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「多民族の同化」か「連合体」か    古森義久

■今回の大統領選は国の根幹を問うている 


熱気を増す米国大統領選挙を首都ワシントンで眺めていると、この国の指導者選びの被虐的なまでの徹底さに改めて感嘆させられる。民主、共和両党の多数の候補者がたがいにこれでもか、これでもかと攻めあって格闘する。気の遠くなるほど長い期間、広大な各地の有権者に訴え、メディアに取り組み、対抗馬を倒していく。


その長期の争いはボクシングをしながらのマラソンを連想させる。限りなく民主的そして透明な、世界に冠たる直接選挙制といえよう。ただしその間、超大国の内政も外交も機能を落とすという欠点もある。


私が米国大統領選に初めて接したのは1976年秋だった。現職の共和党フォード大統領が挑戦者の民主党カーター候補と公開討論をして、「ソ連の東欧支配なんてありませんよ」と失言したのを目のあたりにみた。一緒にテレビの前にいた若い米国人男女が一瞬、驚いて黙りこくってしまったのをよく覚えている。後に致命的な失言とされた一言だった。


だがその選挙で勝ったカーター氏も4年後の共和党レーガン候補との論戦では「娘のエイミーも核兵器の管理が重要だと話していました」という発言で人気を一気に落とした。12歳の少女の言を後生大事に紹介する非常識を責められたわけだ。


他の年にも「致命的な一言」がよくあった。候補者の言葉の責任だった。だが今回はトランプ候補の発言には暴言、失言が多いが、人気の下降にはつながらない。明らかに今回の特徴であり、その理由は多々あるだろう。


さてこれまで取材してきた10回近くの大統領選挙の共通項はやはり保守主義とリベラリズムというイデオロギーの対立だった。内政では民間や個人の自由を優先し、政府の役割を抑える「小さな政府」と、政府の規制や福祉を優先する「大きな政府」との対立である。外交では米国の価値観の投射や軍事力の抑止効果をどこまで重視するかが分かれ目となる。


だが今回の選挙では保守とリベラルの対決はより屈折し、尖鋭となり、国のあり方の根幹へと踏み込んだ観がある。


保守主義に傾く側にとってはオバマ統治の7年余でアメリカはアメリカらしさを減らし、歴史と伝統に立つ国家としてのアイデンティティー(自己認識)を失いつつあるということになる。


保守系の大手シンクタンク「ヘリテージ財団」は今回の選挙を「200年の歴史を持つ立憲共和制の合衆国として多民族同化の道を続けるか、全体の同化を排し、競合する分離した多様な集団が並ぶバルカン的な連合体へと進むか、という選択」と評していた。


新参の移民群にも固有の文化や価値観の保持を許し、アメリカ合衆国への「愛国主義的な同化」を強いないのがオバマ的統治なのだという。民主党候補がまた勝てば、そのオバマ路線がなお続くという懸念でもある。


だがその懸念にはもちろん米国という国家の変容の現実こそが新しい指導者や新しい統治を必要とするのだという反論がある。


いずれにせよ、まさにアメリカという国の形を問う選挙のようなのだ。(産経ワシントン駐在客員特派員)


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| 古森義久 | 15:09 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







日本が発信しない「拉致」英文本   古森義久

ワシントンにある韓国政府系の研究機関「米国韓国経済研究所」(KEI)で2月3日、「招待所・北朝鮮の拉致計画の真実」と題するセミナーが開かれた。


その題名の新刊書の内容を著者の米国人ジャーナリストのロバート・ボイントン氏が紹介し、米側専門家たちが討論する集いだった。


実はこの書は、北朝鮮による日本人拉致事件の内容を英語で詳述した初の単行本だった。事件を英語で紹介した文献は米側の民間調査委員会の報告書などがあるが、商業ベースの英文の単行本はなかったのだ。


だから拉致事件を国際的に知らせる点で意味は大きく、日本側も重視すべき書である。米国とカナダで一般向けのノンフィクション作品として、1月中旬に発売されたのだ。


ニューヨーク大学のジャーナリズムの教授でもあるボイントン氏は日本滞在中に拉致事件を知り「この重大事件の奇怪さと米国ではほとんど知られていない事実に駆られて」取材を始めたという。この本はニューヨー クの伝統ある「ファラー・ストラウス・ジロー」社から出版された。


