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こんどはケニアの鉄道建設現場で   宮崎正広

■中国国有企業がケニア高官に賄賂、裁判に


中国がアフリカに異様は外交を展開していることは周知の事実だが、アフリカ55ヶ国のうち、45ヶ国に大使館を設置し、あちこちで「経済援助」。なかにはジンバブエのように軍事支援で独裁政権を支えている国もある。


明らかに国連のアフリカ票をまとめる目的がある。


とくに力点を置いているのは南スーダン、アンゴラ、ナイジェリアでいずれも中国が石油鉱区を開発し、原油輸入の拠点にしている。モザンビークやケニアとの結び付きも深い。


江沢民、胡錦涛、習近平と歴代の国家主席は、これらの国を公式訪問しており、直近では2015年5月に李克強首相がエチオピア、ナイジェリア、アンゴラ、そしてケニアを歴訪した。


そのケニアでは港湾都市のモンバサから首都ナイロビを結ぶ450キロの鉄道工事を中国国有企業の「中国路橋公司」が請け負っている。


この鉄道工事は新幹線でも高速鉄道でもなく、旧式で英国植民地時代の鉄道の老朽化を一新する工事だ。総工費148億ドル。このうち52億ドルが中国の援助である。かなりの大盤振る舞いではないか。


ケニアの裁判所は、この工事にかかわって賄賂を送ったとして、中国人ふたりに判決を言い渡し、罰金刑を科した。ケニアの「倫理並びに反腐敗委員会」が告発したもので、裁判に持ち込まれていた。


当該中国国有企業スポークスマンは「賄賂に関わった中国人は当社の社員ではない」と記者会見した(『サウスチャイナ・モーニングポスト』、10月2日)。


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| 桜井よしこ | 06:38 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







中国に阿る潘基文国連事務総長   桜井よしこ

日本人の間には根強い国連信仰がある。国連に、理想の国際社会の姿を重ねる人々は、日本国憲法前文や9条を至上の価値と崇める人々とも重なる。
 

韓国出身の国連事務総長、潘基文氏が9月3日、北京の抗日戦争勝利記念式典に参加する。氏の行動は、国連信仰が如何に幻想に近いものであるかを巧まずして示している。
 

国連はあらゆる意味で、十分に機能し得ていない。200近い国々の集合体には幅広い意見や主張が存在する。5つの常任理事国は拒否権を有し、自国に不都合な決議を葬り去る。


このような事情で国連が機能しにくいことを承知していながら、 それでも機能させるべく努力しているのが国際社会の現状である。国連事務総長はそ の努力の先頭に立つべき存在だ。事務総長の依って立つ基盤は、従って、国際法であり、自由と人権擁護の普遍的価値観でなければならない。
 

出身国によって、或いはその人物の個性によって多少の違いはあるが歴代の事務総長の多くは右の基準を満たすべく出身国の利害を超えて活動した。

 
国連事務総長の出身国は初代がノルウェー(1946年〜52年)、次がスウェーデン(53年〜61年)、3代がビルマ(61年〜71年)、4代がオーストリア(72年〜81 年)、5代がペルー(82年〜91年)、6代がエジプト(92年〜96年)、7代がガーナ (97年〜06年)、8代が韓国(07年〜)だ。
 

こうして見ると、概して小国或いは中位国の出身者である。そのわけは、拒否権という特別の権利を有する国々が常任理事国として中枢を占める国連が、大国だけの意思で運営されることのないように、弱小諸国の立場や価値観、国益を守るためである。
 

かつて国連で活躍したある関係者は、国際社会の基軸となる普遍的価値観を擁護する重大な責任が事務総長にあるのは明らかだが、8人の中には、国際社会に大きく貢献した人もいれば、自身の野心の実現のために「生臭い活動」をした人物もいると語る。

彼は、歴代事務総長の中で、恐らく最も尊敬されているのが2代事務総長、スウェーデン出身のハマーショルド氏ではないかと、振り返った。


■第三世界の外交官


「彼の在職は1953年から61年で、米韓両国に対して北朝鮮と中国が戦いを仕掛けた朝鮮戦争以降、東西冷戦が本格化していました。そうした中、ハマーショルド氏は中国軍の捕虜になった米軍パイロットの解放を周恩来と交渉して実現させました」
 

50年6月25日の朝鮮戦争勃発から4か月後の10月25日に、中国は参戦した。国連軍は北朝鮮を中朝国境まで追いつめていたが、中国軍は反転攻勢に出て国連軍の北上を阻止する。11月下旬には北朝鮮の首都・平壌奪還作戦へとさらなる反撃の段階に入った。
 
中国が「抗米援朝」のスローガンを掲げて戦った米中の対立構造の中で、ハマーショルド氏はトップとして、国連なりの平和への道を探ったのだ。このような 冷静な姿勢こそが、国連の目指すべきものだ。
 

エジプト出身の6代事務総長、ブトロス・ガリ氏も偉大な人物だったと、この関係者は述懐する。


「日本のカンボジア平和維持活動(PKO)について、多くの国々は成功は見込めないと否定的に見ていました。ただ、ガリ氏は日本を信頼し協力し評価していた。日本にとっては非常に心強い存在でしたが、残念ながらソマリア紛争などで米国と対立し、米国によって再任を拒否されました」

 
シンクタンク・国家基本問題研究所副理事長の田久保忠衛氏も、日本の立場で見ると、ガリ氏は最も印象的な事務総長だと語った。


「彼は来日の度に東郷神社に参拝していました。英国など大国の支配を受け続けた西の国から見ると、東方で日本がロシアに勝ったことは大変な驚きで、尊敬の対象なのです。


彼は、大東亜戦争で敗北したとはいえ日本がいつまでも米国製の憲法に縛られて自主独立の道を歩めないのはおかしい、それは国際社会のあるべき姿ではないとして、日本の憲法改正を表立って支援していました」
 

先の国連関係者が続ける。


「ガリ氏と7代事務総長、ガーナ出身のコフィ・アナン氏は、日本やドイツは安全保障理事会の常任理事国になるべきだとの考えでした。ガリ氏はその思いを隠さず率直に語っていました。欧米列強に対し、第三世界の外交官として毅然と物を言うガリ氏の気概は、サムライの心と相通ずるものがあると感じました」


