“政局の人”小沢が動き始めた   杉浦正章

■狙うは「9年周期の参院選大波乱」
 

たまに新聞に名前が出ると「懐かしい」と思われる政治家がいるが生活の 党代表・小沢一郎がその右代表だろう。2009年の総選挙で民主党の地滑り 的な圧勝を受け、議員会館の同じ階に当選した“小沢美女軍団”をはべらせ、「今太閤」そのものだった小沢だが、現在は、政党要件ぎりぎりの衆参議員5人の党首にすぎない。


その小沢がなにやら息を吹き返して動きが活発だ。「政局波乱」のにおいを動物本能で感じ取ったのか、元旦からメデイアへの「発信」を増幅させている。甘利疑惑が発生すれば、さすがに“疑惑の通”だけあって、「犯罪を構成するような類いの事実だ」と東京地検の捜査を促すような発言をしたり、まるで水を得た魚のように動きはじめた。ジンクス好きの小沢が狙うのが「9年周期の参院選大波乱・安倍退陣」だ。


小沢の最近の目立つ動きは、「共産党シロアリ」論で、民主党代表・岡田克也の共産党接近をけん制している元外相・前原誠司との極秘会談だ。メデイアの気が付きにくい24日の日曜日を選んで会談した。


発生したばかりの「甘利疑惑」が政権を直撃する事態を最大限活用して、 野党の結集をはかるのがその戦略だ。会談で、小沢は参院選比例代表を野党の統一候補で戦う「オリーブの木」構想が「必ず実現する」との見通し を述べた。


前原は共産党との共闘にアレルギー症状を示しているが、両者は「野党勢力の結集が不可欠」との認識では一致したという。また小沢は参院選で自公を過半数割れに追い込めば、「安倍は必ず退陣する」との見通しを述べたという。


小沢が「安倍退陣」の根拠にしているのが2007年の参院選だ。自民党の獲得議席数は37議席と歴史的大敗を喫し、結党以来初めて他党に参院第1党の座を譲った。


小沢を代表とする民主党は追い風を受け60議席を獲得し、参議院で第1党となり野党は参議院における安定多数を確保したのだ。これが結局は第1次安倍内閣の退陣に直結して、2009年の総選挙でも自民党の敗北につなが り、ついに政権交代のきっかけとなったのだ。 


09年に限らず自民党にとってツキが落ちるのが9年周期の参院選だ。その9年前の1998年の参院選はメディアの分析では現状維持か、少し上回る60議席台前半と推測されたが、自民党の獲得議席は44議席と予想を大きく下回る敗北を喫した。


首相・橋本龍太郎は敗北の責任を取って退陣した。さらにその9年前の89年も首相・宇野宗佑の女性問題やリクルート事件の余波などがたたって、 自民党が惨敗。社会党党首である土井たか子が「マドンナ旋風」と呼ばれるブームをまきおこし、「山が動いた」と述べたほどの逆転劇であった。


自民党は36議席しか獲得できず、参議院では結党以来初めての過半数割れとなる。これ以降現在に至るまで自民党は参院選で単独過半数を確保でき ていない。自民党は9年ごとに大敗を喫し、首相が交代してきたのだ。3度あることは4度あるというわけだ。


要するに小沢の狙うのはこのジンクスでもあるのだ。小沢は新年会で 「何としても野党の連携、大同団結を果たして、そして、参院選で自公の過半数割れを現実のものとする。すなわちそれは安倍内閣の退陣である。


直接、参院選で政権が変わるということはありえないが、安倍さんが退陣せざるをえなくなることだけは間違いのないことだと思う」と断定している。


自らの野党糾合への動きを「すぐ『野合』だとか『数合わせ』だとか、あるいは『選挙のためだ』とかいうことを言われるわけだが、選挙のためで何が悪い。選挙というのは、主権者たる国民が判断をくだす唯一の機会であり、最終の決定の機会だ」と“正当化”している。


ただ、この小沢戦略にとって、1番の懸念材料は首相・安倍晋三がダブル選挙に踏み切るかどうかということだ。公明党が700万票の創価学会員の票の動きが複雑化するとして反対しているが、小沢は「創価学会は結局ダブルを受け入れざるを得ない」と漏らしている。


その根拠として官房長官・菅義偉と学会幹部の秘密裏の接触を挙げる。事実菅は政権発足以来、創価学会副会長の佐藤浩と急速に関係を深めており、独自に公明党・学会サイドの内情を探っている。小沢はおそらく菅と 佐藤の会談でダブル選挙が話し合われているとみている。


ダブルとなった場合、共産党まで含めた選挙共闘が極めて困難になり、 「安倍一強」が続きかねないというわけだ。こうして政界仕掛け人・小沢は73歳の年齢をものともせずに、あらゆる機会を捉えて「政局大展開」を狙い続けるのだ。(頂門の一針)


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| 杉浦正章 | 14:11 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







参院の野党デマゴーグに3つの対抗策   杉浦正章

■自民は衆院の弛緩を戒め「着地」に備えよ


参院は「良識の府」だが「再考の府」とも呼ばれる。首相・安倍晋三はせっかく衆院を通った安保法案を「再考」するわけがないが、それでは野党が安保法案の追及方法を「再考」するかと言えばしない。


47歳で必死におばさん風になるのを食い止めている蓮舫が「辻元清美おばん」に代わって金切り声を上げる。なぜ上げるかと言えば、来年改選だからだ。


首相・安倍晋三は「参院では良識の府ならではの丁寧な説明に力を入れてゆきたい」と“熟議”を期待している。確かにもう法案の成立は確定的であり、落ち着いた論議で安保法制の真の姿を浮き彫りにすべきだ。


しかし参院野党はおそらく衆院以上に目立ちたがる質問者が大向こううけのポピュリズム質問に徹するだろう。したがって議論は平行線をたどってしまう恐れが強い。それでは安倍自身が認める国民の理解不足をどう解消するかだ。方法は3つある。