ボイントン氏は数年をかけて日本や韓国で取材を重ね、とくに日本では 拉致被害者の蓮池薫さんに何度も会って、拉致自体の状況や北朝鮮での生活ぶりを細かく引き出していた。


また同じ被害者の地村保志さん、富貴恵さん夫妻や横田めぐみさんの両親にも接触して、多くの情報を集めていた。その集大成を平明な文章で生き生きと、わかりやすく書いた同書は迫真のノンフィクションと呼んでも誇張はない。


ただし、ボイントン氏は拉致事件の背景と称して、日本人と朝鮮民族との歴史的なかかわりあいを解説するなかで、日本人が朝鮮人に激しい優越感を抱くというような断定をも述べていた。文化人類学的な両民族の交流史を奇妙にねじって、いまの日朝関係のあり方の説明としているのだ。


しかし同セミナーでの自著の紹介でボイントン氏はそうした側面には触れず、ビデオを使って、もっぱら日本人被害者とその家族の悲劇に重点をおき、語り進んでいった。


「なんの罪もない若い日本人男女が異様な独裁国家に拘束されて、人生の大半を過ごし、救出を自国に頼ることもできない悲惨な状況はいまも続いている」


ボイントン氏のこうした解説に対して参加者から同調的な意見や質問が提起された。パネリストで朝鮮問題専門家の韓国系米人、キャサリン・ム ン氏が 「日本での拉致解決運動が一部の特殊な勢力に政治利用されてはいないのか」と述べたのが異端だった。


同じパネリストの外交問題評議会(CFR)日本担当研究員のシーラ・スミス氏が「いや拉致解決は日本の国民全体の切望となっている」と否定したのが印象的だった。


だがなお残った疑問は、日本にとってこれほど重要な本の紹介をなぜ日本ではなく韓国の政府機関が実行するのか、だった。


KEIは韓国政府の資金で運営される。日本側にもワシントンには大使館以外に日本広報文化センターという立派な機関が存在するのだ。


だが同センターの活動はもっぱらアニメや映画の上映など日本文化の紹介だけなのである。安倍政権の重要施策 の対外発信はどうなっているのだろう。(産経ワシントン駐在客員特派員)


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| 古森義久 | 16:26 | comments(1) | trackbacks(0) | pookmark |







安保法制、日本の敵は日本か   古森義久

日本の最大の敵は日本なのか−日本の安全保障関連法案の国会質疑やその報道は、そんな疑問を感じさせる。


「暴走」「思うがままに武力を」「ナチスの手口」など、同法案の核心の集団的自衛権行使容認に反対する朝日新聞の記事の見出しは、日本が自ら他国に戦争を仕掛けるためにこの措置を取る、と思わせようとしているのは明らかだ。


同法案の目的を「日本を戦争をする国にする」と断じる日本共産党の主張も日本がいかにも侵略戦争を始めるかのような暗示がにじむ。


なにしろ議論の最大焦点が日本を守るはずの自衛隊の手足を縛る「歯止め」だから、日本はそれほどに危険で自制のない国なのか、といぶかってしまう。日本を軍事的に威嚇し、侵略しようとする勢力への「歯止め」がまず語られないのだ。


集団的自衛権自体を危険視する側は日米同盟がそもそも集団自衛であることは無視のようだ。


日本領土が攻撃され、日本がいくら個別的自衛だと称しても、現実は米国に日本との集団的自衛権を発動してもらうのが日米同盟の抑止力そのものなのである。


自国防衛は集団自衛に全面的に依存しながら、その集団自衛の概念に反対するという日本の従来の姿勢は米側ではあまりに自己中心で他者依存とみなされてきた。


米国側は超党派でもう20年も日本の集団的自衛権解禁を切望してきた。米国が想定するアジア有事、つまり朝鮮半島有事や台湾海峡有事に対しては国防総省にはいつも「ジャパン・イン(内)」と「ジャパン・アウト(外)」という2つのシナリオが存在してきた。


「イン」は日本が米国の軍事行動に対し同じ陣営内部に入り、味方として行動する見通し、「アウト」は日本が集団的自衛権禁止を理由に米軍の後方支援も含めて完全に非協力、外部に立つという意味だという。