歴代事務総長はいずれも、小国或いは中位国出身であるからこそ、国際社会がひと握りの大国によって、その大きな力を背景に恣意的かつ独善的に左右されることのないよう、普遍的価値観に基づいて筋を通すよう、努力した。そのような歴代事務総長の姿勢と較べると、潘氏はどうか。


「一言でいえば生臭さを感ずる」というのが先の国連関係者の実感である。潘氏の言動は政治的にすぎるということであろう。


■普遍的価値観を守る
 

クルト・ワルトハイム氏は、4代事務総長を辞した後、オーストリアの大統領に就任した。政治的野心をもって事務総長に名乗りを上げたと見る人もいる。


潘氏が韓国大統領選挙に出馬する可能性も報じられており、氏の近年の言動の中には、 韓国の世論を意識したと思えるものがある。

 
たとえば、13年8月26日、ソウルでの記者会見の発言だ。氏は安倍政権の歴史認識について「正しい歴史(認識)が、良き国家関係を維持する。日本の政治指導者には深い省察と、国際的な未来を見通す展望が必要だ」と批判した。


正しい歴史認識とは韓国の立場に立った認識なのかと、日本人なら思うだろう。一国の見方に与し、他国の見方をあからさまに排除する姿勢は、国連事務総長としての立場を忘れ去ったものだ。
 

他方、普遍的価値観を守ることも重要な責務のひとつである国連の事務総長として氏は中国にもロシアにもまともな発言はなし得ていない。昨年2月、ロシアのソチ五輪開会式には欧米主要国が欠席する中、出席したが、プーチン大統領による苛烈な人権侵害問題には抗議もしなかった。


氏は今回、中国で何を語るのか。
 

かつて北朝鮮を支えることで朝鮮戦争を長引かせ、朝鮮全土に凄まじい犠牲者を出す原因となったのが中国の軍事介入だ。中国はいまも国際社会を脅かす暴力要素である。東シナ海、南シナ海で継続する侵略行為チベット、ウイグル、モンゴルの各民族への民族浄化、世界最悪の不透明な軍拡。これらについて、潘氏は本 来、強く抗議すべき立場だ。


氏の北京訪問はあるべき国連トップの言動から外れたもので、国連のみならず、韓国への信頼をさらに低下させるだけであろう。(週刊新潮)


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| 桜井よしこ | 11:27 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







日本の最高学府は責務を果たしているか  桜井よしこ

自民党などが衆議院憲法審査会に招いた参考人、早稲田大学教授の長谷部恭男氏が、選りに選って自民党の進める集団的自衛権の限定的行使容認や安全保障法制は憲法違反だと語り、国会は大混乱に陥った。

  
過日、私はインターネット配信の『言論テレビ』の番組で、小野寺五典元防衛大臣、長島昭久元防衛副大臣と共にこの問題を語り合った。長谷部氏の主張がなぜ、あのようになるのかについては後述するとして、集団的自衛権の行使の課題については小野寺氏の説明がわかり易い。

  
防衛大臣当時、氏は安全保障上の問題が発生したとき、如何にして日本国民を守り得るのか、考え続けたという。普通の国では緊急時の対応はおよそ全てルール化されており、それを如何に早く適確に行動に移すかに集中すればよい。だが、日本の安全保障体制には幾つもの穴があるために、その穴をどう埋めるかについて考え続けたというのだ。


「北朝鮮が弾道ミサイルを発射したとき、それがアメリカを狙ったものか、日本を狙ったものかはっきりしない段階で撃ち落とした場合、国際法上は集団的自衛権行使だと解釈される可能性が高い。では、日本が集団的自衛権を認めないから、何もしないでいいのかという話になります」

  
日本がミサイルを墜ち落とさず、グアムに着弾した場合、日本にも大きな負の影響が生ずる。グアムには日米同盟を支える米軍基地があり、多くの日本人も滞在している。ミサイル着弾前の撃墜を命じれば、それがたとえ、国際法上は集団的自衛権行使だと解釈されても、防衛大臣としての心情は、あくまでも日本人と日本国を守るためのものである。それを行使しても当然なのではないか。


「国民にこのような具体例で説明すれば、是非、撃ち落としてほしいと言うのではないでしょうか。自民党案は、そうした国民の思いを汲みとって、国際法上、集団的自衛権と見なされることも、わが国の安全を守る視点から限定して行使しようというものです」


■日本の頭脳が一掃
  

長島氏は基本的に小野寺氏に賛成する一方で、安倍晋三首相が掲げたホルムズ海峡での機雷掃海のような活動は、歯止めなく広がるのではないかと疑問を呈した。小野寺氏が次のように応えた。


「シーレーンは日本にとっての生命線です。ホルムズ海峡でなくとも日本周辺の公海に機雷が敷設されれば、油を積んだタンカーも、食糧、製品を積んだ船も全て動けなくなる。


ここで機雷を除去すれば、それは武力行使です。日本の見地からすると個別的自衛権ですが、公海上でまだ日本が攻撃されていないのに機雷除去に及ぶことは国際法上、集団的自衛権だと解釈されます。しかし、これはやって当たり前のことなのです。やらないわけにはいかない。だったら、日本も集団的自衛権の行使を認めるようにしましょうということです」

  
こうした事例をひとつひとつ積み重ねていけば集団的自衛権行使は当然だと理解し易くなるが、国会ではこれが憲法問題となり、まず正面から憲法改正に挑み、その後、集団的自衛権を行使せよという主張になる。しかし、こう主張する人たちこそ、憲法は絶対に変えるなとも言うのだ。
  

この種の矛盾を学者の権威で支えるのが、前述の長谷部教授らで、元を辿れば東京大学を頂点とする最高学府の学者たちである。日本の不幸のひとつは、実に学界から生まれているのではないか。小野寺氏の苦言だ。

「世の中や世界の基準からかけ離れていたり、言っていることがどうも理解できないというような変わった人の集まり(が学界)だという状況があります」
  

学界の特徴のひとつが徹底した軍事嫌いである。つい最近まで、東大は軍事に関わる一切の研究を厳しく排除してきた。昭和34年(1959年)、大学の最高意思決定機関である教育研究評議会で、当時の茅誠司学長が「軍事研究は勿論、軍事研究として疑われる恐れのあるものも一切行わない」と表明、昭和42年(67年)には大河内一男学長が「外国も含めて軍関係からは研究援助を受けない」と宣言した。
  