一つは審議時間も結構長い与党の質問を活用することだ。普通与党質問というと記者席も居眠りが多くなる。なぜかと言えば与党議員は、自分の首相への売り込みとポストを狙ってか、ごますり、お追従質問が目立ち、実力者は私見開陳が長くなる。したがって寝ていてもニュースは出にくい。


これを事前の打ち合わせを綿密にとることにより、国民に分かりやすい質疑応答に変化させるのだ。衆院でのやりとりをつぶさに観察したが、そのやりとりを整理すれば最も重要なポイントで平行線が多いことが分かる。


まず決定的なポイントが「抑止力が高まる」VS「米国の戦争に巻き込まれる」の平行線。次に「合憲」VS「違憲」、「自衛隊のリスクは高まらない」VS「高まる」などでかみ合わず平行線をたどった。これらの急所についてなぜそうなるかを自民党に質問させ、答えるのだ。


安倍がネット映像を使ったPR作戦「安倍さんがわかりやすくお答えします!平和安全法制のナゼ?ナニ?ドウシテ?」が分かりやすく好評だったのも、自民党女性議員との打ち合わせを経ているからだ。


重要ポイントは視聴者が分かりやすいテーマごとに分けた質疑応答をすることかも知れない。衆院での質疑の場合テーマがごっちゃになり、集団的自衛権かと思えば後方支援をやっており、何が何だか分からなくなるケースが多かった。


誰がどのテーマで質問するかなど調整するのだ。存立危機自体とは何か。米艦艇への攻撃をわが国への攻撃の『着手』と受け取り、個別的自衛権で対処出来るという主張は正しいのか。戦闘区域、非戦闘区域の判断、武力行使と警察権発動の違い、「海外派兵」はするのかしないのか、などテーマごとに事前の調整を済ませて質疑応答をすればかなり分かりやすくなると思うがどうだろうか。


第二が「安倍さんがわかりやすくお答えします!」の継続だ。内容的には実に良かったが、欠点は場所が良くない。狭苦しくて、照明も悪く安倍の顔が暗く見えた。


この際ルーズベルトの炉辺談話を踏襲して、首相公邸の喫煙室奥の暖炉でも活用してはどうか。シャンデリアも見事だし、演出効果も十分ある。常設的にセットを作って、安倍がいちいち出かけなくても、思いついたときや、国民に説明したいときに随時炉辺談話を発信するのだ。


安保法制が済んだら他の話題、アベノミクスを始め例えば世間話やペットの話し、災害地視察の感想などでもいい。要するに安倍自らの人となりをネットで露呈するのだ。ネットなどは大げさに考えなくても、気軽かつ慎重に扱えばよいのだ。


第三が衆院自民党の活用だ。とくに若手議員の活用が良い。田中角栄ではないが「戸別訪問5万軒」や街頭での演説で国民に直接訴えるのだ。野党は衆院は夏休みだろうから、自民党は夏休み返上で頑張らせるのだ。


だいたい若手議員が夏休みや海外旅行なんてとんでもない話だ。やるやらないは別として「来年夏はダブルがあるぞ」と脅せば、飛び上がって動き出す。1−2年生の若手が当選するかどうかで勝負は決まる。


それにはこの夏から必死で「安保法制の真実」を国民に定着させる努力をしなければ駄目だ。マンツーマンで説得しなければ、曲学阿世の「憲法違反」や、民主党や共産党の「戦争法案」のデマゴーグ戦略に破れる。概して若手は安倍の人気で当選する癖がついているから、甘い。この際体育会的にしごく必要がある。


過去に参院で否決された法案の例は13例あり、そのうち郵政法案など10法案が衆院の3分の2で再可決している。野党は廃案に追い込むとしているが、廃案は3例のみだがたいした法案ではない。


まず必ず成立するが、60日ルールの存在は政権にたるみをもたらす恐れがあり、「高名の木登り」の故事を拳々服膺(ふくよう)して着地に注意する必要がある。(頂門の一針)
 

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| 杉浦正章 | 00:23 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







「抜き打ち」のあとは安倍が「バカヤロウ解散」??   杉浦正章

■「解散幽霊」が真夏の永田町を徘徊(はいかい)


永田町の政治部OBの飲み会で大笑いとなった解散話。「抜き打ち解散の後はバカヤロウ解散がある」というのだ。その筋書きというのは安保法制の特別委員会で民主党幹事長・枝野幸男に詰め寄られた安倍が、つい普段から枝野に対して心から思っていることをつぶやいてしまったのだ。


何と「バカヤロウ」とつぶやいたのだ。これをマイクが拾って大騒ぎとなって、解散へと突入する。まるで吉田茂の「バカヤロウ解散」とそっくりのシナリオだ。吉田の場合1953年2月28日の衆議院予算委員会で、社会党右派の西村栄一との質疑応答中、西村に対して「バカヤロー」と暴言を吐いたことがきっかけとなって、前年の「抜き打ち解散」からわずか165日で衆議院が解散となった。これは「バカヤロウ解散」と呼ばれる。


吉田は衆院予算委で席に着きつつ非常に小さな声で「ばかやろう」とつぶやいただけだが、それを偶然マイクが拾い、気づいた西村が聞き咎めたために大騒ぎとなった。


筆者を含めたOBらは「辻元清美に『早くしろ』とヤジった安倍だから、絶対にやる」ということで一致、爆笑でお開きになった。


笑い話はともかくとして、与野党激突の“摩擦”は、必ず「解散風」につながるのが常だ。こんどはそれが民主党から流れ始めた。昨年9月に年末解散を予想し、まぐれ当たりに当たった枝野が、まことしやかに周辺に漏らしたのが9月解散だ。


その後民主党代表・岡田克也が3日の記者会見で「今の国会情勢をみと、早期の衆院解散も全くないとはいえない状況だ」と述べたかと思うと今度は菅直人だ。


4日のブログで「政局にきな臭さが漂ってきた。安倍総理は前回の解散で、追い込まれる前に逆襲することに味をしめている。安保法案が行き詰まったら正面突破を図るために解散するのではないかという憶測が永田町に流れ始めた」と書いたのだ。