歴代の米国政権はもちろん「イン」を望んだが、常に「アウト」をも想定しなければならず、アジア戦略では大きな悩みだった。


そして現実の有事で、もし「ジャパン・アウト」となった場合、「日米同盟はその時点で終結する」と断言する米側関係者が多かった。日米安保条約の米側からの破棄という意味だった。


だから軍事にはあまり熱心ではないオバマ政権も今回の日本の動きは大歓迎するわけだ。米国側全体のいまの反応について大手研究機関AEIの日本研究部長のマイケル・オースリン氏は米紙への5月中旬の寄稿で「日本のいまの動きは自衛隊を他国の軍隊と同様な機能を果たせるように正常化し、米国との安保協力を深め、他のアジア諸国との安保連携をも可能にし、日本がアジアでの責任ある役割を果たせることを目指す」と歓迎の総括を述べた。


米国政府は日本政府に正面から集団的自衛権行使を求めることはしない。主権国家同士の礼儀だろう。


だが本音としてのその要望は政府周辺から長年、一貫して発せられてきた。しかも日本の集団的自衛権は禁止のままだと日米同盟の崩壊につながりかねないとする警告が多かった。


超党派の研究機関「外交問題評議会」が1997年に日本の集団的自衛権禁止を「日米同盟全体にひそむ危険な崩壊要因」と位置づけたのもその一例だった。


こうした米国側の意向や状況は日本でのいまの論議ではまったく欠落したままなのである。(産経ワシントン駐在客員特派員)


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| 古森義久 | 10:24 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







「過去の過ち清算」せよと叱責する「日本研究者」の正体   古森義久

米国の日本研究者とは一体なんなのか。日本の国のあり方や国民の心の持ち方を高所から指示する役割を自任する人たちなのか。5月上旬に出された米国の日本研究者ら「187人の声明」を読んで感じる疑問である。


この一文は「日本の歴史家を支持する声明」とされていたが、「日本の歴史家」が誰かは不明、日本政府や国民への一方的な説教めいた内容だった。


声明は日本の民主主義や政治的寛容など自明の現実をことさら称賛しながらも、慰安婦問題などを取りあげて「過去の過ちの偏見なき清算」をせよ、と叱責する。安倍晋三首相に対しては「過去に日本が他国に与えた苦痛を直視することを促す」と指示する。


英語と日本語の両方で出た同声明は原語の「促す(urge)」という言葉を日本語版では「期待する」などと薄めているが、核心は自分たちの思考の日本側への押しつけである。この点では連合国軍総司令部(GHQ)もどきの思想警察までを連想させる。


だが発信者とされる187人には「米国の日本研究者」とは異なるような人物たちも多い。安倍政権非難の活動に熱心な日本在住のアイルランド人フリー記者や性転換者の権利主張の運動に専念する在米の日本人活動家、作家、映画監督らも名を連ねる。中国系、韓国系そして日本と、アジア系の名も40ほどに達する。


そんな多様性も米国学界の特徴かもしれないが、同声明が米国全体からみれば極端な政治傾向の人物たちの主導で発せられた点も銘記すべきである。


声明作成の中心となったコネティカット大学教授のアレクシス・ダデン氏は日本の尖閣や竹島の領有権主張を膨張主義と非難し、安倍首相を「軍国主義者」とか「裸の王様」とののしってきた。


マサチューセッツ工科大学名誉教授のジョン・ダワー氏は日本の天皇制を批判し、日米同盟の強化も危険だと断じてきた。


コロンビア大学教授のキャロル・グラック氏は朝日新聞が過ちだと認めた慰安婦問題記事の筆者の植村隆氏の米国での弁解宣伝を全面支援している。


要するにこれら「米国の日本研究者」たちは米国の多数派の対日認識を含む政治傾向や歴代政権の日本への政策や態度よりもはるかに左の端に立つ過激派なのである。


だが今回の声明の実質部分で最も注視すべきなのは、これら米側研究者たちが慰安婦問題での年来の虚構の主張をほぼ全面的に撤回した点だった。


「日本軍の組織的な強制連行による20万人女性の性的奴隷化」という年来の糾弾用語がみな消えてしまったのだ。


同声明は日本軍の慰安婦への関与の度合いは諸見解があるとして、「強制連行」という言葉を使っていない。慰安婦の人数も諸説あるとして、「20万人」という数字も記していない。「性奴隷」との言葉も出てこないのだ。