軍事的なるものの一切を排除する日本の知的人士は、世の中の便利な技術の恩恵を受けてはいないのだろうか。多くの軍事技術が民生用技術に転用されていることは今更言うまでもない。軍事衛星が集める位置情報はミサイルのピンポイント攻撃用にも、市販されるカーナビにも使われる。東大教授たちが軍事研究を峻拒しつつ高度に発展を遂げたカーナビのお世話になっているとしたら、それ自体大いなる矛盾である。
  

小野寺氏が語った。


「戦後、GHQ(連合国軍総司令部)によって公職追放された人は20万人以上、政治家や官僚だけでなくアカデミズムの世界からの追放も少なくなく、日本の頭脳が一掃されたと言われたものです。追放された権威の後釜に入ったのが、左翼系の研究者たちでした」


■調査協力を拒否
  

元々左翼系だったか、それともGHQの圧力の下で左翼系に転向したか、いずれにしても戦後、東大の教授職の殆どに左翼系の人々が就いたといえる。弟子たちも同じ路線を引き継いだ。憲法学の分野では、先述の長谷部氏もこの系譜に連なる。一方、軍事研究はこうした中で厳しく規制され続けた。小野寺氏が続ける。


「世界のトップクラスの大学には国の安全保障戦略を研究する講座が必ずありますが、わが国の最高学府では安全保障も軍事も研究してはならないことになっていて、そこでは本末転倒の状況が起きています。


たとえば、防衛大学校の優秀な卒業生を最高学府の研究所に派遣してもっと勉強させ、日本の未来を担う人材に育て上げようとしても、教授会が受け入れない。逆に中国人の研究生はどうぞどうぞと迎え入れる。一体この国の安全保障を最高学府の彼らはどう考えているのか。なぜこんな教授会になったのか。その根っこにある、先に触れた戦後の大学の成り立ちに注目せざるを得ません」
  

氏のいう最高学府が東大を指すのは改めて指摘するまでもない。
  

平成25年12月、安倍政権は、大学の軍事研究の有効活用を目指す国家安全保障戦略を閣議決定した。その1年後、東大大学院情報理工学系研究科は軍事研究の解禁を決めたが、実際には殆ど進展は見られない。


この間の国外への頭脳流出も少なくない。また昨年5月、防衛省が航空自衛隊輸送機の不具合の原因究明のため、東大大学院教授に調査協力を要請すると、拒否されるという驚くべき「事件」も起きた。

  
学問の自由も思想信条の自由も私は最大限支持するものだ。それでも、日本の学界に東大が君臨し続けるのであれば、観念の世界から脱して国際社会の現実に立脚すべきだと思う。(週刊新潮)

 
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| 桜井よしこ | 07:25 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







真意を巧妙に隠す中国のしたたかさ   桜井よしこ

■硬軟織り交ぜた戦略を繰り出す裏で真意を巧妙に隠す中国のしたたかさ 


4月末、米国を訪れた安倍晋三首相は日本の国際社会の立ち位置を新たな次元に引き上げた。祖父、岸信介元首相は約60年前、「日米新時代」という言葉で日本が米国と対等の立場に立つ気概を示した。


安倍首相はガイドラインの見直しを通じて、事実上、日米安全保障条約の改定を行った。これまで国家の危機に直面してもなすすべもなく傍観していなければならなかった安全保障の空白を、かなりの部分、埋めることができるようになり、日本の独立性をさらに高めたことは大いなる前進である。

  
それでもまだ完璧には遠いが、日本国が自力で国を守る意思を示し、日本国だけで不足の部分は米国と協働して守り通す決意を示したこと、米国もまた明白に日本と共に自由世界のルールを守り通す決意をオバマ大統領の言葉で示したことの、中国に対する牽制の意味は大きい。
  

安倍外交に対して韓国外務省は、「(歴史に対して)心からのおわびもなく、非常に遺憾」と論難し、中国も植民地支配や慰安婦問題への謝罪を表現しなかった安倍首相を批判した。中国はその後も、王毅外相らが中国を訪れた高村正彦自民党副総裁らに70年談話に関して歴史圧力をかけ続けている。
  

原則については決して譲らない安倍路線に対して、中国はいま、2つの路線を同時に進行中だ。南シナ海の埋め立てに見られる強硬路線と、アジアインフラ投資銀行(AIIB)に見られる柔軟路線である。


日本に対してもにわかに人的交流が増え、中国が柔軟路線に切り替えたことが見て取れる。中国の真意を、静岡大学教授の大野旭氏が喝破した。大野氏は南モンゴル出身で、現在は日本国籍を取得している。


「中国の膨張戦略の基本は毛沢東が語った?沙子政策です。発音はツァンシャーツ、砂を混ぜる、です。侵出したい所にまず中国人をどんどん送り込む。そのとき彼らはこびるような笑顔でやって来ます。


現地の人たちは大概、人が良いですから、歓迎したり、同情したりで受け入れます。すると中国人は1人が10人というふうにどんどん増える。人口が逆転し、中国が優勢になると、中国人の笑顔が消えます。彼らは権力を奪い支配者になり、その過程で虐殺が起きます」
  

だが、中国のAIIBに見られる金融力を活用しての影響力の拡大路線は必然的に柔軟路線と一体となる。それは最終的に中国国内の民主化につながるとの希望が生まれている。この点についても大野氏は語る。


「私はモンゴル人として中国政府の弾圧を受けて育ちました。モンゴル人の受けている圧政について、いまも書き続けています。その結果言えるのは、中国が民主化することはまずあり得ないということです。民族学者として何十年も中華民族の特徴を研究してきました。彼らの民族性には民主化という要素がないのです」
  

なぜこのように断定するのか。


「中国は歴史が始まって以来今日までずっと独裁政治の下にあります。専制政治がずっと続いてきたのが中国です。中国の民主化に期待するのは無邪気な国の、平和と友情を信ずる天真らんまんな発想にすぎないと思います」

  
中国の真意は言葉や笑顔には決して表れない。その行動の中にこそ、真実を読み取るべきなのだ。その意味で興味深い記事が連休中の「産経新聞」(5月6日)に報じられていた。