自分で憶測を流しておいて、「流れ始めた」もないものだが、さっそく2チャンネルで「 お前が言うなら恐らくハズレだ」と切り込まれている。


いずれも根拠レスの話ばかりだが、ここにきて解散説が流れる背景には政権サイドからの“脅し”も作用している。というのは政治のプロなら誰もが「怪しい」とみられる動きを2日夜に官邸がしたからだ。


この安保国会の真っ最中に安倍を中心に幹事長・谷垣禎一、選対委員長・茂木敏充らが2時間に亘って「参院選の」情勢分析を行ったのだ。


安倍は国会便覧を片手に参院の情勢や候補者調整の進み具合などを茂木らに質問、分析を進めた。もちろん衆院の分析などは出なかったと言うが、参院選との関連で衆院のどこが弱いなどの話が出た可能性はある。


おそらく対野党のけん制の意味を込めた会合であろうが、意図的に「解散風」を流して自民党内を引き締め、政権基盤を強固にする“意図”があってもおかしくない。


筆者は昨年末の解散は「ない」と断言して、大間違いに間違ったから、今度は予想をするのが“怖い”のだ(*^O^*)。ちゅうちょするのだ(>_<)。


とりわけ安倍の解散へのハードルが普通の首相より低いことが分かったから、下手な予想は出来ない。しかし、おそるおそる予想すればやはり8月解散や9月解散は「ない」だろう。


こういう政局の話は政治記者の場合、直感がまず働いて判断を決めるのであり、冴えた動物本能が一番大事だ。理屈は後から貨車で来る。その貨車の中身を言えば、半年で解散はいかにも早すぎて恣意的だ。


それに安保法制をテーマに選挙をするには、国民の間に理解が進んでいない。したがって与党に不利となる。60年安保の例では半年後に池田勇人が解散して勝っているが、少なくとも半年はほとぼりを冷まし、国民が納得するのを待たざるを得まい。


朝日など反安倍メディアは、安保改定の時と同様に安倍内閣の退陣と総選挙を要求する可能性があるが、それにまんまと引っ張られる安倍でもあるまい。


それよりも、政権担当者の胸中を推し量れば、「参院での過半数」だろう。参院で自民党は現在114議席を占めているが、過半数の122議席まであと8議席だ。


場合によっては改憲勢力で3分の2の多数も夢ではない。これを確実なものにするのは衆参ダブル選挙しかあるまい。もし安倍がダブル選挙で勝てば、5回の衆参選挙で勝利を占めた首相となり、過去にこのような例は皆無だ。


かつて自民党はダブルに勝った中曽根康弘の任期をご褒美として1年延長したが、安倍も2018年9月までの任期を2020年のオリンピック以降まで2年間延長する“権利”を有するだろう。


そうすればオリンピックは安倍の手で行えることになる。したがって長期政権の戦略としては、ダブル選挙が現在のところ本命であり、今流れている解散は「真夏の夜の幽霊」にすぎない。 (頂門の一針)


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| 杉浦正章 | 14:29 | comments(1) | trackbacks(0) | pookmark |







翁長は二重外交の“禁じ手”に走るな   杉浦正章

■反米プロパガンダもいいかげんにせよ

  
国を誤る行為の最たるものは二重外交である。日本では昭和初期から旧陸軍が独自外交を展開して国益を大きく毀損した。それをいま自治体の長が行おうとしている。
 

沖縄県知事・翁長雄志が27日から訪米して米政府や議会に普天間基地の辺野古への移転反対を訴えようとしている。もとより翁長の狙いは反米色の強い自らの支持団体・組織向けのパフォーマンスにあり、米政府がまともに対応するとは思えない。


しかし、事情を知らない米政府関係者が言質を取られる恐れもなしとは言えない。また隙あらばと対日宣伝工作を展開しようとしている中国などを利する恐れがある。政府は舞台裏で翁長の主張と意図を詳細にわたって米側に伝えて、連携を図っておく必要がある。


文化交流など民間外交は積極的に進めるべきだが、翁長がやろうとしている行為は憲法違反の二重外交だ。憲法の第73条の2には、内閣の事務として「外交関係を処理すること」と明記されており、外交権は内閣に付与されている。


憲法上、地方自治体には、外交権は認められていない。地方自治体が、政府の方針とは違う外交を展開すれば、日本は、二重外交のリスクに晒される。


しかも、憲法上の規定がありながら、なし崩し的に地方自治体が外交権を行使するとなると、日本は、中国や韓国など周辺諸国によって、内部から切り崩される可能性が生じて来る。


さらに翁長の発言から予測すれば、政府の特権である安全保障政策にも踏み込もうとしている。外交・安保の両面から政府を揺さぶろうとしている意図がありありと感じられる。


これはどう見ても使ってはならない“禁じ手”である。記者会見などの発言から総合すると翁長は米政府関係者に辺野古への基地移転について「絶対に建設することができない」と言うのであろう。


その理由として基地反対闘争の激化を指摘する。現在は100人規模の動員を、1000人規模にまで拡大させる方針を表明「とても日本政府が止めることは簡単ではない」などと主張するだろう。


さらに翁長は「こういったことを考えると、絶対に辺野古に基地を作らせないということをアメリカに伝える。『あなた方が決めたからできると思ったら間違いですよ』と言う」のだそうだ。


加えて辺野古移転が挫折したら日米同盟が崩壊することを強調する。「辺野古がだめになったら、日米同盟が崩れる。私は日米安保体制を理解しているからこそ、理不尽なことをして壊してはいけないと考える」と述べるのだという。


とにかく脅したりすかしたりの立場で臨むのだろう。またハワイで起きたオスプレイの事故を取り上げ、「普天間でハワイのように落ちたら、日米安保体制は砂上の楼閣になる」と強調して配備撤回を求めるだろう。


