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当面の危機去ったギリシアのデフォルト  宮崎正弘
ユーロ危機は小康状態になったのか、解決の糸口は発見されたのか。もともとファンタジーな目標だった統一通貨は、かくも脆弱だった。

ギリシアの財務担当大臣エバンジェロス・ベニセロスは「国民の老後を保障した年金基金を蒸発させないためにも、ギリシアは債務をCDS化しなければなるまい。でなければECBによる、もっと大規模な救済策が必要となるだろう」との見通しを議会で語った。深刻な事態の到来を示唆する発言である。

当面の危機は確かに去った。ギリシアのデフォルトは回避されたのではなく、当面「延期された」のである。53・5%の追加的な債務放棄を投資家に強要したわけだから、ギリシアに対する投資家の心象は悪い。

日本がギリシアに貸した3000億円規模の「サムライ債」は例外扱いだそうだが、それとて償還される期日にはどうなっているか、わからないではないか。

同時に救済に消極的かつ冷淡だったドイツへの批判も強まった。

リスボン条約123条はECBの個別直接融資を禁止している。これを楯にドイツは貸し渋ったわけだが、ギリシアに言わしむれば戦後五回もデフォルト経験しているし、この債務放棄率は「良心的」であり、2005年のアルゼンチン危機では債権者の債務放棄は76・8%,06年イラクのそれは89%だったではないか、と。
 
債務放棄とは一種の「徳政令」であり、被災者は当のギリシアではなく、国債を購入するというかたちでギリシアに巨額のカネを貸した銀行、ヘッジファンド、機関投資家、個人投資家である。江戸末期の徳政令で武士は多少救われたが、商人は苦境に陥った。

▼ジョージソロスはかく語りき

今回のユーロ危機では火事場泥棒的な通貨投機を控えて、事態の推移を冷静にみていたジョージ・ソロスが久しぶりに辛辣な発言を繰り出した。

「危機の局面からわれわれは脱したのではなく、国際的規模での金融システムの溶解という危機は去っていない。わたしはECBに「欧州通貨安定基金」を通じて、たとえば商業銀行が起債するイタリア、スペインなどの新しい債券をECBが保障するなどの救済策を提示したが、ECBは拒否した。現金を手元に豊富に準備しておかなければ欧州の銀行は手元流動性を失い、借り換えに応ずることができなくなる。

もとよりEUが統一通貨を発行するなどというのは英国の心理学者ディビッド・タッケットが言ったように『ファンタジーな目的』であり、政治統合を抜きにしての通貨発行は、はじめからユーロは『不完全な通貨』だったことになる。つまり共通の財源がなく、共通の政府なくして通貨を低利で供給すれば、のちのスペインの不動産バブル崩壊になるのは必定であり、それは予測できた」(以上のソロス発言は『ニューヨーク・レビュー』12年1月24日号より)。

杜父魚文庫
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