  
中国海軍の呉勝利司令官が4月29日、米国海軍制服組トップのグリナート作戦部長に、南シナ海の埋め立てでできた土地を米国も利用しないかと持ち掛けたというのだ。


米国議会をはじめ、中国の埋め立てに厳しい反応が出ていることに対して、このようなしらじらしい提案を「こびるような笑顔」でするのが中国である。


中国の歴史に学び、中国の真意を見通すことが大事である。(週刊ダイヤモンド)


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| 桜井よしこ | 12:04 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







気概が米国の心をつかむ    桜井よしこ

安倍晋三首相の訪米に関連して、『岸信介回顧録』(廣済堂)の一場面を思い出す。


昭和32年6月、首相となった岸が訪米し、ホワイトハウスを表敬訪問した際、アイゼンハワーにゴルフに誘われ、プレーのあと2人は裸でロッカールームからシャワー室に向かったというのだ。


アイクに誘われるまま、まさに裸のつき合いをした岸が夕刻大使館に戻るのを、アイクは自分の車で送ったという。岸はアメリカ大統領の心をつかんだのである。


翌日の本会談で岸が安保改定を申し入れると、国務長官のダレスは即、対応し、日米安保委員会の設置を提案した。アメリカ側から駐日米国大使、太平洋およびハワイの軍司令官、日本側から外務大臣、防衛庁長官を委員として、委員会は早くも8月初旬に発足し、約3年後、日米安保改定が実現した。


アメリカ政府のこの対応は、その2年前の8月に鳩山一郎内閣の外相、重光葵が訪米したときとは様変わりだった。


当時、幹事長として重光に同行した岸は、重光が遠慮がちに日米安保条約改定を持ち出したとき、ダレスが「かんで吐き出すような口調で」「日本にそんな力があるかね」と「一議にも及ばず拒否した」と回顧している。


重光と岸、あるいは鳩山と岸。アメリカの対応はなぜこれほど違ったのか。たとえ限界があったにしても、自国の独立を目指し、国際情勢を地政学的にとらえ、同盟国として助け合う気概を、岸の中に、アイクもダレスも見てとったからであろう。


敗戦で萎縮した日本ではあるが、独立の気概と誇りを持ち、アメリカとともに対等に歩もうと挑戦する日本人にアメリカの国益を見てとってもいただろう。


重光が外相として仕えた鳩山首相は初閣議後の記者会見で日ソ交渉の重要性を強調した。対して、岸は日米新時代との表現で日米の恒久的友好と協力がアジアおよび世界の平和につながる、だからこそ占領時代の残滓である日本の劣等感とアメリカの優越感の双方を払拭して、真に平等を日米は築くべきだと説いた。


安保改定と日本国憲法の改正を合わせて日本の自立を高めること、日本の力を戦争で傷つけたアジア諸国の復興に役立てること、具体例として、岸は後のアジア開発銀行創設につながる東南アジア開発基金設立を提唱した。


岸は日米関係だけでなく、国際情勢の全体像を俯瞰した。西側陣営と対立を深める共産主義陣営の脅威の前で日本が果たすべき役割も認識していた。日本の国益を実現しながらアメリカの国益にも貢献する戦略を示し得た。


その岸の豪放磊落な声が聞こえてくるような気がする。世界情勢が大変革を遂げるいまこそ、日本の大きな好機なのだと。


中国問題はアメリカ問題と合わせ鏡である。軍拡と同時進行でアジアインフラ投資銀行(AIIB)などを創設し、資金力で一挙に影響力の拡大を図りつつある中国が、アメリカの不決断を際立たせる。


AIIBには、運営の透明性や公正さについて疑問がつきまとう。本来こうした問題をアメリカとともに検証してきたはずのイギリスなど欧州諸国が、AIIBに加盟して内部から透明性を確保すると、今回はいう。


しかし一党独裁で言論の自由を許さない情報統制の国の金融の傘に入ることがいかにして透明性と公正さの担保につながるのかは、説明できていない。説明できないことは容易に信じてはならないのである。この場面でわが国こそ、浮足立つことなく、そうした問いを発信すべきであろう。


だが中国は、約100年間、多くの戦争を共に戦い、「特別の関係」にあった米英間に楔を打ち込むことに成功した。アメリカの受けた傷は深く、コラムニストのウィリアム・パフ氏はそれを「欧州のアメリカからの独立」と指摘した。


中東でもオバマ米大統領の失敗が目立つ。


イランの核問題への対処が中東の危機を予測不可能な次元に追いやりつつある。アメリカ主導の合意案ではイランの核保有は阻止できないとみられている。イランが核を保有すれば、サウジをはじめとするアラブ諸国も核を入手し、一挙に核の拡散という恐るべき事態が起きかねない。


サウジを筆頭にアラブ諸国は、アメリカ頼みの安全保障の脆弱さを懸念してアラブ合同軍を結成し、イスラム教のスンニ派とシーア派の宗教戦争を予感させる。


イランの核に強い脅威を感じているイスラエルのネタニヤフ首相は3月3日、米議会上下両院合同会議で、アメリカ主導の対イラン合意案を「非常に悪い取引」だと批判した。


アメリカ外交を批判しながらも、「イスラエルが一人で立ち上がらなければならないとき、イスラエルは立ち上がる」と断言したネタニヤフ首相に米国議会は強い支持を表明した。


実は、いま日本を含め、どの国にも必要なのがこの自ら立つ、自らを信じるという気概ではないか。


世界第一の大国と第三の大国が価値観を軸に協力体制を整えれば、国際社会はどれほど安定するか。安倍晋三首相がアメリカに語りかけるべきはそういう前向きの戦略である。


戦後70年、侵略か、ファシズムかなどの問題よりも、未来志向でありたい。首相が語る未来の日本の姿は、民主主義、人権、自由、法の順守などを徹底してきた戦後70年の積み重ねが静かに証明してくれるはずだ。


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| 桜井よしこ | 08:51 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







中国がアジアインフラ投資銀で仕掛ける米欧関係の引き裂き    桜井よしこ
中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)が戦後体制を支えてきた米欧関係を引き裂き始めた。3月12日、英国がAIIBへの加盟を表明し、ドイツ、イタリア、フランスなどがここぞとばかりに追随し、水面下で不参加を呼び掛けたオバマ政権は、外交的大失敗だと批判されている。
 