明らかに政府の外交・安保特権に踏み込んだ言動を繰り返すものとみられる。もちろん米政府は、基地移転での交渉相手はあくまで「日本政府」との立場だが、問題は翁長が米政府関係者の不用意な発言の「片言隻句」を金科玉条として取り上げる可能性が高いことだ。


その対策として政府はまず、翁長の主張とその矛盾点を事前に国務省や国防総省に伝え、注意を喚起する必要があろう。間違っても両省幹部が翁長と会うようなことは避けさせるべきだ。


翁長は「日本政府を相手にしていたらどうにもならないから米国に行く」のだそうだが、明らかにプロパガンダ合戦で政府を揺さぶる意図が明白だ。基地反対闘争には中国の資金が入っているといったうわさや、中国の工作員が観光客に紛れて入り込んでいるという説もある。


翁長がすごんでいるように普天間で大事故が発生したり、辺野古での衝突で年寄りが死傷したりすれば、マスコミも含めて矛先は一挙に政府・与党に向く危険性がある。とりわけ、沖縄タイムズと琉球新報の現地2紙は、極端なまでに扇動的で偏向した論調を繰り返し掲載しており、県民の動向への影響力も強い。


しかし、翁長は「80%の県民が反対」と主張しているが、知事選結果はそうではない。有権者109万人のうち翁長支持は36万票であり、33%に過ぎない。


賛成の仲井真弘多と、少なくとも反対ではない下地幹郎の票を合わせれば33万で伯仲している。40万人の棄権票も支持に回りうる層だ。政府は翁長を説得しても、かつては辺野古移転に賛同していてた“転向”を二度繰り返すことはあるまい。翁長の嫌がる言葉だがここは粛々と埋め立てを進めるしかあるまい。(頂門の一針)


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| 杉浦正章 | 16:08 | comments(1) | trackbacks(0) | pookmark |







安倍は「習近平銀行」の実態を語れ    杉浦正章

■AIIBの独善性を検証する
 

アジアインフラ投資銀行(AIIB)参加でG7に亀裂を生じさせたと中国国家主席・習近平の高笑いが聞こえるようだが、その「危うさ」から見ればやがて顔面蒼白の時が訪れるだろう。


紛れもなくAIIBは「中華民族の偉大なる復興」を掲げた習の「中国の夢」の具体化であり、やはり2013年に打ち出した海と陸の「シルクロード経済圏」(一帯一路)構想と直結する。


しかし裏から見れば国内経済の疲弊を「大風呂敷」で挽回しようとする意図だけが目立つ。中国側は日米間に亀裂を生じさせようと、「別のバスがある」と親中派を通じて日本の参加を働きかけているようだが、首相・安倍晋三は「別のバス」にも乗らない方がよい。


むしろ逆に6月のG7では米国とともに西欧諸国の慎重なる対応を働きかけるべきだ。


そもそも新シルクロード計画は、斬新な構想のように聞こえるが、たまに駱駝が鈴を鳴らして通るような辺境  の地を舗装したり、鉄道を通したりしてペイするのかということだ。


西アジアや中央アジアの地の果ては、地の果てになるゆえんがあって地の果てになっているのだ。ジャンボ貨物機で極東と欧州の物流は13時間のフライトで結ばれているのであり、現在のように重慶とドイツ・デュイスブルクの1万1000キロを16日間かけて貨物列車で運ぶメリットがどれほどあるかと言うことだ。


海路にしても途上国の港湾設備に融資して、中国海軍に“活用”されては、それこそアジア諸国は庇(ひさし)を貸して母家をとられかねない。


要するに西欧もアジア諸国も、にわか成金が貸金業に転ずる華やかさに目くらましを食らって、雪崩を打っている側面があるのだ。


物事には表があれば裏がある。習の時代になって中国経済の停滞は著しく、GDPも公式の数字で7%そこそこ。実態は5%を割っているという説すらある。


こうした中で国内の過剰投資がもたらした過剰生産の処理をしなければ、それこそデフォルトの危機すらあり得るとささやかれている。翻ってAIIBの構成を見れば、中国が50%を出資するが、これはアジア開発銀行の米国と日本の出資比率がそれぞれ、15.65%であるのと比べても驚くほどの比率だ。


出資額が半分で総裁も中国が出すのだから、ガバナンスも含めて、完全に中国が主導権を握ることは火を見るよりも明らかだ。要するに中国の銀行が常習的に行っている、お手盛り融資など訳はないといってもよい。
 

これを中国国内の“過剰生産の処理”に活用し、建築資材、鉄鋼、セメント、設備、運搬車両など過剰在庫を西アジア、中央アジア、東南アジア諸国に輸出する。国内経済の危機を「シルクロード経済圏」で活用して、切り抜けようという、よく言えば深謀遠慮、悪く言えば策略があるといわれるのだ。


本質的に中国経済の延命策であることも間違いない。「一帯一路」構想は、海外の投資を引き寄せる甘い蜜なのであるが、その実態は国内が潤うことに比重が置かれている可能性が否定出来ないのだ。


この路線が進めばAIIBでは甘い条件で貸付けが安易に行われ、不良債権の山を積むことになりかねないのだ。参加する場合の日本の負担は1800億円から3600億円とまちまちだが、政府の計算ではAIIBが資金繰りで危機的状態の陥った場合の分担は1兆円に達する見込みであり、政府筋は「とても付き合えない」と漏らしている。


英国など欧州勢の参加により、そのノウハウが働き、中国の独善的な運営は難しくなると言う説もあるが、習近平の思惑は米欧日本などが確立した世界の金融秩序にくさびを打ち込むことにあり、世界金融での覇権確立が狙いだ。結局は中国ペースで機能することは避けられないだろう。


こうした中国の投げたボールに、例によって日本国内は泡を食らってうろたえている。とりわけ親中派に「バスに乗り遅れるな」論が強い。その筆頭格が元首相・福田康夫だ。福田は「先進国として拒否する理由はない。


