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書評「中国の情報機関・世界を席巻する特務工作」  宮崎正弘
中国の諜報戦争のいきつくさきは、「中華民族の復権」とかの覇権達成?手段が目的化し、情報に人間のこころが失われたら、結末は無惨ではないのか。

<<柏原竜一『中国の情報機関――世界を席巻する特務工作』(祥伝社新書)>>

サイバー・テロを世界各地で展開しているのも、産業スパイも、日本の自衛官やジャーナリストにくわえて政治家がつぎつぎとハニー・トラップにひっかかるのも元凶は中国のスパイ機関の暗躍である。

艶然と微笑んで近寄ってくる美女は、昔からスパイと決まっているではないか。

本書をひもとくと、え、世界の舞台裏で、これほどえげつなくも凄まじいスパイ合戦が戦われていたのか、と慄然となる場面が多い。法輪功への弾圧は陰惨熾烈を極めたが、逆に法輪功の反共運動は世界に拡大した。本書によれば、法輪功の李洪志はひそかに中国へ潜り込んで、その後香港から指令をだしたという。
 
日本には中国の肩を持つ代理人がごろごろいる。

日本人が、いかに脇があまいか、なぜこんなにたやすく籠絡されるのだろうと言えば、「情報戦争」の真っ直中にいるという危機の認識がなく、国家目標を共有しておらず、個人がかってな方面で職責だけを果たそうとしているからだ。

まさか今日、中国の共産主義にしびれて、イデオロギー上の共鳴から中国の手先になっている代理人はいない。みな、カネか女である。名誉、復讐、絶望への欲求は、カネ、おんなの二大要素からみればはるか後方にある動機付けだろう。

さて本書は毛沢東革命前後からの中国の特務機関を縷々説明しつつ、かれらの工作の詳細に関しても触れている。

中国の諜報戦略を彩った多くのスパイマスターが登場するが、なつかしきは毛沢東のもとへ自分のハーレムから愛人を送り込んだ康生だろう。

初代スパイマスター康生の愛人だった女優の卵は、その後、毛沢東の第四夫人の座をえた。ロジェ・ファリゴ等の『中国諜報機関』(黄昭堂訳、光文社、1990年)に最初この逸話がでたとき、評者(宮崎正弘)は、眉唾と思ったが、その後の多くの調査結果が本当だったことを証明した。

「情報活動とは、国家の意思と表裏一体の関係にある。国家の意思が情報機関や情報活動の在り方、方向性を規定し、逆に情報活動から得られた知見が国家に進むべき道を指し示す」と定義する柏原氏は、ならば中国の国家の希望とは何かを突き詰めて、「世界に冠たる覇権国家になることである」と単純明快に言われる。

そして日本には三万人にのぼる秘密工作員組織がある、とする。

だが他方で「無敵にも思える中国情報機関ではあるが、その要員には『良心』をもつことが許されない。人間としての良心を持たない情報活動によって、現在の中国の体制は維持できるのだろうか」と疑問を投げかける。

そして最後に言う。

「情報活動は積極的に行うのだが、ビスマルクの成功例を除けば、ほぼ例外なく空回りに終わり、国家の敗北で幕を閉じるのである。中国もその轍を踏むのではないか」と。

杜父魚文庫
| 宮崎正弘 | 09:01 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







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