中国はいかにしてAIIB参加へと欧州諸国を誘ったか。武力行使においても金融力行使においても、中国は決定的な対決に至る一歩手前で踏みとどまり、いったんはその場を収める。だがそこにとどまり続けるわけではなく、そこを新たな出発点として、摩擦が少し収まった段階で、またもや歩を進め、再び相手国の堪忍袋の緒が切れる一歩手前で踏みとどまるのだ。
 

これを繰り返すことで、じわじわと中国の主張は実現されていく。相手国が諦めたり、圧倒されたりすれば、中国はもはや遠慮しない。一気に最終目的達成の行動に出る。
 

南シナ海の実情がその好例である。中国は、南シナ海沿岸の6カ国(ベトナム、マレーシア、シンガポール、ブルネイ、インドネシア、フィリピン)との話し合いを続けながら、その一方で島々への物理的支配を強めてきた。6カ国側が中国の侵略を防ぐために法的拘束力を持つ行動規範の策定を要求すると、個々の国との2国間交渉で援助やインフラ設備の建設など、アメを与え、不満を抑え込んだ。
 

結果、南シナ海の西沙諸島は完全に中国海軍の巨大基地となり果て、中沙および南沙諸島中、少なくともいま、新たに七島で軍事施設の建設が進行中だ。それ以前にミスチーフ島やジョンソン南礁など複数の島々に軍事施設や滑走路が建設済みだ。
 

米国の上院軍事委員長、ジョン・マケイン氏ら有力上院議員4人が3月19日、中国は南沙諸島埋め立ての目的を1年以内に達成する見込みだと警告し、米国はその阻止に向けて包括的戦略を策定すべきだと国務省と国防総省に要請した。だが、あと1年で中国の南シナ海支配をいかにして阻止できるのか。米国の形勢はいかにも悪い。
 

決定的対立を避けつつ少しずつ目標に近づき、欲するものを手にするという手法はサラミ・スライシングと呼ばれている。少しずつサラミを切り取るように奪い続ける手法が国際金融に使われたのがAIIBではないか。
 

当初、AIIBに参加を表明したのは、東南アジアとアフリカ諸国だけだった。それがなぜ、米国と「特別な関係」にある英国をはじめG7の主要メンバー国まで加盟したのか。中国が巧みに、G7諸国の不安を取り除く柔軟性を示し、一歩引く姿勢を打ち出したからだ。
 

G7諸国には、中国がAIIBを恣意的に利用して中国の国益追求に走り、世界の金融制度に混乱や損失をもたらすとの懸念があった。疑念や懸念を緩和するために、中国はAIIBの独裁的運用はしない、拒否権も行使しないと、欧州諸国に確約した。結果、欧州諸国の一斉参加となった。
 

しかし、中国の「確約」が一体どれほどの意味を持つだろうか。最終的には出資金1000億ドル(12兆円)の半分近くを担う最大出資国、中国の発言権が圧倒的に強くなるのは目に見えている。
 

だが、欧州諸国は中国に極めて融和的だ。価値観の異なる中国主導の体制に組み込まれることや、戦後の自由経済体制に突き付けられるであろう挑戦や世界秩序の大変革への疑問が欧州には欠落しているのか。欧州諸国はオバマ政権の無策を責めるより、眼前で始まった世界秩序の変革とその脅威にこそ、心を砕かなければならない。
 

南シナ海がいつの間にか中国に奪われていたというような事態と同質の変化が、国際金融で起きることを、少なくとも日本は阻止すべきであろう。(週間ダイヤモンド)
 

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| 桜井よしこ | 09:26 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







慰安婦問題めぐる議論で感じる変化し始めた世界の対日世論    桜井よしこ
3月18日、東京・有楽町の外国特派員協会で、秦郁彦氏と大沼保昭氏が慰安婦問題に関して会見した。秦氏は日本大学教授で慰安婦問題に関する吉田清治氏のうそを暴いた近現代史の専門家である。大沼氏は元慰安婦への償いとして1995年に「アジア女性基金」の設立を呼び掛けた。慰安婦問題に関しては立場が異なる両氏の会見に、反日的論調を展開する外国特派員らも含め、約50人の記者が集った。
 
秦氏は米国の大手出版社、マグロウヒルの高校用歴史教科書の慰安婦の記述は事実に反するとして、日本人歴史学者19人による同社への訂正勧告を発表した。これは、米国の歴史学者19人がマグロウヒルを守る声明を発表したことに対抗するものだ。秦氏は次のように語った。

「問題の教科書の慰安婦に関する記述は26行です。この短い文中に明白な間違いが8カ所あり、学者としては考えられないほどお粗末な内容です」
 
 
訂正要求の幾つかを紹介する。まず、(1)「日本軍は強制的勧誘、徴集、迫害」によって、(2)「20万人に上る女性たち」を狩り集めたという点だ。
 
 
(1)について秦氏は以下のように主張した。米国の歴史家19人に連帯する日本の歴史家に吉見義明氏がいる。氏は対日歴史非難を繰り返す外国の学者や研究者に最も信頼されている日本人学者の1人だが、その吉見氏でさえ「朝鮮半島における強制連行の証拠はない」と述べている。氏がコロンビア大学から出版した英文の書、『慰安婦』の中でも、「慰安婦の内、最も多くが(朝鮮人のブローカーに)騙されて」慰安婦になったと記している。朝鮮半島では女性の両親が朝鮮人ブローカーに娘を売り、そこから慰安婦所に連れていったのが一般的であり、日本軍の強制連行はなかった。
 

(2)について、マグロウヒルの教科書は20万人の女性が毎日20〜30人の軍人の相手をさせられたと書いている。事実なら毎日400万人から600万人の日本の軍人が慰安婦所に通ったことになる。当時日本陸軍の兵力は約100万であり、右の数字は荒唐無稽である。そのような状況では日本兵は戦闘する時間も、まともに生活する暇さえもないということになる。
 
 
秦氏は実際の慰安婦の数は全体で約2万人、日本人が最も多く8000人、朝鮮人は4000人、中国人その他が8000人だと説明した。
 
 
教科書には、「20万人の女性たちの大半が殺害された」とあるが、そのような大虐殺があったなら、東京裁判をはじめ各地の裁判で必ず裁かれているはずだが、そのような事例はない。根拠のないことを教科書に書くのは極めて不適切だと、秦氏は指摘した。
 