拒否すれば途上国いじめになる。基本的には賛成せざるを得ない案件」ともろ手を挙げて賛成している。新聞論調も親中派の朝日が「公正な運営が担保されるなら参加も選択肢」、毎日が「日本の提案が反映されるよう中から発言を」といずれも参加論。


これに対して読売は「国際金融秩序に責任を持つ日米が参加を見送ったのは適切な判断」、産経は「国際金融秩序を壊す狙いがあり参加見送りは妥当」だ。真っ向から割れている。


ここは大蔵省アジア通貨室長を務めた衆院議員(民主党)の岸本周平の主張が最も説得力がある。岸本は「AIIBに参加したからと言って、ビジネスチャンスがにわかに増大するものでもない。


むしろ、日本の企業は国際金融銀行(JBIC)を中心に日本の民間銀行とともに、アジアに打って出る方がしがらみがなくて良い」と述べている。このあたりが最も冷静で妥当な見方だろう。


参加派はことあるごとに「参加しなければ、アジアで必要とされるインフラ投資約800兆円規模の新興市場が遠のく」などと主張するが、AIIBに参加したからと言って中国がおいしい蜜を山分けしてくれると思うのが甘い。これまで通り独自に800兆円の市場を開拓すればよいのだ。800兆円は逃げては行かない。有利な方に付くのだ。


安倍は6月のサミットに臨むに当たり、米国と協調して西欧主要国に「習近平銀行」の実態を伝え、少なくとも既存の国際金融機関との協調路線の必用を説くべきであろう。安全保障で中国の膨張主義に直面している日本の立場を堂々と主張すべきである。


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安倍は恒久法と機雷掃海で公明に譲歩せず    杉浦正章

論戦冒頭から安保法制の核心部分へ

 

まるで横綱・白鵬が日馬富士を土俵の外に投げ飛ばし、観戦していた大関・山口那津男にわざとぶつけたような代表質問初日だった。このところ恐ろしいほど首相・安倍晋三はついている。


総選挙に圧勝して、まさに地雷原を踏むようであったISIL(イスラム国)事件を見事にしのぎ、支持率は読売58%、朝日50%。「ISIL対処が適切」が読売55%、朝日50%で盤石だ。


3期ぶりにGDP はプラスに動き、日経平均株価は16日1万8004円と反発。終値での1万8000円台は2007年7月以来、約7年7か月ぶりで、第1次安倍政権時につけた1万8261円の高値更新は確実視される。


市場では「年度末日経平均2万円」の声が勢いづく。明らかにデフレ脱却の兆しも見え、野党はアベノミクスにもケチが付けられない状態にあるのが実態だ。


そのアベノミクスについて民主党代表・岡田克也が「成長戦略はわたしの基本戦略と同じ」と質問、維新代表の小結・江田憲司も「アベノミクスの方向性には賛成」と発言するようでは、安倍はますます勢いづく。


岡田は質問に先立って代議士会で「生ぬるいとかもっと厳しくやれとの批判があるかも知れないが、岡田ワールドでいく」とマイペースの質問を予告。


その「異常に律義」な性格を反映して、理路整然と安倍白鵬にチャレンジしたが、腰が入っていなかった。対案なしでは、説得力と迫力に欠けるのだ。圧倒的な勢力の政権与党に対抗して野党らしさを発揮するにはあっと驚くような爆弾質問とか、ウルトラC級の新提案がなければ注目されない。


同じ岡田でも佐藤政権を揺さぶった爆弾質問の岡田春男とは大違いであった。岡田ワールドは理路整然と間違うワールドかも知れない。


その証拠に安倍は岡田の質問を逆手に取った揚げ句、返す刀で山口を切った。そのやりとりは、まず焦点の安保法制に関して岡田が昨年夏の閣議決定を「一内閣の判断で憲法の重要な解釈を変えたことは立憲主義に反し、憲政史上の大きな汚点となった」と口を極めて批判。


安倍は、「従来の憲法解釈の基本的考え方を変えるものではない。憲法の規範性を何ら変更するものではなく立憲主義に反するものではない」と反論した。


さらに安倍はホルムズ海峡の機雷除去について「ホルムズ海峡はエネルギー安全保障の観点から極めて重要な輸送経路となっている。


仮にこの海峡の地域で武力紛争が発生し、ホルムズ海峡に機雷が敷設された場合は、かつての石油ショックを上回るほどに世界経済は大混乱に陥り、わが国に深刻なエネルギー危機が発生しうる」と強調。


同時に「わが国の国民生活に死活的影響が生じるような場合には、状況を総合的に判断する。わが国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況に当たりうる」と述べた。


これは機雷除去を、閣議決定3要件の「日本の存立が脅かされる危険」と明確に定義づけたことになる。


この発言は13日に始まった自民・公明両党の与党内調整を明らかににらんだものだ。山口はホルムズ海峡の機雷除去について「存立が脅かされる事態ではない。存立事態という新要件に当たらない」としており、安倍は真っ向から否定したことになる。


さらに山口は安倍が目指す恒久法についても「自衛隊のインド洋派遣やイラクへの派遣はその都度特措法で処理してきた」と述べ、制定には反対だ。


これに対しても安倍は「あらゆる事態に切れ目のない対応を可能とすることが重要だ。具体的なニーズが発生してから改めて立法措置を行う考え方は取らない」と述べた。


恒久法とホルムズ海峡問題は自公調整の焦点となるものだが、安倍が論戦冒頭から「山口けん制」という発言に出たことから、調整は難航せざるを得ないものとなろう。


しかし安倍はその発言や主張から見て安易な妥協をしない構えである。


浅薄な評論には統一地方選挙を控えて安保法制の論議は予算成立後になるという見方があったが、もはや安倍は統一地方選などへ国家の安保論議が波及するとは考えていないのだ。


論戦開始冒頭からの安倍の発言は、安保法制論議を国会質疑の前面に押し出す結果となる。(頂門の一針)
 

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マスコミは「蛮勇」を礼賛すべきではない    杉浦正章

与える影響の大きさを考えよ
 
 

