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”強い日本の弱い円”への道のり  古澤襄
ロイター・コラムで佐々木融・JPモルガン・チェース銀行・債券為替調査部長が「”強い日本の弱い円”への道のり」を書いている。

佐々木氏は今回のドル円相場の急騰を一時的なものとみて、75―85円のレンジを抜けないと予想していた慎重派。これだけの急騰を受けて、昨年12月28日に予想レンジの上方修正を余儀なくされたと認めている。

現在では13年中のレンジを80―90円と予想している・・・と上方修正した。

上方修正の理由を、)念彈支の赤字転換と円安期待の高まりの相乗効果海外投資家の日本に対する見方の大きな変化それに呼応して変化し始めたと思われる国内投資家の見方・・・3点に絞って、佐々木氏が見落とした、あるいは過小評価したことを率直に認めていて好感が持てる。

論点をこれだけ整理されると、あらためて佐々木氏の相場観を信頼したくなる。

佐々木氏はかねてから「日米ともに株価と通貨の逆相関関係は強く、株価がより大きく上昇した国の通貨はより弱くなる傾向にある」と指摘してきている。

もっとも、これが3―5年単位での長期的な円安トレンドになるかどうかの判断はまだ早いだろう・・・と慎重な見方を変えていない。要は安倍内閣の経済政策全般に対する姿勢次第である。

つまり、経済の活力が戻り日本人が積極的にリスクをとれるような状況を創り出すための構造改革、規制緩和、税制改正、効果的な財政支出をどの程度大胆に行えるかにかかっている。安倍内閣の責任は重い。

<ドル円相場の急激な上昇が止まらない。昨年11月半ばに野田佳彦前首相が衆議院の解散を表明し、当時は野党の党首であった安倍晋三現首相(自民党総裁)が日本銀行にさらなる金融緩和を求める発言を繰り返し始めた頃から加速し、79円台半ば近辺から今年1月4日には88円台半ばと約1ヶ月半で11%も急騰した。

筆者は今回のドル円相場の急騰を一時的なものとみて、2013年中も過去2年以上続いていた75―85円のレンジを抜けないと予想していたが、これだけの急騰を受けて、昨年12月28日に予想レンジの上方修正を余儀なくされた。現在では13年中のレンジを80―90円と予想している。

特に13年前半は上昇傾向が続くとみており、とりわけ今後2週間ほどは、懸案だった米国「財政の崖」も何とか急場しのぎで回避され、雇用統計の発表も終わったことから、日米ともに市場に影響を与えそうな材料がなく、90円を超えてくる可能性も十分にあると考えている(13年のクロス円相場は上昇基調が続き、ユーロ円の上昇率が一番大きくなると予想している)。

当初の予想の背景には、13年の世界の金融資本市場は、投資家が積極的にリスクをとる、いわゆる「リスクオン」の状態になる可能性が高く、その場合、世界的に株価やコモディティ・エネルギー価格が上昇し、資本調達通貨である円とドルはともに弱くなるとの見立てがあった。この想定の大枠は今も変わらないが、 円が全般的に弱くなるとしても、米連邦準備理事会(FRB)が政策金利をゼロに維持し、量的緩和政策をとっている中では、ドルよりもさらに、かつ大幅に弱くなるとは予想していなかった。

筆者が見落とした、あるいは過小評価した点は、以下の3点だろう。第一に、貿易収支の赤字転換と円安期待の高まりの相乗効果。第二に、海外投資家の日本に対する見方の大きな変化。そして、それに呼応して変化し始めたと思われる国内投資家の見方だ。

第一点目を過小評価してしまった理由は、これまで貿易収支が黒字であった時には、何かしらの期待感から造成された短期的な円売りポジションは、輸出企業による円買いにぶつかって、最終的に巻き戻しを余儀なくされることが多かったためだ。貿易収支が赤字化し、赤字額も徐々に増加していく中では、期待感から造成された円ショートポジションは、これまでとは異なり、輸入企業による円売りによってサポートされている。

第二点目については、筆者は海外勢の安倍新政権に対する期待は比較的早期に後退すると予想していた。加えて、昨年2―3月のドル円相場の上昇時とは異なり、当初は米長期金利がほとんど上昇していなかったことからも、ドル円相場の上昇基調は維持できないとみていた。しかし、安倍新首相や政権幹部からの日銀に対する圧力は執拗に続き、財政も積極化させるとの姿勢が強い中で、日本の経済・政治に対する海外投資家の期待感も高まり、多少のことではそうした期待感は失望に変わりそうにない。

