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イスラム回帰進むウイグル   古澤襄
■中国政府の抑圧が裏目に

<[ウルムチ(中国・新疆ウイグル自治区)4日 ロイター]中国西部・新疆ウイグル自治区の首府であるウルムチ。この地域を悩ます暴力や治安の悪化といった問題の根本原因は何かと問われ、ウイグル族の10代少年は顔をしかめた。

パンの配達で生計を立てているというその少年は「漢民族は信仰心がない。ウイグル族にはある。だから互いに理解できないんだ」と答えた。中国共産党は公式には無神論を説くのに対して、チュルク語族に属するウイグル族はイスラム教徒だ。

しかし、先月28日に発生した天安門突入事件のような暴力に人々を駆り立てているのはイスラム教ではないと、この少年は言う。中国政府は、事件の首謀者はウイグルのイスラム過激派だと断定し、非難している。

少年によれば、独立を支持する人たちは現状に満足していない人たちで、その根底には貧しさがある。「漢民族はウイグル族を恐れている。もしウイグル族が銃を持ったら、彼らを殺しに行くのではないかと心配している」という。

中国政府はこれまでも、新疆ウイグル自治区のイスラム過激派による暴力と戦っていると主張してきた。2001年に米同時多発攻撃が発生すると、アルカイダとつながりのある過激派が新疆でも同様の大虐殺を企てているとして、同地区での警備強化を正当化した。

かつて多くの中国人にとっての新疆は、歌と踊りが好きで個性豊かな少数民族が暮らす、比較的穏やかな地域だった。しかし9・11後、当局が警備を強化すると、人々は疑いのまなざしで見るようになった。

当局はアルカイダなどの過激派勢力が、中国がテロ組織とみなす東トルキスタン・イスラム運動と協調していると主張。天安門での事件は、中国政府の不安感を募らせただけだった。

「漢民族は私たちを恐れているようだ。なぜかはわからない。彼らは何も言わない」と22歳のウイグル族の男性は言う。

<取り締まりを強化>

中国政府はウイグル族に広範な自由を認めていると主張する。しかしウイグル族の権利擁護を求める活動家らは、2001年以降(それ以前からとする見方もある)、当局が新疆で広範にわたる取り締まり強化を行ってきたとしており、ウイグル族の文化や宗教、言語に至るまで抑圧されていると話す。

こうした中、ウイグル族の一部には、自分たちに残された唯一の選択肢はイスラム教への信仰心を深めることで、そうすることで漢民族や中国共産党との距離も遠くなると考える者もいる。

ウイグル族の女性は、漢民族同様、カジュアルな服装の人が多いが、中にはパキスタンやアフガニスタンで多く見られるベールに身を包む人も増えてきた。

英ニューキャッスル大学で新疆の研究をしているジョアンヌ・フィンレイ氏は、中国政府がウイグル族の信仰を抑圧した結果、皮肉にも人々が伝統や宗教への回帰を急速に進める結果につながっていると指摘する。「新疆には過激なイスラム主義の伝統はなかった」とフィンレイ氏は言う。

中国政府も問題の根本には経済的要因があると認め、学校や病院、道路建設といった開発に資金を投じている。たしかに多くのウイグル族が居住する地域を中心に、所得は増加している。しかし、それでも全国平均に比べるとまだ少ない。

また雇用市場におけるウイグル族差別も深刻だ。政府は是正を求めているが、「ウイグル族はお断り」という求人広告は依然存在する。

ウイグル族出身の経済学者で中国の新疆政策に批判的なIlhamTohti氏は、天安門突入事件がウイグル族に対する警戒感をあおり、さらなる抑圧と差別につながるだけではないかと警戒している。Tohti氏は「何があろうと、今回の事件はウイグル族に長期かつ広範囲な悪影響を及ぼすだろう。漢民族中心の社会で、ウイグル族が直面する障害が一層厳しいものになるだけだ」と懸念を示した。(ロイター解説)>

杜父魚文庫
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