橋本登美三郎が佐藤内閣の官房長官だったころ、従軍記者の武勇伝を聞いた。朝日新聞の記者だった橋本は部下を15人ほど引き連れて日本軍が占領した南京に一番乗りした。


弾丸が頬をかすめるような場所で記事にして伝書鳩で送ったのだ。取材経費の報告に「機関車1台」と書いたというエピソードは有名だ。新聞記者は時には命を的に取材するケースがある。


しかし、従軍記者とシリア取材の根本的な違いは、情報そのものに戦争当事国の記者並みの重さがないことだ。ニュース価値は、報道がなくても済むが、あればよい程度でしかない。


報道メディアが自社の特派員を出さずにフリージャーナリストに多額の報酬を提供して依存する根本はそこだ。もっとはっきり言えばジャーナリストは死んだ場合は自己責任。自社の記者の場合は億単位の見舞金が必要となる。


故人だから敬称をつけるが、後藤謙二氏の場合は、その意味で哀れではある。本人は死を覚悟しており、テレビで「取材中は一日10万円の誘拐保険に入っている」ということを明らかにしている。最高クラスの保険でおそらく最大補償額は5億円は下らないといわれている。


問題は新聞テレビなどの大手マスコミが、こうした取材に金を出して奨励することだ。週刊文春で紹介されたフリージャーリストの「映像が番組で流されれば、10分間で200万円から300万円ほどのギャラがもらえます」という証言は、おそらく当たらずといえども遠からじであろう。


1週間程度の取材なら保険料を払ってもお釣りが来る額だ。テレ朝の報道ステーションがこの「後藤氏美化」で突出している。中東の庶民や子供たちなど弱者への優しい目線を強調して、賛美している。


朝日もそうだ。5日付朝刊社会面で、でかでかと「ケンジの思い、広がる共感」だそうだ。「憎しみあいは報復の連鎖しか生まない。それこそが後藤健二さんが命をかけて伝えたかったこと」と賞賛した。


しかし問題は賞賛が及ぼす影響だ。難題山積の重要な時期に政府は首相以下2週間以上を人質問題に忙殺され、それにかかった血税は誰も計算していないが、社会保障に回せば多数の難病の子供の命を救える額であろう。


大津波の被災地で苦しむ人たちにも回せたかも知れない。結果的に1民間テレビの視聴率のために、費やす政治資源は計り知れない。それは政府の仕事だからまだいいにしても、問題は無責任な後藤氏賛美と英雄化が社会に巻き起こす影響だ。賛美をすれば国民は1億2千5百万人いる。次々にまねるものが出てくる可能性がある。


イスラム国(ISIL)はこの事件を契機に日本に狙いを定め、テロを起こすと宣言している。日本人とみれば人質にしてプロパガンダに使うだろう。


後藤氏は「シリアに入る責任はわたしにあります」と事前に自己責任を強調しているが、1人が死んで済む話ではなくなったのである。日本政府のみならずヨルダン政府まで巻き込み、結果的には死刑囚の死刑執行、ラッカへの空爆など復讐が復讐を呼ぶ事態を招いたのだ。


跳ね上がり1人の責任で済む事態ではないのだ。国内にISILの戦闘員が生ずる可能性すら否定出来ないのだ。


この点自民党副総裁・高村正彦は極めて的確な発言をしている。高村は「3度にわたる日本政府の警告にもかかわらず、テロリストの支配する地域に入ったのは真の勇気ではなく蛮勇だ」と批判。


「後藤さんは自己責任だと述べておられるが、個人で責任を取りえない事もあり得ることを肝に銘じてもらいたい」と述べた。まさにその通りだ。


一個人の責任で事は済まなくなったのだ。この問題で国内の議論が沸くのはよいことだが、共産党や民主党が国会で政治利用しようと首相・安倍晋三の片言隻句をとりあげて「首相責任論」にどうしても結びつけたがっているのはどうかと思う。


木を見て森を見ずの議論に貴重な国会審議を費やすべきではない。もういいかげんにしろと言いたい。


朝日は6日朝刊で危険地取材についての米国内の論議を紹介している。「(紛争地域の)前線で取材するジャーナリストの重要性を信じている。写真やビデオ、直接の体験なしでは、いかにひどい状況かを本当に世界に伝えることはできない」とか「ジャーナリストは政府の勧告を考慮に入れつつ、独自に判断をする必要がある。


責任あるジャーナリストがリスクを取って報じることが、読者や視聴者の役に立つこともある」などの意見をもっぱら我田引水型に紹介。見出しに「勧告考慮しつつ独自に判断必要」と取っているが、この辺が同社の言いたいことであろう。しかし「独自判断」で人質になれば、結局政府に救助要請して責任を押しつけるのだろうか。(頂門の一針)


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| 杉浦正章 | 16:20 | comments(1) | trackbacks(0) | pookmark |







ドイツ並みの対テロ特殊部隊を創設せよ    杉浦正章

安保神学論争をしているひまはない。

 

安倍晋三が29日の衆院予算委で、テロからの邦人救出を目指した自衛隊法改正を安保法制の柱に取り入れる方針を表明した。首相の念頭には13年のアルジェリアテロ事件で、なすすべもなく日本人が惨殺されたケースがあるようだ。


イスラム国の人質事件では日本がテロリストによる「敵」として紛れもなく浮上していることを物語っており、政府は首相の意を受けて法整備を急ぐべきだ。


もちろん今回の人質事件とは直接的な関係のない態勢確立でもある。少なくとも政府はミュンヘンオリンピックのテロの事例もあり、20年の東京オリンピックに向けてテロ対策の特殊部隊創設などへの動きを急ぐべきだ。


安倍はテロリストによる人質対策について、日本人が10人殺害されたアルジェリア人質事件を例に挙げて「英国など他の国々は自国民に対して自分たちでオペレーションをするが、日本はお願いするだけとなる。仮令日本人だけを助ける場合でもそうなる。


それで責任が果たせるのか」と強調した。さらに安倍は「こちらが装備が勝っていてもお願いするのはおかしい」と述べると共に、消防士の例を挙げ「火事が起きて消防士がリスクがあるからといって人命を救出しないとなれば、人は命を落とす。


