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金メダルを量産するノルウェー 強さの秘密は?    古沢襄
【メラーカー(ノルウェー)】動物の糞と土が独特の匂いを放つ。天井の白熱灯にうっすらと映し出された細見の人影がかがみこんで、大きな雌豚の頭を優しくなでる。「いい子だね」と17歳のヤン・トーマス・イェンセンくんが小さな声で話しかけた。

ヤン・トーマスくんは体を起こし、灰色のウールのセーターを着るとクロスカントリースキーの練習に向かう。「父親や祖父のように農家になるつもり。でも、まずやるべきことをやらなければいけない」そうだ。

ヤン・トーマスくんはソチ五輪に出場こそしていないが、将来、五輪での活躍が期待される有望選手だ。彼の最も優れた点はテクニックでも大会で勝利したことでもなく、ノルウェーのトロンデラーグ地方の生まれであることだ。

短い夏の間にはジャガイモが栽培され、長い冬が訪れると、雪に埋もれた谷や氷に覆われたフィヨルドに囲まれて生活しなければならないトロンデラーグ地方は五輪の金メダルが量産される土地でもある。

■多くのメダリスト輩出するトロンデラーグ

トロンデラーグ地方の人口はノルウェー全体のたった8%。しかし、ノルウェーが冬季五輪でこれまでに獲得したメダルの5分の1以上はトロンデラーグ地方出身の選手がもたらした。2010年のバンクーバー五輪でノルウェーが獲得した金メダルは9個、そのうち8個はトロンデラーグ地方出身の選手が勝ち取った。

ノルウェー科学技術大学(NTNU)の研究者スティグ・アルべ・セーテル氏は「どうしたら人口40万人の地域が9個の金メダルのうち8個に貢献できるのか」と驚く。

ノルウェー自体が冬季五輪の奇跡だ。人口は500万人しかいない。しかし、これまでの冬季五輪で参加国中最多となる303個のメダルを獲得している。メダル獲得数のランキングでノルウェーより人口が少ない国を探そうとすると、24位のクロアチアまで待たなければならない。クロアチアのメダル数は11個だ。

ノルウェーは今月、ほぼ2世代で最強とされるチームを五輪に送り込んだ。1968年以降で初めて、ノルウェーが金メダル数、メダル総数ともに参加国中最多を記録するとみる専門家もいる。

■ローラースキーを着用してクロスカントリーのトレーニング

ノルウェーには、「ノルウェー人はスキーをはいて生まれてくる」という古いことわざがある。そんな国の国民が冬季五輪で多数のメダルを獲得するのは当然のことで驚くに値しない、とばかりに、他国はかつて、ノルウェーの記録を無視していた。

しかし、スウェーデンなど他のスカンジナビア諸国の文化にとっても、スキーは欠かせない存在だ。スウェーデンの人口はノルウェーの2倍だが、獲得したメダル数は合計で132個。ノルウェーの半分にも及ばない。

ノルウェーの強さの秘密はむしろ、文化やライフスタイルにある、と多くの専門家はみている。ノルウェーの青少年スポーツには驚くほどの平等主義が行き渡っている。

6歳未満の子どもはスポーツの練習はできても、正式な競技会に出場することはできない。11歳未満の子どもが競技会に参加したときには全員に同じ賞を与えなければならない。
ノルウェー・スポーツ連盟およびオリンピック・パラリンピック委員会のインゲ・アンデルセン事務局長は「子どものスポーツに関しては、ノルウェーにはどんな人も受け入れる、非常に開かれた環境がある」と話す。

同時に、ノルウェーではスポーツより教育が優先されている。国営のスポーツ学校は運動能力ではなく、学業成績で入学を許可するかどうかを判断する。

メラーカーの町と同じ名前を持つ国営スポーツ学校のチェル・ルンデモ校長は「一般教育を最優先しなければならない。スポーツは2番目だ」と話す。

ノルウェーが冬季五輪で圧倒的な成績を上げているのはそう驚くべきことでもない。一般的に、ノルウェーのスポーツ選手は多額の広告出演料を受け取ることはないが、2300万ドル(約23億円)の年間予算を持つ同国のスポーツ機関に支えられていることは確かだ。

ノルウェーには高賃金の仕事を可能にする経済もある。豊富な石油資源のおかげで、国民1人当たりの国内総生産(GDP)は9万9558ドルと、カタール、ルクセンブルク、シンガポールに次いで世界第4位。長い余暇時間をお金をかけて楽しむことができる。

ノルウェーが世間の関心が高くない、あるいは競争があまり激しくないスキー種目でメダルを獲得していることも明らかだ。冬季五輪のメダル303個のうち、125個はクロスカントリーとバイアスロンで獲得したものだ。バイアスロンはクロスカントリーとライフル射撃を組み合わせ競技。この2つは五輪でメダル数が最も多い競技で、ソチでは66個のメダルが授与される。

