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2013年に予想される10の政治的リスク  古澤襄
英ロイターは2013年に予想される世界の10の政治リスクを報じた。

<いくつかの危機もあったが、世界は2012年を乗り越えた。今、われわれは新たなリスクに直面しようとしている。しかし、それは先進的で工業化された民主主義の国々においてではない。今年は世界的なリセッション(景気後退)が弱まる中で、新興国市場や極めて政治的なリスクが高いとされてきた国の経済に再び注目が移るだろう。

以下に、リスクが高いとみられる国や地域のトップ10をまとめた。

■10位:南アフリカ

アフリカでは総じて、近年の成長が継続するとみられる。しかし、同大陸で最も複雑かつ重要な経済の1つである南アは低迷している。同国の有力政党「アフリカ民族会議」は、都市部や地方の貧困層の支持基盤を維持するため、ポピュリズムに陥っている。それは、さらなる国家の介入や労働不安などにつながる。根本的な政治的危機が起こるとは予想していないが、同国の先行きについて楽観的になれる理由もほとんどない。

■9位:インド

世界で次に爆発的な経済成長を遂げる国はインドだという予測を、これまで誰もが目にしてきた。しかし、そのペースはそう速くない。2009年の総選挙では、シン首相が改革を自由に実行できるほどの勢力は得られなかった。汚職が依然としてはびこり、この数週間起きている集団レイプ事件への抗議活動に見られるように、未解決の文化的問題もある。総選挙が迫るにつれて、政府が断固たる経済政策を進めることはますます難しくなるだろう。

■8位:イラン

米国やイスラエルがイランを攻撃するのはいつか。2012年は1年を通じて、その問題がつきまとった。しかし、戦争を避けたいオバマ米大統領と実際は外交的なネタニヤフ首相を見ると、軍事攻撃が今年行われるリスクは多くの観測筋が考えるより低い。しかし、依然として重大なリスクもある。イランとイスラエル・米国間がこの数年繰り広げてきた暗殺合戦やサイバー攻撃など、「影の戦争」が急速に激化するとみられる。イランへの新たな制裁が実施され、イランの核開発計画を止めようとする動きは加速するだろう。それによって、イラン側も影の戦争を強化することになるはずだ。

■7位:東アジアの地政学

過去10年にわたり、この地域の主要リスクは北朝鮮の核問題と台湾の位置付けをめぐる緊張だった。しかし、今や新たなリスクが台頭している。中国が東南アジアへの友好的アプローチから方向転換した一方、米国は同地域への関与を強めようとしている。これまでも指摘してきたが、米中の緊張は数十年にわたる経済成長を危険に冒す可能性がある。

■6位:欧州

ユーロ圏は分裂や崩壊には向かわず、2013年のリスクは財政危機の脅威から、ユーロ圏の新たなデザイン構築への機運が失われることに移る。弱い経済見通しや危機対応の政治体制が、今年は不確実なものになるだろう。より統合された政策的枠組みの実現に向けて、大きな妥協が必要になるとみられる。現在または新たな政治的指導者がこうした妥協を飲めるかは依然不透明だ。

■5位:日本、イスラエル、英国

2012年の敗者に見られる最も重要なトレンドは、全て米国の信頼する同盟国ということだ。日本とイスラエルと英国は同じような境遇にある。これら3国は、米国との関係がかつてほど有益ではなくなっており、現在進行中の大きな地政学的変化の外にある。また国内問題に縛られ、世界を主導するリーダーが存在しない「Gゼロ」時代の諸問題に対処できていない。結果的に、日本は中国との問題を抱え、英国は欧州連合(EU)との間で勝者のいない状況に陥り、イスラエルはアラブの春を傍観している。

■4位:ワシントンの政治

そうは見えないかもしれないが、米国は、国内のエネルギー革命や大がかりな貿易協定、住宅セクターの立ち直りなどの分野で、大きく発展する一歩手前にある。もちろん、現在ワシントンで進行中の財政問題によって、全てが頓挫する恐れもある。

■3位:アラブの夏

昨年、アラブの春は何も実を結ばず、「アラブの冬」とも言える泥沼状態に陥った。2013年は、長く暑い「アラブの夏」が予想される。急進的な運動がさらに重要な役割を持つようになる。イスラム教スンニ派とシーア派の国内または国をまたいだ暴力的な衝突の増加は、アラブの春以前には表に現れていなかった宗派間対立を引き起こしている。シリア情勢の混沌(こんとん)化により、不安定な状況はイラクやヨルダン、トルコにも広がっている。また、アラブ諸国の新政権も統治とポピュリズムのバランスに苦労している。

■2位:中国と情報

中国政府が必ずしも管理できていないリスクは、最も扱いにくい「情報」だ。教育のある中間層が増加するにつれ、指導者の個人資産に関する秘密がメディア報道に暴かれたように、規制のないインターネットアクセスを求める声が高まっている。このことは、中国人をよりリスク嫌いにし、さらに国家主義的にしている。それにより、中国が今よりさらに孤立化する可能性がある。

■1位:新興市場

新興市場は世界の経済成長の約3分の2を占め、その割合は今後10年でさらに大きくなるだろう。それにより、経済的打撃のリスクも増すことになる。ブラジル、メキシコ、コロンビア、トルコ、マレーシア、フィリピンは非常に明るい展望と同時に、大きなリスクも抱える。一方で、エジプト、イラク、インド、インドネシア、ペルーなど低迷する一部新興市場は、どこも成長に向けて苦戦している。世界経済は、こうした国々が問題を解決することを願うしかない。

*筆者のIan Bremmerは国際政治リスク分析を専門とするコンサルティング会社、ユーラシア・グループの社長。

スタンフォード大学で博士号(政治学)取得後、フーバー研究所の研究員に最年少で就任。その後、コロンビア大学、東西研究所、ローレンス・リバモア国立研究所などを経て、現在に至る。全米でベストセラーとなった「The End of the Free Market」(邦訳は『自由市場の終焉 国家資本主義とどう闘うか』など著書多数。(ロイター)>

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