消防士は危険を顧みず職務を果たすのであり、 自衛隊員も入隊の際に(身命を賭す)宣誓をする。リスクを恐れて何もしないままでいいとは考えていない」と言い切った。明らかにイスラム国事件を契機に人質事件対策を安保法制の柱の一つに据える方針を明言したことになる。


安倍の心中にはアルジェリア事件で政府が何ら対応できずに多数の人命を失った事への慚愧(ざんき)の念があるようだ。世界の主要国はテロ対策で軍事的にも法整備の面でも万全の対応が可能となっている。


例えばド イツの場合は1972年のミュンヘンオリンピックで、パレスチナ武装組織 「黒い九月」により行われた人質事件への苦い経験が発端となっている。イスラエルのアスリート11名が殺された事件で、ドイツは警察官の対応や訓練の欠陥が浮き彫りとなったと反省。


人質事件を始めとするテロ攻撃に対処する特殊部隊として第9国境警備隊(GSG-9)を編成した。同国境警備隊は事実上の軍隊であり、テロ対策を念頭に訓練を積んでいた。その成果が1977年になった現れた。


パレスチナ解放人民戦線によるルフトハンザ機ハイジャック事件である。ドイツ政府はGSG-9を直ちに投入した。隊員ら は胴体下と主翼上の非常脱出口から突入し、閃光弾でハイジャック犯の目をくらませ3人を射殺し、1人を逮捕し、人質の乗客達を機内から脱出させた。


この突入での損害はGSG-9隊員1名とスチュワーデス1名が軽傷を負っただけであった。まさにミュンヘン事件の借りを返したことになる。


こうした対応が世界の常識なのであり、ドイツの例を学習するなら当然安倍の言うようにアルジェリア人質事件は教訓とされなければならない。


もちろんイスラム国事件のような自己責任が問われる事案に貴い自衛隊員の命を晒すことはあり得ない。それに現在の自衛隊法は海外でテロに巻き込まれた日本人の輸送は可能だが、救出活動は出来ない。


今回の事案で教訓とすべきは、例え空爆に参加していなくても日本は「十字軍」の一員とみなされているのであり、「経済支援しかしていない」などという言い訳はテロリストには通用しないのだ。


今後は日本国内もテロの対象になりうると警戒すべきであろう。イスラム国が2−3年で壊滅しても、必ずほかのテロリスト集団が台頭する。そのテロリストが東京オリンピックをター ゲットにしても全くおかしくない。


古色蒼然たる安保関連法はテロ対策の側面からも見直されなければならない。とかく国会では神学論争に終始する傾向があるが、神学論争をする議員や学者は頭がいいようで悪い。事の本質をとらえていないからだ。


事態はまず現実にそこに起こりつつあるテロ対策から説き起こすべきだ。テロリストに対抗するにはドイツ国境警備隊に匹敵する組織が不可欠である という認識から全てを始めなければならない。


テロを抑止するにはそれを上回る武装力と知恵と訓練が常に必要なのである。存在そのものが抑止力となる軍事組織を早期に作り上げなければなるまい。「理屈は後から貨車で来る」というのが緊急事態における政治の基本だ。(頂門の一針)


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| 杉浦正章 | 17:36 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







安倍は、国内へのテロ攻撃に万全を期せ    杉浦正章
■ISISの「日本敵視」は油断できぬ

道理の通じないテロリスト相手の人質救出は最後まで予断を許さないが、 今回の人質事件でイスラム国(ISIS)が突き付けた課題は集団的自衛権をめぐる安保法制への影響と同時に、日本がテロとの戦いに物心両面で巻き込まれた事を意味する。
 

イスラム国もアルカイダも日本の経済支援を「十字軍への参加」と受け取り、はっきりと「敵」として位置づけている。
 

首相・安倍晋三は難民支援など有志連合への経済支援を継続する方針を明示しており、テロ組織にとって世界第3位の経済大国による莫大な経済支援は脅威そのものに映る。
 

ここで重要なのはとかく「海外の邦人」に目が行きがちだが、先進国でも最もテロにバルネラブル(vulnerable=すきだらけで攻撃に弱い)な体質を持つ日本社会へのテロ攻撃対策が万全かと言うことである。
 

ニューヨークの9.11テロ後は一時日本にも緊張が走ったが、その緊張感は持続していない。日本にイスラム国やアルカイダが目を付けるとすれば、弱点は山ほどある。
 

新幹線も時限爆弾一発で壊滅的な破壊をもたらしかねない。人口密集地に生物兵器によるバイオテロでも仕掛けられたらひとたまりもない。地下鉄サリン事件の例もある。おそらくテロリストにとって二人の人質事件を起こすまでは日本の存在は眼中になかったであろうが、今度の事件で「バルネラブル・ジャパン」がテロの対象として浮かび上がったと警戒しなければならない。
 

テロリストにしてみれば、空爆に参加しているかどうかなどは言い訳にはならない。有志連合にカネで参加 しているとみれば、その根を絶つためのテロは当然選択肢に挙がると見るべきであろう。
 

一方で、テロリストからの邦人保護のための法改正が、これも好むと好まざるとにかかわらず集団的自衛権を巡る安保法制の課題となる。しかし、今回のような人質事件が自衛隊派遣の対象になるかと言えば、全くあり得ない。
 

なぜなら国の警告も無視して危険地域に潜入する人物を、自衛隊員の命を代償に救出することなど国論が決して一致しないからだ。
 

いくら許しがたいテロ行為であっても、できることとできないことがある。だいいち昨年7月に閣議決定した「武力行使の3要件」にも合致しない。同要件は「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される危険がある場合」に限って武力行使を認めているのである。人質にされたからと言ってイスラム国と戦うために自衛隊を派遣することなどむしろ荒唐無稽(むけい)の部類の属する。
 