クロスカントリーとバイアスロンは競争率が最も低い競技でもある。冬季五輪の歴史を振り返ると、バイアスロではノルウェーとドイツがメダルの半数近くを、クロスカントリーではノルウェーなど5カ国がメダルの82%を獲得している。

2011年の調査(ノルウェー最大の新聞アフテンポステンが実施)によると、ノルウェー人の60%がクロスカントリーの観戦に関心があると回答、バイアスロンは56%で、サッカーは43%だった。

■ソチ五輪のメダル競争、ノルウェーが僅差でトップ=WSJ予想

米国では、冬季五輪のマーケティングはアルペンスキーやスノーボードなど命がけの競技に集中しており、クロスカントリーを観戦したい、やってみたいと思う人はほとんどいない。

米国は1976年以降、クロスカントリーでメダルを取っていない。昨年、米国でクロスカントリーをした人は400万人に満たず、滑降の競技人口の半分以下だった。

ノルウェーがソチで躍進するとの予想にノルウェーのアルペンスキー選手で世界王者のアクセル・ルンド・スビンダル選手が驚かない理由はまさにそこにある。

「米国人が聞いたこともないような競技に最も才能のある選手が取り組めば」、ノルウェーが好成績を残してもおかしくない、とスビンダル選手は言う。

メダルに縁遠かった国が本腰を入れた結果、メダルを獲得するようになった例は数多くある。近年、大躍進を遂げた中国もその1つだ。中国はかつて、五輪にあまり積極的ではなかったが、2008年の夏季五輪北京大会では参加国中最多の金メダルを獲得した。冬季五輪でも、カナダや米国は同じようにメダル量産国になった。

しかし、ノルウェーは初めから冬季五輪の勝者だった。

1924年にフランスで行われた第1回冬季五輪では、スウェーデンから独立して19年のノルウェーが44個のメダルのうち17個を獲得した。このうち5個はクロスカントリーのメダルだ。その後6回の冬季五輪のうち5回で、ノルウェーは金メダル数、メダル総数ともに参加国中最多を記録した。

ノルウェーの活躍にブレーキがかかったのは1956年にソ連が五輪に参加してから。それでも1980年代末になると、オイルマネーで潤ったノルウェーは「オリンピアトッペン」というスポーツ機関を設立した。

ソ連は1988年を最後に五輪に参加しなくなったため、ノルウェーはその後の6回の冬季五輪で合計53個の金メダルを獲得、ドイツに次ぐ2位の成績を上げた。

それでも、ほとんどの専門家はノルウェーが成功した最大の理由は文化にあると言う。ノルウェーの都市はいずれも比較的自然に近い場所にあり、子どもたちはどんなに寒い日でも屋外で遊ぶように育てられている。

一方、隣国スウェーデンでは多くの人が自然から離れたところで暮らす。冬になると、厚着をしてスキーに出かけるより、テニスやホッケーなどの屋内スポーツを楽しむことが多い。

ノルウェーはまだ農業中心の社会で、野外活動が重視されている。ノルウェーには「フリルフスリフ」(野外での生活を楽しむ)という考え方があり、これをテーマにした本が出版されたり、大学でさまざまな分野で研究されたりしている。

トロンデラーグ地方ほどフリルフスリフを大切にしている地域はない。農業と林業が主力産業のこの地方では、仕事が最優先されるが、その仕事のおかげでスポーツが成り立っている。農業がもたらす苦しみと孤独は、痛みに耐えなければならない耐久スポーツであるクロスカントリーにとって、いいトレーニングになる。

「子どものころは肉体労働を手伝わなければならなかった」と話すのはクロスカントリーの選手でトロンデラーグ地方出身のペーター・ノートグ氏だ。現在28歳のノートグ氏は2010年のバンクーバー五輪で2個の金メダルを含む4個のメダルを獲得、ソチ五輪では5回、表彰台に上る可能性がある。

トロンデラーグ地方の研究者は野外で仕事をしたり遊んだりする伝統が役に立っていると考えている。同地方と冬季スポーツについて「The Genius Body(天才的な体)」という本を書いたスウェーデン人教授のSverker Sörlin氏は「トロンデラーグ地方の人々が特別な遺伝子を持っているわけではないと思うが、彼らは長い間、移動や仕事にスキーを使ってきた」と指摘する。

「スキーの腕前がいいことほど名誉なことはない。この国の人はとても裕福で、したいことは何でもできるが、それでも結局スキーをしている」

■クロスカントリー選手ペーター・ノートグ氏の弟はメラーカー高校に通う

地域の結びつきが強いこともプラスに働いている。NTNUの研究者によると、トロンデラーグ地方出身の五輪メダリストほぼ全員が人口の非常に少ない町で育っている。こうした町では住民が地元出身者を熱心に応援する。

小さな町で育った子どもたちは孤独を受け入れやすい。ノートグ選手は「自分1人で目標を達成する方法を学んだ。だから、今でも1人で長距離のトレーニングに出るのが好きだ」という。ノートグ選手は人口が200人にも満たない町の農場で育った。