 
氏は、慰安婦は兵士への天皇からの贈り物だとの記述は、「教科書としては国家元首に対するあまりに非礼な表現だ」と厳しく指摘し、話を終えた。そのとき拍手が起きた。私も拍手をしたが、最前列の女性外国特派員が私を振り返り凄まじい形相でにらんだ。彼女はきっといつもの決め付けで「強制連行、大量虐殺」と書くのであろう。
 

秦氏の次に語った大沼氏は、日本政府の慰安婦への対処は不十分だと批判しながらも、慰安婦問題で最も責任があるのは「英語を母国語とする欧米のメディア、とりわけニューヨーク・タイムズ、フォックステレビ、CNNだ」と述べた。彼らは事実を報じず、思い込みで虚偽の情報を拡散させた。韓国メディアの責任も重く、韓国メディアの成熟なしには日韓関係の改善は期待できないと厳しく指摘した。
 

氏は年来、日本の責任を一方的に追及してきたといってよい人物だ。それだけに、私は氏の指摘を意外なものとして受け止めた。そして感ずるのは、世界の対日世論は依然として厳しいが、それでも少しずつ、良い方向への変化が起きているということだ。(週間ダイヤモンド)
 

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| 桜井よしこ | 16:34 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







それでも自由主義国か、混乱の韓国    桜井よしこ

一向に改善されない日韓関係にアメリカから懸念の声が上がっている。3月13日、ワシントンの保守系シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ・インスティテュート(AEI)主催の「国交正常化50年の日韓関係・アジア最弱の関係」と題するシンポジウムでのことだ。


1期目のオバマ政権で東アジア外交を担当したカート・キャンベル前国務次官補は、アメリカ政府は、イランの核問題やイスラエル・パレスチナの関係改善に取り組むのと同様に、擦り切れた日韓関係の改善に取り組むべきだと語った。


氏は韓国の指導者は「北朝鮮の指導者とは前提条件なしにいつでも会う」という姿勢だが、日本の指導者とは会おうとしないと指摘、「日本の指導者は『韓国には疲れきった』と語っている」として、日韓関係の停滞がアメリカの国益を損ねていると警告した。


朴槿恵大統領は3月1日の「三・一独立運動」記念式典で、日韓国交正常化以降の50年間の交流を評価する一方で、慰安婦の「名誉回復のための時間はあまり残っていない」「日本政府の教科書歪曲の試みが続いていることも隣国関係を傷つけている」などと演説した。


朴大統領も韓国メディアも日本非難ばかりで歴史の事実を見つめようとしない。シンポジウムでのキャンベル発言を韓国のヨンハプ通信のチャン・ジャエスン記者はこう書いた。


「長年日韓関係を傷つけてきたのは、主としてトーキョーが戦時中の残虐行為と植民地支配をごまかそうとしてきたからだ。とりわけ首相就任以降、安倍晋三氏が国粋主義的行動をとり、日韓関係はさらに悪化した」


韓国側は日本非難で自己満足し、異論に耳を傾けない。たとえば、世宗大学教授の朴裕河氏が上梓した『帝国の慰安婦』(朝日新聞出版)は今年2月、韓国における事実上の出版禁止処分にされた。「慰安婦を『自発的売春婦』等と表現した部分を削除しない場合、被害者の名誉・人格権に回復しがたい損害が発生するおそれがある」というのだ。


■ソーシャルデザイナー


同書は慰安婦を、戦争に付随する問題ではなく、「普段は可視化されない欲望・強者主義的な支配欲望」の対象としてとらえた作品である。朴教授はその欲望を「帝国」と呼び、著書を『帝国の慰安婦』と題した。ここでは本書の内容への深入りは避け、一点だけ指摘する。ソウル東部地裁が下した発禁処分は、慰安婦は全て強制連行でなければならないとする、韓国に浸透してしまった言論統制そのものだということだ。


韓国の頑な姿勢では、日韓関係がこじれるのも当然であろう。両国が関係修復をはかろうとするなら、何が必要か。3月13日の「言論テレビ」で統一日報論説主幹の洪�払氏と対談した。


洪氏は、35年間の日本統治の約2倍に及ぶ戦後の南北朝鮮分断の意味をとらえるべきだと主張する。なぜ朴大統領は慰安婦問題を言い立て、韓国は反日に走るのか。理由は約70年間の南北朝鮮の戦いの結果として醸成された韓国自身への憎しみであり、反日ではないというのだ。


たとえば、駐韓米大使リッパート氏を襲った犯人、金基宗(55歳)は1959年生れで全斗煥大統領時代に、韓国の左翼思想の牙城といわれる成均館大学に学んだ。この時期、韓国で光州事件が起きた。


光州事件は、北朝鮮の特殊部隊が工作した騒乱だったことが今では判明しているが、当時は、全斗煥大統領が光州で発生した反政府運動を徹底的に軍事制圧した事件だとされた。その結果、非常に強い反政府、左翼運動が韓国全土に吹き荒れた。


「その80年代に学生だった金基宗は光州事件に刺激され、骨の髄まで反米、従北(北朝鮮シンパ)になってしまいました。彼は大学卒業後、一度もまともな職業についたことはなく、職業革命家になります。盧武鉉大統領とは1985年に個人的なつながりを持ち始めました」


盧武鉉大統領は金正日に忠誠を誓った、韓国にとってはまさに売国の人物だ。金大中も同様である。この両大統領の時代、左翼は全ての面で優遇された。金基宗も憲法機関のひとつ「民主平和統一諮問会議」の一員となった。


金大中、盧武鉉両氏が残したのは、国家を動かす民衆の力としての膨大な数の左翼的NGOと、政府中枢深くに潜行して政府を動かす頭脳となる左翼的人材だったと、洪氏は言う。


「韓国に存在する万単位のNGO中、とりわけ活動的なのが左翼系の団体です。韓国では市民運動団体への参加が政治家になるのに非常に有利だという現実があります。


ソウル市長の朴元淳氏も弁護士から市民運動家になり、自分をソーシャルデザイナーと呼びました。革命というと人々は驚きますが、ソーシャルデザイナーならソフトなイメージで人々は疑問を抱かない」


