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ものごとには裏も表もある  古澤襄
骨髄腫で余命三年と告知を受けてから十一年目を迎えた。まだ抗ガン剤を服用していない。「骨髄腫の告知が間違っているのではないか」と主治医に聞いたら「正真正銘の骨髄腫です」と言われた。

ことしは例年になく体調が悪くて七月の東北旅行では杖をついてヨタヨタしながら、車の乗り降りも人の手を借りる始末。「年末まで持たないな」とひそかに覚悟した。

それが十一月の東北旅行では杖がいらない、車の乗り降りも人の手を借りない・・・真冬の寒さの中で一時間近く古澤家の墓所の前に立って、私の手でご先祖様の骨を納骨室に納める儀式の施主を勤めたが、風邪をひくこともなかった。

「ご先祖様がもう少し生きてみろ」と護ってくれているのかもしれない。

ただ一つ、守っていることがある。骨髄腫の患者は感染症に罹りやすい体質になっているので、人が集まるところには絶対に行かない主治医の忠告に従っている。この十年間、親しかった人の通夜、葬儀には出ない”不義理”を重ねてきた。インフルエンザのワクチン接種も毎年欠かさない。

「そんなに不義理を重ねて、生きる意味があるのか」と思うこともあるが、”生”に執着心があるわけではない。親しかった人たちが彼岸で私が来るのを待っていると考えることが多くなった。同時に慌てて死に急ぐこともあるまいと成り行きに任せている。

そんな心境を保守政界の女帝・辻トシ子さんに言ったら「若いあなたが何を言っているのよ!九十三歳の私は毎日、事務所に出勤して、夜は若い政治家を赤坂に呼んで意見交換をしている」と一喝された。声も若々しく張りがある辻さん。八十一歳の私が”若いあなた”と言われては奮起するしかない。

長生きをしていて、一つだけ良かったと思うことがある。ものごとには、裏もあれば、表もある。当たり前のことだが、ものごとで白黒つける即断はやめている。腹の底では白黒つけていても口には出さない。案外、これが長生きの秘訣ではないか。

他人を思いやる心は日本人の美徳ではないか。

親友の菩提寺の和尚は、腎臓病と糖尿病でめっきり体調が弱くなったな、思うことがある。菩提寺の墓所で一時間近くも魂鎮めの読経をあげてくれた夜、「これで古澤家に対するお礼の仕事を果たすことができた」としみじみ語っていた。

「私より先に死んでは困る」とは口にはしなかったが、和尚の弱気を感じたので「ワシの戒名を考えてくれ」と生前戒名の注文をつけた。「そうだな。まだ古澤家に対する仕事が残っているな!」と和尚は言った。

カーテンを開けると、雪がちらついている。二月生まれの私は、こういう幻想的な東北の夜に魅せられる。

杜父魚文庫
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