また、こうした状況を背景に、日経平均株価が他国の株価に対して大きくアウトパフォームしていることも予想外の動きだった。筆者も、13年は世界の投資家のリスクテイク嗜好が強まる中で、日経平均株価も他国の株価と同様に上昇トレンドをたどると予想していたが、実際の上昇率は予想以上だった。11月半ば以降、米S&P500は8%、独DAXは9%程度しか上昇していないのに対して、日経平均株価の上昇率は23%に達する。

かねてより指摘しているように、日米ともに株価と通貨の逆相関関係は強く、株価がより大きく上昇した国の通貨はより弱くなる傾向にある。 実際、最近の日米株価指数の相対パフォーマンスは、ドル円の大幅上昇と整合する。海外投資家の間で「今回はこれまでとは違い、いよいよ日本の景気が力強く回復し、デフレをも脱却する」との期待感が非常に強かったことを見落としていたことが、円がドルよりも大幅に弱くなることを予想できなかった大きな理由の一つだと考える。

また、円安進行と株価上昇がこれだけ急激かつ大幅になると、日本の政治・経済に対して当初は懐疑的だった国内投資家の見方も変化してくる可能性が出てきた。つまり、海外投資家の期待で大きく動いた市場が、国内投資家の期待を変化させる可能性である。

たとえば、日米実質政策金利差(インフレ率には米国がコアCPI、日本はコアコアCPIの前年比を使用)とドル円相場は05年以降比較的相関が高いが、「日銀が2%のインフレターゲットを導入するなら、少なくとも日本のコアコアCPIが前年比プラスになるくらいのことは十分考えられるだろう」という期待が国内投資家の間で高まる可能性がある。

昨今のドル円相場の上昇はそれを先取りしているのかもしれないし、計測が難しい国内投資家の期待インフレ率の上昇を反映しているのかもしれない。

ちなみに、05年以降の両者の関係を回帰分析すると、日本のコアコアCPI前年比がゼロ%になった時のドル円相場は89円となる。つまり、最近のドル円相場は、国内投資家がすでに「日本のデフレ脱却」を期待していることを示しているとも考えられる。

<長期円安トレンド予想は時期尚早>

もっとも、これが3―5年単位での長期的な円安トレンドになるかどうかの判断はまだ早いだろう。筆者は、07年11月にドル円相場に関する長期的な予想を「円高・ドル安」方向に変更してから、基本的には同じ方向の予想を維持している。今回、当面の予想は上方修正したが、3―5年単位でのトレンドが変化したと結論づけるのは早いとみている。

繰り返すが、今回のドル円相場の急騰は、安倍首相の金融政策に対する強い働きかけや財政支出に積極的な姿勢をみて、日本の経済的な活力が復活し、デフレからも脱却するのではないかとの強い期待を持った海外投資家の動きに拠るところが大きい。

海外投資家は「強い日本」が復活し、日本の企業や投資家が積極的に海外投資を行うことを予想して円を売っている。これまでは「弱い日本の強い円」であったが、今後は「強い日本の弱い円」となることを期待している。

しかし、これが本当の動きになってくるかどうかは、今後の安倍内閣の経済政策全般に対する姿勢次第である。つまり、経済の活力が戻り日本人が積極的にリスクをとれるような状況を創り出すための構造改革、規制緩和、税制改正、効果的な財政支出をどの程度大胆に行えるかにかかっている。

市場は今、こうした施策がうまくいくことを織り込んでいる。正直に言うと、これだけ市場の期待が大きくなると、もともとあまり期待していなかった筆者も一人の日本人として、今度こそうまくいくのではないかとの期待を少し持ち始めている。その期待の実現性がもう少し見えてくれば、長期的な意味でドル円相場のトレンドが反転したと確信できるだろう。

*佐々木融氏は、JPモルガン・チェース銀行の債券為替調査部長で、マネジング・ディレクター。1992年上智大学卒業後、日本銀行入行。

調査統計局、国際局為替課、ニューヨーク事務所などを経て、2003年4月にJPモルガン・チェース銀行に入行。著書に、「弱い日本の強い円」など。(ロイター)>

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