■日本にも責任


1986年10月に東ドイツ書記長のホーネッカーが北朝鮮を訪れ、金日成主席と会談した。ベルリンの壁崩壊で明らかになったその内容を洪氏が語った。


「金日成はホーネッカーに、韓国が民主化されれば、革命勢力も自由に活動できるようになる。従って、北朝鮮は韓国の民主化を支持すると語っていたのです。自由主義国では思想信条の自由も保障されます。


それを逆手にとって、北朝鮮シンパの勢力を広げると言っているわけです。そして90年代に入ると、韓国国内で、誰が金日成の奨学金を貰ったか、情報分析が盛んになりました」


金主席が韓国の学生たちを支援して大学に進学させ、官僚として政府内に、或いは記者として各メディアに送り込み続けたことは今では定説になっているという。


「その数はメディアの場合、毎年100人といわれています」


洪氏はこのように親北勢力が韓国に浸透したのは、日本にも責任の一端があると指摘する。


「韓国の法律で3団体が反国家団体に指定されています。朝鮮労働党、朝鮮総連、韓統連(在日韓国統一連合)です。内2つが日本にあります」


朝鮮総連は事実上、北朝鮮の大使館だ。韓統連は朝鮮総連と共に一貫して北朝鮮を支えてきた。


日本が南北勢力の戦場になっていることを日本国政府も日本人も解っていないと洪氏は指摘するわけだ。


であれば、なぜ朴大統領は安倍首相と協力して、日本国内の北朝鮮系組織に厳しい法の目を光らせてほしいと頼まないのか。なぜ、不条理な歴史非難を繰り返すのか。キャンベル氏の指摘のように、日本が韓国の反日に嫌気がさすのも当然だ。


洪氏は韓国が直面しているのはもっと切実な内戦であり、もっと大きな危機だと訴える。その通りであろう。北朝鮮とその背後の中国の脅威を考え、感情を横に置き、日韓関係を修復すべきであるのは間違いない。(週刊新潮)

 
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| 桜井よしこ | 11:00 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







メルケル首相の歴史問題発言    桜井よしこ

1989年11月9日にベルリンの壁が崩れ、1週間後、私は壁の前にいた。壁に沿って多くの人たちが歩いていた。歴史の大変化を深く感じつつ、私も彼らに交じって歩いた。


壁のこちら側とあちら側では世界はどれほど異なっていたのか。その絶望的な相違は、東側から脱出を図って西側に入る直前に東ドイツ兵に銃撃されて命を落とした人々の墓が、幾十も幾百も並んでいたことからも見て取れた。現地の記念館には脱走に関する多くのエピソードがつづられており、読むだけで息苦しくなったのを覚えている。
  

西ベルリン滞在中、私は長い車の列の続く検問所を通って東ベルリンに入った。東西を分かつものは背の高い冷たい壁一枚だ。空は東西両方にまたがり、空気は壁を越え2つのベルリンを自由に吹き抜けているはずだった。

  
しかし、東ベルリンに入ってみて本当に驚いた。空も空気も違うのである。空はどんよりと曇り、空気は東ベルリンを走り回る小型車トラバントの吐き出す排ガスで嫌な臭いがした。表通りから一歩裏通りに入ると、東ドイツの都市の中では最も洗練されているはずの東ベルリンであるにもかかわらず、まるでゲットーのような風景が広がっていた。
  

ドイツ首相、アンゲラ・メルケル氏はその東ドイツ出身である。一党独裁の暗い権力と秘密警察が目を光らせる国、思想および情報に対する不条理な統制の下で生きなければならなかった記憶は、そのような体制への強い忌避感を氏の中に育てたであろう。
  

氏がナチスドイツのホロコーストに強く反発し、過去と真摯に向き合うことの大切さを説く姿勢は、氏の東ドイツ時代の体験と重ね合わせるとき、とりわけ真実味を持って迫ってくる。

  
氏に敬意を払いつつ、一方で、氏の日本の歴史に関する発言は不用意だと言わざるを得ない。3月9日、メルケル首相は安倍晋三首相と臨んだ記者会見で、ホロコーストに言及し、「過去の総括は和解のための前提だ」と語った。


日本と韓国や中国との関係に直接言及したわけではなかったが、日本とナチスドイツを同一視するかのような歴史観を披露したのは、一国の宰相としては軽率ではないか。
  

ヒトラー以下、ナチス政権は国家ぐるみでユダヤ人抹殺を意図して、組織的に準備した。米英など戦勝国はドイツと日本を同じ罪で裁こうとした。


しかし、満州事変から大東亜戦争終結まで、わが国では実に13人もの総理大臣が入れ替わり、政権を取った。戦後、巣鴨の刑務所に総理大臣経験者らが収監されたが、そこで初対面だったというようなケースさえあった。


こんな状況でナチスドイツ同様に、謀議を重ね、事前に計画することなどできようはずがない。

  
国家の意思で組織的にユダヤ人を抹殺しようとしたドイツとは異なり、日本が犯した罪は通常の戦争犯罪だった。こうした点をメルケル首相は考慮せずに日独両国を同一視するかのような発言をしたわけだが、日本として穏やかに注意すべきであろう。
  

メルケル首相は岡田克也・民主党代表との会談で自ら慰安婦問題を持ち出し、「きちんと解決した方がいい。和解することが重要だ」と語ったそうだ。

  
日本にとって欧州の事情がよく分からないように、欧州諸国にとってもアジアの事情はよく分かっていないであろう。そうした国々に韓国や中国が長年慰安婦問題について一方的な情報戦を展開してきた結果の1つが、メルケル首相の発言ではないだろうか。
  

慰安婦だった人々には心から同情を抱くものだが、それでも、慰安婦の実態は強制連行でも奴隷的扱いでもなかったと言わなければならない。これまで沈黙していた分、これから長い時間をかけて日本全体で発信していかなければならない。(週刊ダイヤモンド)
 

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| 桜井よしこ | 08:55 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |







「米国の東アジア外交に転換の兆し」    桜井よしこ
2月27日に米国務次官(政治担当)のウェンディ・シャーマン氏がカーネギー国際平和財団で行った講演に、韓国最大手の『朝鮮日報』をはじめ、韓国外務省までが激しく反発した。
 

シャーマン氏は3月中に日中韓3か国の外相会談が開かれ、「首脳会談につながることが期待されている」としたうえで、尖閣諸島海域での日中間の緊張の高まりや、「第二次大戦のいわゆる慰安婦」などの歴史問題に関して次のように語った。
 

