<< 習金平は中共最後の国家主席  渡部亮次郎 | main | 猛烈に“中国化”する中華人民共和国・・・やはり  樋泉克夫 >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - | - | pookmark |







書評『黄禍論―― 日本・中国の覚醒』  宮崎正弘
当時のドイツは日本と中国を如何に観ていたか。アンチ黄禍論の観察が行われていた。

<WK・フォン・ノハラ著、高橋輝好訳『黄禍論―― 日本・中国の覚醒』(国書刊行会)>

日本人とドイツ人の混血、野原駒吉は謎の人物とされ、具体的な人生航路は分かっていない。KWノハラのほうが通りやすい。

この謎の多い日独混血人間を元共同通信記者だった翻訳者・高橋輝好が追跡した。

1936年、ノハラはドイツ語で本書を著した。今日の中国人と日本人を考える際に、この文化比較はかなり有益な記述が多い。

当時のヨーロッパは日本人も中国人も、よくわからずにいた。チンギス・ハーンとその子孫らは日本人が大半であったと考えられていたようである。しかし、日本の戦力は弱いと考えられており、潜在的脅威はインド、中国と評価されていた。

ノハラはドイツで育ち、バーゼルで高校、大学へ通い、美術史を専攻した。第一次大戦で日独は敵味方だった。ドイツ人の日本理解はなにほどもなく、それは今日も変わりないが、「チンギス・ハーンには日本人の血がながれている」という記述は、そうした時代背景から生まれてくるのだろう。当時の時代背景には日露戦争に勝利して躍進中の日本という昇竜のイメージがある。 

むしろ本書は中国人論が野趣で、粗雑だが、今日的共通性が強いため大いに参考になる。

ノハラはこう書いた。

「季候穏和な南中国はかつて宋帝国だったが、チンギスハンの後継者によって文明化され、一体化した中国として形成られた」。

「張作霖、溥玉祥、呉凧浮ら多くの将軍は皆、インクの代わりに血で生涯の歴史を書いたが、根本的には物静かで物わかりが良く、しばしば賢く、文明化された中国人だ。しかし測りがたい国の環境が彼らを毒し、興奮させ、権力欲の虜にし、暴力的にした」

こういう記述から推し量れるのは、親中派で反日的なスタンスである。

そしてノハラはこうも言う。

「日本人の国民的な見方に従えば、中国人は一種の寝ぼけた愚か者で、汚く、堕落していて、金銭欲が強く、怠惰で、食事中、不潔で、くだらない習慣を持っている」

この指摘は正しいが、如何にアジアの人々は日本人を信用せず、野蛮と評価しているとした日本人への評価はあまりにも一方的である。

だが、次の指摘はまことに正しい。

「中国の軍隊は中国のためには殆ど働かない。むしろ害をなす存在だ」。

そう、軍は肝腎のときには働かず強盗、強姦をくりかえす「名誉ある泥棒」である、とノハラは定義しているのだ。

近代とともに蒋介石は日本の軍隊を見本として。「中国人は感傷家ではなく現実主義者だから、自軍とその強さを自慢に思っているという状態からはほど遠い。中央政府と蒋介石周辺は、むしろ、中国が軍事的に劣勢であることを内々確信して」いたという。

なにしろ70年以上も前の観察であり、これらを割り引いて本書を紐解く必要があるだろう。

杜父魚文庫
| 宮崎正弘 | 09:14 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







スポンサーサイト
| - | 09:14 | - | - | pookmark |







コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://kajikablog.jugem.jp/trackback/1002001
トラックバック

CALENDAR

S M T W T F S
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031
<< August 2019 >>

SEARCH

SELECTED ENTRIES

RECENT COMMENT

CATEGORIES

ARCHIVES

LINKS

PROFILE