声明は慰安婦問題について具体的な事実よりも女性たちが自己の意思に反する行為をさせられたという「広い文脈」をみろともいう。


このへんは朝日新聞のすり替えと酷似している。やはり日本側からの事実の指摘がついに効果をあげ始めたといえようか。(産経・ワシントン駐在客員特派員)


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| 古森義久 | 11:45 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







米歴史教科書慰安婦記述へ批判、米学界に「新風」 古森義久

米国の学問の自由もまだまだ健在のようだ。慰安婦問題での米国の教科書の誤記への日本側の抗議を逆に糾弾した米国側の歴史学者19人の主張に対して、新進の米国人学者から鋭い批判がぶつけられたのだ。


米国側の学者たちこそ慰安婦問題の事実関係を真剣にみず、日本側からの正当な抗議を「右翼」「修正主義」という意味の不明なののしり言葉で封じ込めている、という批判だった。


この批判を表明したのは米国ウィスコンシン大学博士課程の日本史研究者ジェイソン・モーガン氏で、米国歴史学会(AHA)の機関誌への投稿という形をとった。


同氏は学者としては新進とはいえ37歳、アジアへの関与は豊富で中国と韓国に研究のため住んだほか、日本では4年ほど翻訳会社を経営した後、米国のアカデミズムに戻るという異色の経歴である。現在はフルブライト奨学金学者として早稲田大学で日本の法制史を研究している。


そのモーガン氏が先輩の米国側歴史学者たちを批判した発端は、米国マグロウヒル社の教科書の慰安婦に関する記述だった。


周知のように同教科書は「日本軍が組織的に20万人の女性を強制連行した」という虚構を前提に、「日本軍は慰安婦を多数殺した」「慰安婦は天皇からの軍隊への贈り物だった」と記していた。


日本の外務省は昨年11月、出版社と著者に記述の訂正を求めたが、いずれも拒否された。米国側の学者たちはこの動きを受けて今年3月、教科書の記述は正しく、日本側の抗議は学問や言論の自由への侵害だとする声明を発表した。


同声明は慰安婦問題での長年の日本糾弾で知られるコネティカット大学のアレクシス・ダデン教授が中心となり、コロンビア大学のキャロル・グラック教授や同教科書の問題記述の筆者のハワイ大学ハーバート・ジーグラー准教授ら合計19人が署名した。その要旨はダデン教授を代表として米国歴史学会の月刊機関誌3月号に声明の形で掲載された。


モーガン氏はこの声明への反論を4月下旬にまとめて同誌に投稿するとともに、他のサイトなどで公表した。その反論の骨子は以下のようだった。


▽19人の声明は慰安婦に関する日本政府の事実提起の主張を言論弾圧と非難するが、非難の根拠となる事実を明示していない。


▽声明は吉見義明氏の研究を「20万強制連行説」などのほぼ唯一の論拠とするが、同氏も強制連行の証拠はないことを認めている。


▽声明は米国の研究者も依拠したことが明白な朝日新聞の誤報や吉田清治氏の虚言を一切無視することで、歴史研究者の基本倫理に違反している。


▽声明は日本側で慰安婦問題の事実を提起する側を「右翼」「保守」「修正主義」などという侮蔑的なレッテル言葉で片づけ、真剣な議論を拒んでいる。


▽声明は日本政府の動きを中国などの独裁国家の言論弾圧と同等に扱い、自分たちが日本政府機関からの資金で研究をしてきた実績を無視している。


以上の主張を表明したモーガン氏は、「米国の日本歴史学界でこの19人の明白な錯誤の意見に誰も反対しないという状態こそ学問の自由の重大なゆがみだと思う」と強調した。慰安婦問題では日本側の事実に基づく主張にさえ耳を傾けない米国の日本研究者の間にも新しい風が生まれたと思いたい。(産経・ワシントン駐在客員特派員)


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| 古森義久 | 14:47 | comments(1) | trackbacks(0) | pookmark |







アメリカ共和党勝利はアジアへの朗報!    古森義久
米国議会の上下両院で共和党が多数派となったことは、米国のアジア政策の強化をもたらす。よってアジアにとっては朗報である――。

