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書評『中国「反日デモ」の深層』  宮崎正弘
中国人有力者のホームパーティでは何が語られているか?われわれの知らない内部事情から推測できる中国の深層は濃霧注意報

  
<福島香織『中国「反日デモ」の深層』(扶桑社新書)>

著者は2017年に中国共産党に体制変革が起きると予測する。『反日』を口実に、膨張する社会不満の爆発、潜在的な民主化へのうねりは、いずれ「革命」か「体制変革」かの選択を迫る状況をもたらすだろう、と数々の現場を歩いてきた筆者らしい予測が重厚に展開されている。

また最近の中国人は、外国人ジャーナリストも平気で自宅によび、ホームパーティでは気軽にほかの友人や共産党幹部を紹介する傾向がある。福島さんも中国いたるところの知り合いのパーティに招かれ、ホスト役のみならず客人の中国人からも巧妙にホンネを聞き出してくる「才能」がある。

さて本書ではいくつかの機密情報的な情報が網羅されているのだが、びっくりするほどのニュースもさりげなく盛り込まれている。

たとえば、孫文百周年記念事業で、孫文とならぶ革命家=黄興の記念式典が中止された。黄興は孫文を支えた革命の武力を代弁した。ジャッキー・チェン主演の映画(1911)でも、この黄興はきわめて客観的平等に描かれていたが、『孫文は旗のごとく、黄興は剣のごとく』と比喩された。

福島さんは次の情報を伝える。

「黄興の曾孫・黄偉民氏が湖南省長沙市で行おうとしていた辛亥革命百周年記念事業は中止命令がでた。北京国家劇院で初めて上演される予定だった孫文をテーマにした歌劇『中山・逸仙』も突然、上演中止命令が下った」という。

同様に各地の知識人(それも共産党シンパら)が予定していた孫文革命のシンポジウムも片っ端から中止命令がでた。

えっ、それじゃ共産革命前史として高い評価を与えてきた孫文史観の大幅な塗り替えか、と誤解しそうになる。

ところが、そうではなかった。

党中央宣伝部は「孫文を愛国情操教育に使うのはよいが、三民主義や五権分立を語ることは許されない」と杓子定規な命令だったのである。

三民主義を民主化と誤認されて、共産党批判に繋がると大変だ、というわけだ。

当時の宣伝部長は李長春、次の同ポストは劉雲山、ともに江沢民べったりの腰巾着であるところに救いはない。いや、こういう頭の硬すぎる原理主義者らが宣伝の中枢にある以上、かえって社会騒擾は拡大し、習近平政権の寿命を縮めるかも知れないが。・・・。日本人のしらない中国最新情報に溢れる書である。

杜父魚文庫
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