自衛隊が救出に出動するような場合は、政府機関や民間企業などが襲撃されて多数の職員が人質となったようなケースしか考えられまい。そのようなケースを想定した場合は現在の法体系では不十分となる可能性が大きい。
 

安倍もNHKで「海外で邦人が危害に遭ったとき、現在ではそのために自衛隊の持つ能力を使うことはできない。そういったことを含めて法制化を進める」と言明している。
 

政府の法整備も、あくまで「領域国の同意」を前提に「自衛隊が警察的な活動が出来るような範囲で進める」方針 である。イスラム国の壊滅までには2〜3年の期間がかかるとされているが、安倍は「武力行使で有志連合に参加するつもりはない。今行っている 非軍事分野において難民支援を中心にした支援を行う。その方針が変わることはない」と明言している。
 

しかし、軍事的貢献はしなくても当初イスラム国が、「2億ドルの支援額と同様の2億ドルの身代金」を要求したことが物語るように、日本の経済支援は時には空爆以上の効果をもたらす。
 

安倍は「リスクを恐れるあまりテロリストの脅しに屈すると周辺国への人道支援はおよそ出来なくなる。我が国はテロに屈することなく、今後とも日本ならでの人道援助を積極的に推進する」と述べた。イスラム国との戦いに、人道支援で参加したのであり、おさおさ法改正のみならず国内でのテロ対策も怠りなく取り組まなければならない。(頂門の一針)
 

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| 杉浦正章 | 11:04 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







結局岡田と細野の争いが軸か    杉浦正章
誰がなっても「待ち」しかない
 
テレビで民主党政調副会長の岸本周平と後藤裕一の話を聞いたが、総選挙はすさまじい戦いだったらしい。岸本が「拒否されるならまだ関心があるからいい。有権者は民主党に無関心だった」と述べれば、後藤も「握手をしても相手はそっぽを向いていた」のだそうだ。

二人とも駄目かと思っていたが、投票ぎりぎりになって「自民党に300議席取らせていいのか」という訴えが利いて、やっと当選できたのだという。まさに九死に一生を得た選挙だったようだが、党建て直しのための代表選挙が動き始めた。来年1月に党員サポーターも参加して実施することになった。

しかし、候補者の顔ぶれを見ると「昔の名前で出ています」ばかりだ。細野豪志、岡田克也、前原誠司、枝野幸男、馬淵澄夫らの名前が挙がるが、賞味期限の切れた納豆がまだ食べられないか匂いを嗅いでいるような状態だ。

唯一若手で論客の玉木雄一郎の名前があがっているが、知られていないだけの新鮮さではどうしようもない。問題は枝野がどうして候補になり得るかだ。党幹事長は民主党代表だった海江田万里と同じで、選挙敗北の一級戦犯である。ここは本人が辞退した方がよい。「代表選マニア」の馬渕も「出ると負け」で、もう新鮮味はない。

有力候補を分類すると政界再編を売りにする再編派と党再建を重視する再建派に分けられる、前原、細野が再編派、岡田、枝野が再建派だ。

前原は維新共同代表・橋下徹と密接な関係を維持しており、再編派筆頭と言える。民主党内には民主党の73議席と、維新の41議席を合わせれば100議席を超えて政権交代の基盤となり得るという見方が出ている。

しかし失礼ながら駄目政党と駄目政党が合流しても駄目の二乗になるだけで、何ら躍進ムードを感じさせない。単なる数合わせの野合をしても、一強自民に勝てるだけの勢いは生じようがないのではないか。

連合、日教組などを基盤とする党内左派と前原や維新系など右派との対立が激化することは目に見えている。したがって再編派は再編する前から破たん気味なのだ。前原は党を分裂させてでも再編に動くかといえばそうでもあるまい。

かねてから「大きな家論」を唱えており、基本的には民主党が維新を吸収する構想だ。

再編派の細野も原発担当相だったころ私的検討会(核不拡散研究会)が、こともあろうに韓国の使用済み核燃料の受け入れ先に、日本の青森県六ヶ所村を候補として挙げたことが、強いひんしゅくを買うなど、政治家としての方向性が今ひとつぱっとしない。

かつて元アナウンサーの山本モナとの不倫関係がやり玉に挙がったりしており党内的な人気の広がりが生ずるかどうかは不明だ。しかしこれらマイナス要素は、細野の立候補を止めるほどの内容とはならないだろう。

一方再建派の枝野は、こまっちゃくれが原因してか選挙でも国民的な人気が盛り上がらず、選挙戦への貢献度は少ない。岡田は再建派ながら野党再編を否定しているわけではない。

「野党も一つの固まりを作る努力をしなければならない」と述べている。しかし左派からの支持を意識して、声高に再編論を唱えないだけだ。左派はどう動くかだが、候補がいないのが実情だ。

労組系には元衆院議長・横路孝弘を推す動きもないわけではないが、まだ海の物とも山の物とも言えない状況だ。日教組幹部で参院副議長・輿石東を軸とする左派が、岡田でやむなしに固まれば、岡田が最有力候補になり得る。

消去法で消してゆくと1人も候補が居なくなてしまうのが実情だが、ここは岡田の再登板が一番安定した流れとなりそうな気配も感ずる。夏の「海江田降ろし」でも岡田を担ぐ動きが見られた。細野と岡田の対決が軸となれば結構まともな代表選の流れとなる。

いずれにしても、民主党は予見しうる将来にわたって「待ち」の政党を余儀なくされる。「待ち」とは自民党が大失政や大スキャンダルでずっこけるのを待つしかないということだ。

首相・安倍晋三による長期政権はよほどのことがない限り崩しようがないだろう。万一安倍が高転びに転んでも、自民党は総裁を交代させるだけであり、政権交代にはなかなか結びつかないだろう。

3年間の大失政政権で失った民主党への信頼が回復するには、地道な草の根からの地盤作りを続けるしかあるまい。それには時間がかかる。魔法のような「風」は誰が党首になっても吹くことはない。(頂門の一針)

杜父魚文庫
| 杉浦正章 | 16:56 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







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