こういう見解が米国の専門家たちから打ち出された。共和党★議員が多数を占める議会は、環太平洋経済連携協定(TPP)の推進や日本やオーストラ リアとの同盟の強化、中国の軍拡への抑止策の増強などをこれまでより積極的に進め、米国の国防予算の削減にもブレーキをかけることになる、という展望である。


中間選挙での共和党の圧勝が日本にも好ましい材料を与えるという見通しは、11月12日の当コラムでも報告した(「オバマの大敗はなぜ安倍政権にとって朗報なのか? 3人の共和党上院議員が強力な援軍に」)。今回、米国側でこうした展望を示したのは、アジア安全保障の専門家のエルブリッジ・コルビー氏とリチャード・フォンテーン氏である。両氏は11月中旬に大手紙「ウォーストリート・ジャーナル」に論文を寄稿し、その見解を明らかにした。

フォンテーン氏はワシントンの安保専門の研究機関「新アメリカ安全保障センター(CNA)」の所長、コルビー氏は上級研究員を務める。ともに米国政府の国防総省、国務省、国家安全保障会議などで、アジアや安全保障、軍事の政策を高官として担当してきた。

■共和党の協力でTPPの推進が容易に

この共同論文は「共和党多数の議会はアジアにとって良いニュースである」と題されていた。副題は「共和党は貿易、安全保障、人権に関して(アジア諸国の)より良きパートナーとなる」であった。

論文は、まず、オバマ政権と議会の民主党が、中東や欧州での危機に関心を奪われ、アジアに目を向けることが少なくなってきたと指摘し、「やはりアジア・太平洋地域は世界全体の経済ダイナミズムと戦略的競合の中心舞台であり、米国は政党の如何にかかわらず、中期、長期にこの地政学的な現実に対応して、より多くの注意と資源を向けなければならない」と強調した。(つづく)

杜父魚文庫
| 古森義久 | 17:11 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







朝日新聞は日本の「宝」である    古森義久
新しい本を出しました。朝日新聞がなぜ日本の宝なのか。その理由は日本にとっての反面教師の価値がこれほど高い存在もまずないことである。 

日本がこれからどんな道を進めばよいのか。迷ったときは、朝日新聞の主張をみて、その正反対の道を進めばよい。戦後の日本は現にそういう道を選んできたために現在の平和や繁栄を得てきた。朝日新聞の主張とは反対の選択を下したことで、戦後の日本国は成功したのである。

だから朝日新聞は日本にとって国宝級のすばらしい反面教師の役割を果たしてきたのだ。

もちろん諧謔をこめての考察である。たちの悪いブラックジョークと評されてもしかたあるまい。だがその点にこそ朝日新聞の特徴があるのである。朝日新聞の主張どおりに日本が進んでいれば、とんでもない破局となりかねなかったのだ。

今回の朝日新聞の慰安婦報道の誤報訂正も、この新聞のこうした基本的性格に合致する現象だった。朝日の主張を信じ、それに従っていると、わが日本はみずからを傷つけ、奈落にも落ちこみかねないのである。現に朝日の慰安婦報道に従っていたからこそ、日本は非人道の極悪の国家であるかのようなレッテルを国際的に貼られてしまった。

朝日新聞は慰安婦問題で虚構の情報を三十年以上も流し続けた。うっかりした「誤報」ではないことは明白である。その結果、日本に測りしれないほどの被害を与えた。その責任は徹底して問われなければならないだろう

だが朝日新聞の真の問題点はこの慰安婦報道の虚構よりも、そうした虚報を三十年以上も続けるこの新聞の特異体質にある。日本という国家や日本人という民族を特定の政治方向へ押しやろうとする危険な意図である。日本が日本らしさを減らし、日本国が国家らしさを減らす。そんな方向を目指す意図だといえる。このへんの傾向を反日と断ずる向きがあるのも、それほど理不尽ではないだろう。

朝日新聞はその意図のためには新聞としての日常の報道や評論のなかで、世界のうねりや日本の動きを不自然にゆがめていく。現実の世界を朝日新聞が望む世界へと変形して、読者に提示する。こうした体質があってこその慰安婦報道虚報だったのである。

私は朝日新聞のそうした歪曲や偏向をもう四十年前のベトナム戦争の最中で最初に痛感した。いま思っても、頭を強く殴られるほどショッキングな体験だった。

それ以来、世界の各地での報道にあたるなか、現実の世界と朝日新聞の描く世界との大きなギャップを目撃してきた。この書は私のジャーナリストとしてのそうした朝日新聞考察の集大成である。