「ナショナリスト的な感覚で敵をけなすことは、国の指導者にとって安っぽい称賛を浴びる容易な方法だが、それは感覚がまひするだけで、進歩は生まない」
 

この件りに韓国側が激しく反発し、大手紙の『中央日報』政治部長の朴スンヒ氏は次のように書いた。
 

「韓日の歴史葛藤を夫婦や子どもの間の争いに使う『口論(quarrel)』と表現し」た。「日本軍慰安婦問題を取り上げながら『いわゆる慰安婦(so called comfort women)』という表現を使」った。
 

発言を確認するために英文のテキストと映像を何度も見たと、朴氏は書いているが、その映像は私も確かめた。シャーマン氏は原稿に目を落として読んでいた。つまり、彼女の言葉は米国務省が練り上げた、外交的に目配りしたものだということだ。その中で、「いわゆる慰安婦」という表現が使われたのである。
 

国家基本問題研究所副理事長、田久保忠衛氏もこの表現に注目する。
 

「慰安婦でもなく、強制でもなく、『いわゆる慰安婦』とシャーマン次官は語っています。明らかに歴史問題について、議論の余地なく決めつけるというこれまでの表現とは異なるのではないでしょうか。アメリカの東アジア外交に微妙な変化が生じつつある可能性を示しています」
 
 
但し、結論を急ぐことは控えたい。シャーマン氏は右の発言のひと月前にソウルで、戦後70年の首相談話について次のようにも語っている。
 

「我々は河野、村山談話は重要だと信じており、(安倍首相の談話には)それらが残るだろう(will stand)と期待している」
 

■シャーマン発言の影
 

右の発言は、私をはじめ少なからぬ日本人にとっては受け入れ難い。韓国風の表現をすれば「このまま放置はできない」(『朝鮮日報』社説、3月3日)ということになるのであろうか。だが、氏の言葉のひとつを取り上げてどちらの国寄りだと騒ぐことに、どれ程の意味があるのか。事の本質は歴史観と、歴史の実相をどこまで知っているかの相違である。
 

外交を動かすのは国益だ。東アジアにおけるアメリカの国益を基軸にシャーマン発言はなされたのであり、それを受けとめる側も、各々の国益について冷静に考えるのがよいのである。
 

日本も韓国も、慰安婦をはじめとする歴史問題に関しては神経が研ぎ澄まされている。それでも、国家も民間人も、日本側の表現は韓国や中国よりはずっと控え目である。過剰な反応の中で、『中央日報』の朴政治部長はシャーマン発言を、朴槿恵政権発足以来、韓国が中国に接近しすぎていることに対するアメリカ政府の警戒心の表れだと分析した。恐らくそのとおりであろう。
 

朴政治部長は、米国が提案した高高度防衛ミサイル(THAAD)の配備を韓国が中国を気にして渋っている事実をあげ、韓国政府とは異なり「口の中の舌のように」振る舞う日本(主要紙がこんな表現で日本を貶めるために、世論も記者自身も感情に流されて全体像が見えなくなるのだ)に、アメリカが味方をした、その結果、韓中をひと括りにして日本と対比したのだとしている。
 

シャーマン発言への韓国の不満が渦巻く3月5日、駐韓大使マーク・リッパート氏が暴漢に襲われた。80針も縫う傷を負いながら、「私は大丈夫だ」と笑ってみせた大使の「個人技」で事態は収拾に向かっていることを喜びつつ、朴部長は、米国の対韓外交に落としたシャーマン発言の影の深刻さを韓国の危機ととらえ、警告を発したのである。
 

米国務省のこれまでの東アジア関連のコメントを見れば、米国が韓中接近を快く思わず、中国への警戒心を強めているのは明らかだ。韓国の知識人こそ、ここで自問すべきであろう。韓中接近は、韓国に幸福と安寧をもたらすのかと。
 

両国は政治体制も価値観も全く異なる。言論の自由もない中国に近づいて、もっと自由をなくすのか。北朝鮮と中国の脅威に、日米韓の協力体制で立ち向かうのが、韓国にとっての王道であろうに、韓国が中国に取り込まれることは、日本や東南アジアを含む近隣諸国にとっても少しもよいことはない。
 

中国はおよそどの隣国とも国境問題を抱えている。海でも空でも、国際法の中国式解釈を力で強要する。中国の侵略行為に、まともな国なら異議を唱えるのは当然だ。目に余る南シナ海の実情について、東アジア・太平洋担当の米国務次官補、ダニエル・ラッセル氏が1月24日、クアラルンプールで次のように語った。
 

■率直な中国批判
 

「我々が強く明確に打ち出しているのは、諸国は国際社会の原則、国際法、国際社会で受容されている基準を守るべきだということだ」
 

「如何なる意味でも、大きな国が小さな国を脅すことに反対する」
 

「関係諸国は、南シナ海の現状の一方的変更、近隣国への脅し、地域の不安定化をもたらすことのないように自制してほしい」
 

昨年11月、北京で安倍晋三首相と習近平主席は4点の合意を発表し、その中で東シナ海については「対話と協議を通じて、情勢の悪化を防ぐ」などと定めた。この点に関しても、ラッセル次官補は1月26日、バンコクで述べた。
 

「(合意にも拘らず)中国公船が、これまでも、現在も、日本の施政権下にある領域に押し入るなど、中国の行動や活動のよい方向への変化は見られない」
 

「アジア太平洋地域の繁栄は、安定と法の支配の厳守から生まれる」「諸国は国際法を尊重し、近隣国の権利を尊重すべきだ」
 

これ以上ない程率直な中国批判である。
 

この論戦に中国も3月3日、参戦した。中国国際問題研究院国際戦略研究所副所長の蘇暁暉氏が、シャーマン発言を批判したのだ。安倍首相を「歴史修正主義」者と断じ、歴史問題の解決は「日本が心の魔に打ち勝」てるか次第だとしている。
 

歴史修正主義なのは中国であり韓国だが、無論両国は認めない。日本は揺らがずに歴史の事実を発信し続け、戦後70年間、国際社会に貢献してきたように、どの国にとっても中国よりも日本との協調が幸福と国益につながることを実証していけばよいのだ。(週刊新潮)
 

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| 桜井よしこ | 00:47 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







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