の「多維新聞」(2月12日)は、こう書いた。「中国富豪美夢破砕」

カナダ政府は苦情の殺到に対応し、「移民を抑圧することはない」と声明を出す一方で「従来のヴィザ条件は、あたらしく制定を検討している『イミグラント・インベスター・ベンチャーキャピタル・ファンド』が代替するだろう」としている。

さて、カナダの移民政策変更の動きは大英連邦に共通している。

英国は従来、留学生が大学卒業後もそのまま住みつくスタイルの中国移民が多かったため、欧州各国より、比較的静かなチャイナタウンぶりだった。

が、それも様変わり。「中国移民を帰国してもらおう」という市民運動がロンドンで起きた。「外国人を叩き出せ」というのはイタリアの北部同盟である。欧州各地も移民排斥の保守勢力がぐんと支持を伸ばしている。

豪は、習近平の実弟が豪邸を保有し、前国家副主席だった曾慶紅の息子が事実上、豪に移住したように、中国人富豪の投資先である。

豪の投資ヴィザの条件は5000万豪ドルの居住用住宅を購入すると四年間の居住ヴィザが降りた。豪不動産相場が高騰し、外国人が584億豪ドル分の不動産を購入した統計があるが、このうち7%が中国人だった。豪も新政権誕生後、政策変更が行われる見通しである。
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 読者の声 どくしゃのこえ REDERS‘ OPINIONS 読者之声
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(読者の声)インドのことにも詳しい宮崎先生にお尋ねしたいのですが駐インド米大使が野党候補のモディ師と会見したニュースが有りましたが、これはたいへんな政治的変化ではないのですか?(JJセブン)

(宮崎正弘のコメント)拙著『世界から嫌われる中国と韓国、感謝される日本』(徳間書店)のなかでもインドのことをかなり書き込みましたが、野党「インド人民党」(BJP)のモディ師は、ヒンズー至上主義者であり、同時にエコノミストでもあり、そしてグジャーラート州の「首相」(チーフ・ミニスターとインドでは表記)です。

インドの総選挙(五月)を前の世論調査では与党より人気が高い。名門ガンジーの孫は、有力候補とはいえ、人気はいまいちです。

しかしモディ師は、2002年におきた暴動(千名前後が虐殺された)で宗教対立を扇動した容疑があり、欧米はモディ師の入国を拒否してきたばかりか、アメリカは駐印度大使の同師への面会を禁止してきたのです。

そのモディ師が総選挙で勝ちそうとなると、俄然態度をかえるのは、カメレオン政治家オバマの特質で、駐インド米大使がモディ師と面会しました。

これは経済制裁を突如緩和し、ヒラリーをミャンマーへ派遣したときと同様に、たいへんな政策変更です。

インド重視の米国外交、しかし、その先を走って日本はすでに昨秋天皇皇后両陛下が訪印したうえで安倍首相は一月下旬にもインドを訪問、破格の経済援助を約束してきたばかりです。つまり日本は米国の『ピボット』の先を行っていることになりますね。
 
杜父魚文庫
  
| 宮崎正弘 | 12:32 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







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