私は毎日新聞と産経新聞と、二つの新聞の記者としてもう五十年ほども報道や評論の活動を続けてきた。長いその年月の三分の二もの期間、外国で過ごし、日本の読者に向けての新聞記事を書いてきた。国際報道である。 

そのプロセスのなかで、いやでも朝日新聞を読み、価値のある情報を得る機会も多い一方、ゆがみの目立つ不正確な情報にも多々、接してきた。なんだ、これは、いま目前にある事実とはまったく違うではないか、と実感させられる記事も多かった。

私の朝日新聞批判はこのような実践、実証の体験からごく自然に生まれてきた読後感が基本なのである。最初から朝日新聞自体に反感を抱くなどという傾向はまったくなかった。まして朝日の個々の記者たちに恨みなどがあるはずもなかった。

いや、むしろ反対に個人のベースでは敬意を感じ、親しみを覚えて、親交のあった朝日新聞記者たちも実はかなりの数、存在したのである。私の朝日新聞論はあくまで活字となって公表された記事の中身だけを対象としているのだ。そしてその批判の対象は私自身が体験してきた国際報道が大部分である。

本書の構成としては第一章と第二章で朝日新聞の今回の慰安婦報道の訂正に焦点をしぼり、私自身が取材にあたってきたアメリカでの慰安婦問題をめぐる動き、とくに朝日の誤報と虚構によって日本がどれほどの打撃を受けてきたかに光をあてた。

第三章では朝日新聞の姿勢の核心を検証した。日本が普通の国家としての行動をとろうとすると、猛反対する朝日のあり方がいかに不可思議であるかを報告した。第四章は朝日新聞の国際報道のゆがみを時系列と世界横断的に、縦と横とに視線を走らせてまとめてみた。第五章では朝日新聞独特の奇異なレトリック(言辞)の実例と反対する側への言論抑圧の実態を報告した。

本書の編集や構成ではビジネス社の社長の唐津隆氏と国際報道全般に詳しいジャーナリストの加藤鉱氏に基礎からの貴重な協力をいただいた。両氏への心からの感謝の意を述べたい。

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| 古森義久 | 20:40 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







「オバマ外交の惨状」    古森義久
アメリカのオバマ政権のここ五年九ヶ月にわたる対外戦略はやはり大失敗だったようだ。そんな総括がその戦略の中枢にいた前閣僚の著書で明らかにされた。

オバマ政権の国防総省と中央情報局(CIA)の両長官を務めたレオン・パネッタ氏の新著『価値ある戦い』である。


十月九日に全米で発売された同書はオバマ大統領の指導力や世界観までを手厳しく批判し、同大統領の任期の残り二年余も「政府と議会の対立の行き詰まり」で統治機能は低下の一途をたどると予測した。

オバマ政権ではすでに第一期のヒラリー・クリントン国務長官、ロバート・ゲーツ国防長官がそれぞれ内幕暴露本を出し、本書と合わせて、外交や軍事の責任者三人が大統領を批判する形となった。

パネッタ氏は『価値ある戦い』ではオバマ大統領の朝令暮改、優柔不断、視野閉塞など、実例をあげて辛辣に指摘していた。

「オバマ氏は二〇一二年、シリアのアサド政権が化学兵器を使えば、軍事力で介入すると誓約しながら、それを実行せず、アメリカの信頼性を大きく傷つけた」

「オバマ氏は米軍の海外関与削減だけを求めて大統領となったが、(多くの失敗で)重要な教訓を学んだ。アメリカがリーダーシップを発揮しなければ、どの国も代役は果たせず、世界に空白が生まれる」

「オバマ氏はイラクからの米軍完全撤退をクリントン国務長官や私(パネッタ)の反対にもかかわらず断行したために、テロ組織の『イスラム国』の跳梁を許した」

「ゲーツ氏もクリントン氏も私もみな祖国の安全保障への深い信念により政府の要職を引き受けたが、オバマ氏のその点での精神については懸念があった」

「オバマ氏の最も顕著な弱点は反対勢力とは接触せず、いやなほど黙ったままでいることだ。情熱に欠け、論争を避け、不満だけを述べ、好機を逸することが多かった」

よく読めば、オバマ氏の資質から哲学、国家への忠誠までに疑義を呈する激烈な批判である。

だがその一方、パネッタ氏はこの書で親密な関係にあるクリントン前国務長官をオバマ外交の失態から切り離して、次回の大統領選挙で有利にすることをも意図したのだという評もある。