小さい町に住む人なら誰でもそうであるように、トロンデラーグ地方の選手は地元ではあまり競争にさらされていない。NTNUのセーテル氏は「『小さな池の大きな魚効果』と言っていいかもしれない。人間は小さな社会にいたほうが肯定的な自己評価を確立しやすい」と話している。

国営スポーツ学校のメラーカーの生活はまるで小さい町のようだ。学校はトロンデラーグ地方の中心にあり、250人の高校生と大学生が在籍している。学生の1人が競技会に出場するときには、教師は通常の授業を中断する。

落ちこぼれを出さないための工夫だ。そのおかげで同校の中退率は1%以下に抑えられている。競技会では勝利が期待されるようになりつつあるが、最も大事なのは結果ではない。

■バイアスロンの選手のロッテ・リーさん

「試合に勝って帰ってくるとほっとする。結果について騒ぐ人がいないから」と18歳のロッテ・リーさんはいう。リーさんはバイアスロンの選手で、ノルウェーカップで優勝したばかりだ。

リーさんは足にスキーをはき、手にライフルを持った状態で雪の上で腹ばいになったまま50メートル先の的を狙うなどのトレーニングを週に10時間から18時間、行っている。「勝たなくてもいいと思うようにしている」と言いつつ、「五輪で優勝するというはっきりした目標がある」と先を見据えていた。

メラーカーのルンデモ校長によると、学生が五輪で優勝する確率を考えれば、学力を重視するのは当然のことだという。校長は「入学した学生の多くは世界王者になりたいと思っている。しかし、それを実現できるのはごくわずかで、誰も王者になれないかもしれない」と語った。

ソチ五輪ではトロンデラーグ地方出身の選手がクロスカントリー、バイアスロン、ノルディック複合、スキージャンプ、スノーボードの5競技で30個のメダル獲得が期待されている。

これらの競技は世界レベルに達するまでに通常、何年ものトレーニングが必要だ。メラーカーが競技にかける情熱が実績をしのぐ学生を入学させている1つの理由はそこにある。長期的には、意欲と根気が五輪選手を作るのだ。メラーカーのコーチ陣は主に教えているのは、高校卒業後も何年も休みなく練習することが大切、ということだそうだ。

ロンデラーグ地方出身のクロスカントリーの元五輪選手、フローデ・エスティル氏は「耐久競技はうまくなるまでに何年もかかる」と話す。

エスティル氏はソルトレイクシティー五輪で2個の金メダル、トリノ五輪では2個の銀メダルを手にした。五輪選手を引退したあと、メラーカーでコーチを務めたエスティル氏は「選手が若いときには誰が世界王者になるかわからない」と語った。

17歳のクロスカントリーの選手のヤン・トーマス・イェンセンくんは将来のスター選手として期待されているメラーカーの学生だ。先月のノルウェーカップでは、クロスカントリーのジュニア部門で優勝した。トロンデラーグ地方の小さな町Hommelvikaで育ったヤン・トーマスくんは父親の指導を受けながら、家族が経営する農場や森の中で仕事をしたりスキーをしたりしてきた。

ヤン・トーマスくんは午後や週末、休日に農場で肉体労働をするほかに、畑の石を拾うなど、父親の言葉を借りれば「とてつもなく退屈な仕事」も定期的に任された。精神を鍛えるためである。

ヤン・トーマスくんがけがをするたびに、父親は息子が泣きやむまでからかったそうだ。そのうち、痛くてもたいしたことはないと思うようになった。「子どものころ、父は痛みに立ち向かうように教えてくれた。それが自分の強みだと思う。痛くてもあきらめずに何時間でも続けられる」とヤン・トーマスくんは語った。

ヤン・トーマスくんを子どものころ指導したヨン・トーマス・レナ氏も同じ意見だ。スキーのスター選手からコーチになったレナ氏は「彼の才能には育ち方が大いに影響していると思う」と話した。

Hommelvikaでは、地元のスキークラブが成功を収めている。ここで最も尊敬される競技はクロスカントリーだ。地域住民のほぼ全員が地元のスキークラブでボランティアをしている。

たまたま五輪選手だったという親や祖父母、地元の人がコーチを務めることも多い。トロンデラーグではどこに行っても世界王者に出くわすと言われる。バイアスロンの選手のリーさんは「五輪で勝った人と同じ競技場でスキーをして、大きな影響を受けている」と話す。「目標を達成できると思わせてくれる」という。

スポーツ学校のメラーカーは全国から学生を受け入れているが、それでも3分の1はトロンデラーグ地方出身者が占める。しかも、メラーカーの実力を証明しているのがその3分の1の生徒たちだ。メラーカーの卒業生がこれまでに獲得した冬季五輪のメダルは14個で、そのうち8個がトロンデラーグ地方出身者によるものだ。(米ウォール・ストリート・ジャーナル)>

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