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| 古森義久 | 10:10 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







日中首脳会談のトリコになるな!     古森義久
■【緯度経度】古森義久 中国の対日姿勢に変化兆し

日中首脳会談の開催の見通しが日本側でまた一段と熱をこめて語られるようになった。だが中国側がその開催に前提条件をつけ、日本側が無条件のままで会談に応じてもらおうと訴える基本構図は変わっていない。日本側が中国側に請い求めるという感じなのだ。

しかし、米国の中国外交研究の超ベテランからは中国の対日、対アジアの両関係は日本側が考えるよりは脆弱(ぜいじゃく)で、中国首脳は日本側の譲歩なしに安倍晋三首相との会談に応じる展望が強いとの見方が表明された。


日本側の関心は、11月の北京でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、習近平国家主席が安倍首相と首脳同士として公式に2国間会談をするか否かに絞られてきた。

中国側は首脳会談について、日本側が尖閣諸島(沖縄県石垣市)への中国の領有権主張を認知し、「領土紛争は存在しない」という立場を変えることなどを開催の前提条件としてきた。だが日本側では首脳会談が2年以上、開かれていない事実だけをみて、「とにかく開催を」と政権に対中譲歩を迫る声も出てきた。

しかし、いうまでもなく首脳会談は対外関係ではあくまで手段であって目的ではない。目的は国益の堅持であり、拡大である。

こうした現状の日中関係での中国指導部の計算について、米ジョージワシントン大学教授のロバート・サター氏が分析を語った。

「中国は米国とアジアの同盟国、友好国との信頼の絆を少しずつ削るサラミ戦術をかなり成功させているが、なおオバマ政権の対中姿勢が最近、硬化して、対アジア関係をこれ以上、悪化させたくないという意向に傾いた形跡が濃い」

「現在の中国にとって年来の盟友の北朝鮮との関係が冷却し、南シナ海の領有権紛争での攻撃的言動でフィリピンやベトナムとの関係も険悪となり、対日関係を放置するとアジア外交全体が手詰まりとなる」

「中国のアジア外交は日本側が考えるより脆弱で、指導部内ではアジア外交全体の悪化や難題の打破のために、日本に対して軟化をみせても当面の関係改善を図ろうとする気配がある」

サター氏は以上の理由から、「中国はこれまでの前提条件要求を棚上げして、日本との首脳会談にまもなく出てくる見通しが強い」と予測するのだ。となれば、安倍首相がこれまで中国側の前提条件を排し、会談に応じなかった姿勢は正当化されることともなる。

サター氏は米国務省や中央情報局(CIA)、国家情報会議(NIC)などで30年以上、対中政策形成や中国情勢分析を専門にしてきた。民主、共和両党の政権で勤務した党派性の薄い研究者としても知られる。

同氏はオバマ政権の政策をめぐり、冒険主義的な行動を抑えるため中国側の弱点を突く具体的措置を取ることを最近、提言した。この思考に従えば、日本も香港での民主主義抑圧やウイグル人学者への弾圧ぐらいには、国政レベルで懸念表明があってしかるべきだろう。(産経・ワシントン駐在客員特派員)

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| 古森義久 | 08:35 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







米中両国の対立で日本はどうなる    古森義久
私の新著の改めての紹介です。

<<迫りくる「米中新冷戦」〜日本は危機に襲われる!?/古森義久(産経新聞ワシントン駐在客員特派員)>>

昨今の日本は、アメリカと中国によって命運を左右されると言っても過言ではない。しかし、オバマ大統領の対中融和政策は失敗し、米中の対立が強まりつつあるという。果たして日本の行方は…

そうした中、米中関係を鋭く分析した 古森義久著『迫りくる「米中新冷戦」』が発刊された。

<『迫りくる「米中新冷戦」』の構成>

第1章 失敗したオバマ政権の「対中融和外交」
第2章 アメリカを標的に軍事力を増強する中国
第3章 日本領土を中国が侵略する!
第4章 中国が仕組むメディア・サイバー攻撃
第5章 歴史問題をめぐる各国の反応
第6章 中国が抱える火種

長年ワシントンから、今のアメリカ、今の世界を分析し情報発信をしてきた古森氏は、本書で何を訴えたかったのか。「まえがき」から探ってみた。

■日本と世界は大動乱の時代を迎える

いまの日本にとって国の根幹を揺さぶられるほど巨大な影響を受ける国は、アメリカと中国だろう。アメリカは日本の安全保障を支える同盟相手である。中国 は「反日」を国策に近い基本に据えて、日本の領土を奪う意図を明確にし、日米同盟を骨抜きにしようとする。

だからアメリカと中国が日本に対して実際にどんな動きに出てくるかは、日本の国運を左右することになる。そしてそのアメリカと中国が相互にどんな関係にあるかも同様に日本の進路を激しく動かす要因となる。

その米中関係がいまや一段と険悪になった。新たな冷戦と呼べるほどの対立状態ともなってきた。ただしアメリカ側ではオバマ政権がもっぱら守勢に立ち、なお中国への融和をも試みている。中国はその消極性に乗じるように、アジアでのパワーを拡大し、日本を威嚇する。

本書は米中関係のそんな最新のうねりと、その日本への影響を主としてワシントンでの考察から緊急に報告した集約である。

私の米中関係ウォッチは1998年秋から本格的に始まった。産経新聞中国総局長として北京に駐在した時期からである。2年間の中国での報道活動の後、ワ シントン駐在に戻り、こんどはアメリカ側から中国や米中関係を追うようになった。その考察も究極的には、日本にとってなにを意味するか、という一点が大き かった。

その点では、いまの日本は戦後でも最大の国家危機に直面したといえる。中国が軍事力の大増強を続け、日本への脅威を急速に増大してきた。一方、有事には 日本の防衛にあたることを誓約してきたアメリカが、オバマ政権下ではその防衛誓約を、果たして履行するかどうかに疑問が広がってきた。中国の脅威と、アメ リカの動揺と、いずれも日本の国運を揺るがす危機につながる。

本書はこうした危機の実態を、まずアメリカの対中姿勢、中国のアメリカへの挑戦、そして中国の対日攻勢など、それぞれ具体的な事例の紹介によって報告し ている。そして中国の対外政策や国内政治の実情を伝えるとともに、日本に重くのしかかる歴史問題について改めて中国とアメリカの対応に光を当てた。

本書で最も強く訴えたかったのは、米中関係の悪化と、米中両国それぞれの国内事情が相乗する形で日本にとっての危機を増大しているという現実である。

このままだと、わが日本は尖閣諸島という固有の領土を失い、中国の軍事力の下に屈服するという悪夢のシナリオも決して夢想ではなかったという結果になり かねない。日本にとって国家や領土の防衛では最大の頼みの綱だったアメリカが、その最悪の事態に日本を助けないという危険な可能性さえも浮上しているの だ。その意味では本書はわが日本への警鐘だともいえる。
(『迫りくる「米中冷戦」』「まえがき」より)

■古森義久(こもり・よしひさ)
産経新聞ワシントン駐在客員特派員。1963年、慶應義塾大学経済学部卒業後、毎日新聞社入社。72年から南ベトナムのサイゴン特派員。75年サイゴン支 局長、76年ワシントン特派員、81年米国カーネギー財団国際平和研究所上級研究員。83年毎日新聞東京本社政治部編集委員。87年産経新聞社入社。ロン ドン支局長、ワシントン支局長、中国総局長、ワシントン駐在編集特別委員兼論説委員などを経て2013年から現職。2010年より国際教養大学客員教授を 兼務。

著書に、『危うし!日本の命運』『憲法が日本を亡ぼす』『2014年の「米中」を読む(共著)』(以上、海竜社)、『オバマ大統領と日本沈没』『自壊する 中国 反撃する日本(共著)』(以上、ビジネス社)、『いつまでもアメリカが守ってくれると思うなよ』(幻冬舎新書)、『「中国の正体」を暴く』『「無 法」中国との戦い方』(以上、小学館101新書)、『中・韓「反日ロビー」の実像』(PHP研究所)など多数。

杜父魚文庫
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